サーバントリーダーシップとは?支配型リーダーとの違いなどを解説

Offers HR Magazine編集部 2023年6月28日

Offers HR Magazine編集部

目次

サーバントリーダーシップは従来のリーダーの在り方とは異なり、部下の意見に耳を傾け、キャリアアップや新たなスキルの獲得などに、積極的に協力するリーダーシップの取り方です。支配型リーダーとサーバントリーダーとの違いを押さえておきましょう。

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サーバントリーダーシップとは何か?

(出典)https://unsplash.com/

近年、社員や組織の成長と発展を促すために、管理者の間でサーバントリーダーシップが注目されています。従来型のトップダウンのみで命令を下すリーダーシップとは異なり、部下に主体的な行動を促すことに重きを置いたリーダーシップのスタイルです。

部下に主体的な行動を促すリーダーシップ

部下と積極的にコミュニケーションを取りながら、意見に耳を傾けつつ、主体的な行動を促すのがサーバントリーダーシップとして知られる手法です。

管理者として、何でもトップダウン型で上から押しつけるのではなく、部下の考え方や価値観を尊重し、支援する形で行動を促します。一人一人の能力をうまく引き出し、適宜サポートすることで自己成長してもらい、組織全体の生産性向上を目指すのが、サーバントリーダーシップの特徴です。

サーバントリーダーの役割

サーバントリーダーの役割は部下の能力を正確に把握し、信頼関係を構築した上で、キャリアアップや新たなスキルの獲得などを支援することです。

『サーバント(servant)』はもともと『奉仕者』や『使用人』といった意味であるため、部下の言うことを聞く(言いなりになる)リーダーであると勘違いされがちです。しかし、あくまでも管理者として部下を導く立場である点は、従来型のリーダーと変わりません。

サーバントリーダーは管理者としての本来の立場を堅持しつつ、組織全体の方向性を示しながら、社員一人一人の成長を促す役割を持っています。組織の向かうべき道と、社員が望むキャリアとの整合性を取るのも、サーバントリーダーの重要な仕事です。

サーバントリーダーが注目されるワケ

エンジニアの活躍するIT業界をはじめ、さまざまな職種でサーバントリーダーが注目されています。その背景としては、環境の変化が激しく将来の見通しが立てづらい現代において、組織として状況の変化に柔軟に対応するために、社員の主体性が求められるようになった点が挙げられます。

主体的に行動できる社員を育成するには、管理者が部下と良質なコミュニケーションを取りつつ、適宜サポートできる状態が望ましいといえるでしょう。そこで、社員が最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を構築するために、サーバントリーダーシップの必要性が広く認識されるようになりました。

社員が業務で生産性を発揮するには、組織に対するエンゲージメントを高める必要があります。サーバントリーダーは部下に組織に対する忠誠心や愛着を持たせるとともに、自らが望むキャリアの実現をサポートします。

支配型リーダーとサーバントリーダーとの違い

(出典)https://unsplash.com/

従来の支配型リーダーと、サーバントリーダーとの違いを整理しておきましょう。実際には両者は明確に分類できるわけではなく、どちらの特徴も兼ね備えたリーダーが多くいます。あくまでも分類上の呼称である点には配慮が必要です。

支配型リーダーの特徴

支配型リーダーの特徴はトップダウンであり、管理者であるリーダーが業務に対する姿勢や考え方、価値観を提示し、それに部下を従わせます。リーダーからの説明や指示、命令は一方的で、部下は上司に対する畏怖の念や、義務感などで行動するのが基本です。

支配型リーダーの中にも、部下との対話を重視したり、さまざまなサポートをしたりする人も多くいます。しかし、あくまでも組織の論理が前提にあり、トップダウンで命令や指示を出す点は変わりません。近年、どの業界でもリーダーの在り方は変わってきていますが、いまだに支配型リーダーの考え方を踏襲している企業は多くあります。

