エンジニアの採用基準の決め方。必須条件と優遇条件、その他の要件定義について解説

Offers HR Magazine編集部 2023年8月11日

Offers HR Magazine編集部

目次

採用基準の設定はエンジニア採用の要です。採用のミスマッチやプロセスの遅延を未然に回避するためにも、必須条件・優遇条件・その他要件定義をしっかりと定めましょう。具体例を挙げながら、採用基準の決め方・運用方法を解説します。

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エンジニアの採用基準を設ける重要性

(出典)https://www.pexels.com/

エンジニアの採用を行う上では、スケジュールや予算を組むだけでなく、採用基準の設定が不可欠です。「どのようなエンジニアを採用するか」を明確にしなければ、主観的な判断による採用のミスマッチが生じかねません。採用基準を設ける重要性を解説します。

自社に合ったエンジニアを採用する

採用基準を設ける第一の目的は、自社に合った人材の採用です。現場のエンジニアが採用担当を担うのが望ましいですが、事業開発と採用活動の兼任は容易ではありません。現場に精通していない経営層や人事部が採用を担当すると、現場が求める人材を的確にジャッジできない恐れがあります。

技術スキルや行動特性、価値観などを定めた採用基準を設けることで、評価のブレがなくなり、採用のミスマッチが回避できます。採用基準を基に人材の絞り込みをした後、最終面接に現場のエンジニアを参加させる方法も有効です。

採用プロセスを効率化する

IT人材が不足状態にある現代、能力のあるエンジニアは引く手あまたです。採用プロセスが長引けば長引くほど、優秀な人材を他社から奪われてしまうため、各プロセスにおける人材の見極めはスピーディに行う必要があります。

採用基準の明確化は、採用プロセスの効率化につながります。例えば、応募時点で基準を満たす人と満たさない人を振り分ければ、自社にマッチしない人材との面接を設定せずに済むでしょう。

無駄な選考プロセスが減る分、採用候補者とのコミュニケーションやアフターフォローなどに時間をかけられます。

選考の透明性を担保する

選考が可視化されていない企業では、経営層や人事部による「採用の属人化」が横行します。「担当者に聞かなければ分からない」という状態であれば、現場で働く従業員は不安を覚えるでしょう。

担当者の主観やイメージが評価に反映されると、以下のような評価エラーが引き起こされます。

  • 「有名企業出身」で決めた結果、業務に必要なスキルを備えていなかった
  • ジャッジが正確にできず、本来内定を出すべき人材を排除してしまった

採用基準の設定と情報共有を適切に行うことで、選考の公平性と透明性が担保されるのがメリットです。担当者による属人的なジャッジがなくなり、「自社が本当に必要とする人材」の採用が実現します。

エンジニアの採用基準の作り方

(出典)https://www.pexels.com/

採用基準には一定の作成フローがあります。経営層や現場責任者の意見を取り入れながら、経営戦略や事業課題に基づいた採用基準を設定しましょう。具体的な作成方法を四つのステップで解説します。

採用の目的と課題を明確化する

最初のステップは、採用の目的と課題の明確化です。明確なゴールがない限り、ゴールにたどり着くことはできません。「なぜエンジニアを採用する必要があるのか」「採用によってどのような課題を解決したいのか」を言語化します。

「戦略人事」という言葉があるように、企業の採用活動は採用自体がゴールではありません。経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)をうまく使い、組織の課題解決や事業戦略の実現につなげる必要があります。

経営層と現場の考え方が一致しないケースもあるため、必ず関係者全員で擦り合わせを行いましょう。

必須条件と優遇条件を決定する

現場のエンジニアとともに人材の定義を決定し、求める人物像(ペルソナ)を設定するのが次のステップです。この段階では、「必須条件」と「優遇条件」の観点から人材像を絞り込んでいきます。

必須条件とは、必ず満たすべきスキルやマインドを指します。条件が多くなりすぎると、候補者が残らないため、「これだけは最低限必要」という条件のみにとどめるのがポイントです。

優遇条件は、あると望ましい条件です。入社後の研修や業務でキャッチアップできるスキルは、必須条件ではなく優遇条件とするのが賢明でしょう。さらに、「不要条件(自社に欲しくない人材の条件)」も決めておくと、採用のミスマッチが回避できます。

採用市場と照らし合わせて条件を修正する

求職者は、他社と比較して応募先を決めます。設定したペルソナや条件が、採用市況と大きくかけ離れていれば、いくら求人広告を打っても人は集まりません。

採用条件の設定には、自社の視点だけでなく、客観的な視点が必要です。採用市場での自社の立ち位置や競合他社をリサーチし、必要に応じて内容の修正を行いましょう。

中小企業やスタートアップ企業は、規模感やポジションが似通った他社をいくつかピックアップします。競合他社より極端に要件が高ければ、妥協できるポイントがないかを探りましょう。

応募者の視点で条件を整理する

条件の修正後は関係者で最終的な擦り合わせをし、求人票を作成します。求人票に落とし込む際に意識したいのが、応募者の視点です。

必要スキルの程度や開発経験の有無、業務内容などが明確に記載することで、多くのエンジニアの目に留まりやすくなります。

例えば、「Ruby・JavaScriptの使用経験あり」と記載した場合、応募者はどの程度のレベルが必要なのかが分かりません。検討材料となる情報が不足していると、応募者は自分が働いている姿がイメージできず、応募をちゅうしょする可能性があります。

エンジニア採用基準の具体例

(出典)https://www.pexels.com/

エンジニアの採用で重視されるのは、技術スキルだけではありません。経験や人柄、コンピテンシーなどを含めて総合的に判断する必要があります。採用基準を構成する具体的な要素を解説します。