サーバントリーダーの特徴

サーバントリーダーの特徴は奉仕の姿勢であり、部下に寄り添って意見を聞いた上で、適切なアドバイスやサポートをするのが特徴です。決して部下の言いなりになるわけではありませんが、必要ならば部下の意見を全面的に聞き入れるケースもあります。

組織の生産性の向上を目指す意味では支配型リーダーと同じですが、各社員のキャリアの実現や、仕事の進め方などをサポートすることで、部下の成長を促すのがサーバントリーダーの役割です。支配型リーダーのように権威で部下を統率するのではなく、基本的にサポートによって導いていくアプローチを取るのが特徴です。

サーバントリーダーシップに必要な特性

(出典)https://unsplash.com/

サーバントリーダーに必要な特性を簡単に解説します。以下のように多くの特性が求められますが、全てにおいて完璧になる必要はありません。自らの強みを伸ばしつつ、理想とするリーダーを目指すことが大事です。

サーバントリーダーの10の特性 

次の10の特性がサーバントリーダーに必要とされています。それぞれ確認していきましょう。

  • 傾聴:部下の話をしっかりと聞き、言わんとしていることを正しく理解する。その上で、リーダーとして何をすべきか、どのようにサポートするかを考える。
  • 共感:自分の価値観や考え方、尺度だけで判断するのではなく、まずは相手の立場・視点から物事を考え、一定の理解を示す。感情や思いを理解することで、部下に安心感を与えられる。
  • 癒やし:傷ついたりメンタルに問題を抱えたりしている部下の気持ちをくみ取り、優しい言葉をかけるなどして、精神的なフォローをする。
  • 気付き:社内の環境や部下の行動から、さまざまな「気付き」を得る力。物事をありのままに認識し、高い視点で客観的に判断する。
  • 説得:権威を持って自らの意見を押しつけるのではなく、部下との話し合いを通じて、コンセンサスを得る。互いに納得した上で結論を出し、物事を進めていく。
  • 概念化:組織として目指すべき目標やビジョンを意識し、部下に分かりやすく伝える。それぞれが有する目標やビジョンを統合し、まとめる力も求められる。
  • 先見力:先を見通して適切な対応ができる能力。社内環境や市場の状況、部下の育成状態などを総合し、これから起こる出来事を予測して対応する。
  • 執事役:一歩引いたスタンスで状況を把握するとともに、相手に奉仕して快適に働ける環境を構築する。
  • 成長への関与:一人一人の部下の強みや特性を把握し、適切なサポートによって成長を促す。
  • コミュニティづくり:全ての部下が組織・チーム内で成長できるコミュニティづくりに注力する。

管理者としてリーダーシップを発揮するとともに、上記の特性を兼ね備えて奉仕的な役割をこなすのが、サーバントリーダーの在り方です。全ての特性を完璧に満たす必要はありませんが、常に行動指針として押さえておく必要があります。

サーバントリーダーシップのメリット

(出典)https://unsplash.com/

サーバントリーダーシップの考え方を組織に取り入れることで、具体的に何が変わるでしょうか?社内にサーバントリーダーを増やすことで、社員の行動の変化を通じて生産性を向上させたり、社内の風通しがよくなったりするなど、さまざまなメリットがあります。

社員が主体的な行動を取れるようになる

上司のさまざまなサポートにより、部下である一般社員が能動的な行動を取るようになり、日々の仕事のパフォーマンスが向上します。

サーバントリーダーは部下の話や意見に耳を傾け、双方が納得した上で行動を促すので、部下は自らの意志で動いていると感じられ、仕事へのモチベーションが高まるでしょう。さらに、自らの強みや特性を生かして働けるので、一人一人の生産性が向上し、組織全体の成長につながります。

組織全体の生産性がアップする

社員の行動を管理者が適切にサポートすることで、組織全体の生産性も向上できます。

サーバントリーダーはまず、社員の成長を促すスタンスを取るので、社員の組織へのエンゲージメントが高まり、チームの協力体制も作りやすくなるでしょう。その結果、組織としての機動力が高まり、さまざまな問題・課題をスムーズに解決できるようになります。

社員同士のコミュニケーションもスムーズになる

サーバントリーダーシップにより、上司と部下とのコミュニケーションが円滑になります。社員が能動的に仕事をするようになれば、社員同士の連携もスムーズになる可能性が高く、社内の風通しもよくなるでしょう。

仕事がしやすい職場環境は多くの人が求めており、エンジニアも例外ではありません。社員同士が積極的にコミュニケーションを取り、気軽に情報共有できる環境を構築できれば、優秀な人材も集まりやすくなるでしょう。

サーバントリーダーシップの注意点

(出典)https://unsplash.com/

サーバントリーダーシップは多くのメリットがありますが、以下の注意点もあります。事前にしっかりと計画を立てて、段階的に導入することが大事です。

部下との関係構築に時間を要する

部下との信頼関係の構築や、組織の方針、方向性の決定や共有などに、時間がかかる可能性があります。サーバントリーダーとして部下の信頼を得るには、粘り強く一人一人の声に耳を傾け、適切なサポートをしていかなければいけません。

相手を正しく理解するには相応の時間がかかるのに加えて、アプローチの改善も求められます。成果が出るまでには試行錯誤を重ねる必要があるので、長期的な視点に立って、じっくり腰を据えて取り組む必要があります。

社員によっては支配型の方がよい場合も

多くの社員は自らのキャリアアップや、自主的に行動できる環境を求めているので、基本的にサーバントリーダーは歓迎されるでしょう。

しかし一方で、トップダウンで命令してもらいたいタイプの社員もおり、サーバントリーダーシップが合わない可能性がある点は注意が必要です。部下の性格や特性によって、指導・教育の方針を柔軟に変更できるようにしましょう。

サーバントリーダーシップを広めるには?

(出典)https://unsplash.com/

サーバントリーダーシップを社内に広めるには、以下のポイントを意識する必要があります。まずはマネジメント層が必要性を理解し、制度を導入しやすい環境を整えることが大事です。

必要性と期待される効果を共有する

マネジメント層を中心に、サーバントリーダーシップの必要性と期待できる効果を共有し、全社的に認識を広める活動が欠かせません。まずは経営者を含むマネジメント層の意識改革から、始める必要があるでしょう。

スタートアップならば経営者自身が旗振り役となり、自らサーバントリーダーとして模範を示すことが重要です。規模の大きい組織の場合は、リーダー研修などを通じて、サーバントリーダーを育成する環境が求められます。

目標と実施プロセス、効果測定の方法を明確にする

サーバントリーダーシップの導入で何を実現するのか、具体的な目標と実施プロセス、効果測定の方法なども明確にする必要があります。マネジメント層がトップダウンで各部署・部門の管理者に対して、サーバントリーダーとして振る舞うように伝達しても、なかなか管理者の行動は変わらないでしょう。

まずは上記のように、サーバントリーダーシップの有用性を社内で共有しなければいけません。その上で、どういったプロセスでサーバントリーダーを育成するのか、どのような指標で評価するのかなど、具体的な計画に落とし込んで実行していく必要があります。

サーバントリーダーシップで組織の成長を促す

(出典)https://unsplash.com/

サーバントリーダーシップの概要と支配型リーダーとの違い、サーバントリーダーを育成するメリットなどを解説しました。サーバントリーダーシップを通じて、社員のエンゲージメントの向上や、チームの協力体制の構築、組織全体のパフォーマンスの改善などが期待できます。

まずはマネジメント層が有用性を認識し、計画的に導入を進める必要があります。経営者自身がサーバントリーダーとして振る舞ったり、リーダーの育成研修を通じてサーバントリーダーの行動を学ばせたりなど、さまざまな施策を通じて、組織に定着するように工夫しましょう。

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