技術スキル

業務遂行に必要な技術スキルは、職種やポジション、関わるプロジェクトによって大きく変わります。現場の責任者と打ち合わせをし、具体的な技術スキルを設定しましょう。以下のような項目が網羅されているのが理想です。

  • プログラミング言語(Java・Python・JavaScriptなど)
  • フレームワーク(React・Angular・Spring Bootなど)
  • ツール(Git・Docker・Kubernetes・Ruby on Railsなど)
  • データベースの知識(SQL・NoSQL・NewSQLなど)
  • クラウドサービス(AWS・GCP・Azureなど)

実績と経験

エンジニアの技術スキルを証明するのが、実績・経験です。同じ技術スキルを保有している人でも、どのような経験を経てきたのかによって活躍の度合いが変わります。

未経験や実務経験が少ない人でも可能とするのか、経験が必要であれば何年の実務経験が望ましいのかを採用基準に盛り込みましょう。

  • 過去に参加したプロジェクト(規模・期間・使用した技術・役割など)
  • 所属企業(自社開発・受託開発・客先常駐など)
  • 問題解決の経験(具体的な問題と対処法)
  • 技術スキルの習得方法(独学・スクールなど)

ビジネススキル

専門職は技術スキルに重きが置かれがちですが、社会人としてのビジネススキルも欠かせません。社内外での業務を円滑に進められるかどうかは、以下のようなスキルに左右されるといってよいでしょう。

  • コミュニケーションスキル
  • 問題解決能力
  • 論理的思考力
  • 情報収集能力
  • プロジェクトの管理能力
  • 基本的なビジネスマナー
  • 仕様書やプレゼン資料の作成に関する文章力

募集ポジションによっては、チームを率いる「リーダーシップ」や議論を前に進める「ファシリテーションスキル」が求められます。ビジネススキルは数が多くなりやすいため、必須条件なのか、優遇条件なのかを明確にしましょう。

コンピテンシー

コンピテンシーとは、高いパフォーマンスを発揮できる人材に共通する行動特性です。社内の優秀なエンジニアの行動特性を基に採用基準を定める方法は「コンピテンシー採用」と呼ばれます。エンジニアのコンピテンシー例としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 自走力
  • ものづくり愛
  • 技術への情熱

「自走力」とは、自分の意思や考えで業務を進められるスキルです。目的を理解した上で主体的に業務を遂行できる、またはリーダシップを発揮できる人は、組織に成果をもたらします。

「ものづくり愛」は、自らが関わるプロダクトへのこだわりを意味します。自身の経験に基づく課題やビジョンがあり、アイデア出しや目標の設定が積極的にできる人が求められるでしょう。

「技術への情熱」は、個人の成長意欲を測る項目です。他人の技術を道具として使用するだけでは、エンジニアとしての大きな成長は見込めません。技術習得への意欲が高く、自分の技術と呼べるプロダクトを所有しているのが理想です。

採用基準の運用方法

(出典)https://www.pexels.com/

採用基準の作成後は、採用活動の各プロセスに落とし込み、実際に運用していきます。一度決めた採用基準は絶対に変えられないものではありません。採用市況や現場のニーズを的確に反映させるためにも、定期的な見直しを行いましょう。

採用情報・選考過程に落とし込む

採用基準が必要とされる代表的な場面は、求人情報の作成時・書類審査時・面接時です。

求人情報に落とし込む際は、情報量と表現方法に注意しましょう。抽象的な表現は避け、応募者に必要と思われる情報は漏れなく盛り込むのがポイントです。情報が足りない上に、曖昧な表現が散見されると、応募者は「何か裏があるのではないか」と不安を覚えます。

面接時は、採用基準を基にした「面接評価シート」が役立ちます。評価項目・評価基準・質問項目を一覧でまとめておくと、当日の面接がスムーズに進むでしょう。擦り合わせや集計がしやすく、担当者の業務効率の向上にもつながります。

社内で共有する

設定した採用基準は社内に共有する必要があります。特に、経営層・人事部・配属部署(現場)においては、メンバー全員に周知させることが重要です。ドキュメントに落とし込み、メンバー全員が閲覧できる環境を整えましょう。

情報共有を怠り、的外れな人材が現場に配属された場合、人事部と現場の溝が深まります。転職エージェントや求人媒体を活用している企業は、社外の担当者にも忘れずに伝えましょう。情報漏れは、機会損失を招きます。

定期的に基準を見直す

採用基準は定期的に見直しをする必要があります。ITトレンドは移り変わりが速く、エンジニアに求められるスキルや経験も常に変化しています。

現場を最も理解しているのは、現場責任者やチームリーダーです。現場からのフィードバックを基準内容に反映させ、アップデートを図りましょう。

「応募数が求人数に満たない」「書類選考の通過者が少ない」という場合は、採用基準が厳しい可能性があります。採用市況や競合他社と照らし合わせながら、微調整を加えていきましょう。

パフォーマンスを発揮できる人材を明確化する

(出典)https://www.pexels.com/

採用活動では、採用基準の設定が重要な意味を持ちます。「基準はあるが、具体的な言葉に落とし込まれていない」「一部の担当者で共有されている」というケースにおいて、採用基準はあってないようなものです。

他社に競り負けないためにも、明確な採用基準を設け、自社でパフォーマンスを発揮できる人材を積極的に採用していきましょう。経営層・人事部・現場による三位一体が採用活動の成功をもたらします。

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