エンジニアを育てるOJT研修の方法やポイントは?担当者がすべきことも解説

Offers HR Magazine編集部 2023年6月25日

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目次

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エンジニアの育成方法の一つに「OJT研修」があります。新入社員が戦力になるかどうかは、企業の教育の仕方にかかっているといってよいでしょう。OJTを実施する上でのポイントやOJTトレーナーとしての心構えを解説します。

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エンジニア向けにOJT研修を実施する目的

(出典)https://www.pexels.com/

OJT(On-the-Job Training)とは、職場での実践を通じて、業務知識を習得していく育成手法の一種です。職場の上司や先輩から直接的な指導を受けることで、座学では学べない「生きた知識」が身に付きます。

エンジニア向けのOJT研修を導入するに当たり、実施する目的や重要性を理解しましょう。

チームに早く溶け込ませる

OJTを行う目的の一つは、新入社員を1日でも早くチームに溶け込ませることです。エンジニアの仕事はチームワークが基本なので、新たなメンバーが入社したら、相談や質問をしやすい環境をつくる必要があります。

いくら優れた技能を持つ人材の集まりでも、人間関係の土台ができていなければ、プロジェクトを円滑に進めていくことはできません。

OJTでは、先輩エンジニアがOJTトレーナーとなり、新入社員に直接指導を行います。トレーニングを通じて、先輩エンジニアとの信頼関係が構築されるため、結果的にチームや組織に早く溶け込めるようになります。

モチベーションを高める

OJTには、新入社員のモチベーションを高める目的もあります。OJTは1対1の指導が基本です。個々のバックグラウンドや成長スピードに合わせたトレーニングを行うため、途中で落ちこぼれる心配がありません。

先輩エンジニアからの的確なフィードバックや励ましの言葉は、新入社員のモチベーションを高めます。知識習得が目的の研修と比較して、OJTは経験やスキルが定着しやすく、自分自身が着実に成長している実感が得られます。

密なコミュニケーションによって良好な人間関係が醸成されるため、エンゲージメントの向上や職場への定着率アップも期待できるでしょう。

管理職やリーダーを育てる

OJTを導入する目的は、戦力の育成だけではありません。未来の管理職やリーダーを育成する点においても、OJTは大きな効果を発揮します。

OJTトレーナーはチーム内のエンジニアが担当するのが通例です。人の上に立った経験がない人にとって、目標から逆算して育成計画を策定したり、個々の能力に合わせたフィードバックを行ったりすることは容易ではありません。

OJTトレーナーを担当すると、マネジメントスキルや指導力が身に付く上、業務に対する理解度も深まります。OJTの終了後は、教える側と教えられる側の両方の成長が期待できるはずです。

OJTを進める流れ

(出典)https://www.pexels.com/

OJTには一連のプロセスがあります。「やってみせる(Show)」「説明する(Tell)」「やらせてみる(Do)」「評価・フィードバックする(Check)」のサイクルを心掛けると、OJTの育成効果が最大限に発揮されます。

やってみせる

OJTの最初のステップは「やってみせる」です。「新人がなかなか業務を覚えてくれない」と頭を抱える部署の多くは、業務のやり方を説明するだけで、実際に手本を示していないケースが少なくありません。

経験を積んだ社員にとっては当たり前でも、新入社員にとっては全てが初めてです。先輩トレーナーが実際に手本を見せれば、業務の全体像が理解できるでしょう。

ポイントは、難易度の低い業務からスタートすることです。目指すべきゴールを設定した上で、徐々にステップアップできる仕組みを作ると、新入社員は小さな成功体験を積み重ねていけます。

説明する

手本を示した後は、業務内容の具体的な説明をします。やり方や手順、注意点を教えるだけでなく、業務の目的や背景までをしっかりと伝えるのがポイントです。新入社員からの質問にも丁寧に回答しましょう。

  • 何の目的でその作業を行うのか
  • なぜその順番で作業をしなければならないのか
  • それを行うことで、どのような結果がもたらされるのか

「とりあえず〇〇やっておいて」と指示するだけでは、相手は仕事の本質を理解できません。主体性が育ちにくく、上司や先輩からの指示がなければ動けない「指示待ち社員」を増やす要因になります。

やらせてみる

「説明する」までの段階において、新入社員は業務内容を頭で理解している状態です。頭では理解できても、実際にやってみると思い通りにいかないケースが多いため、1回、2回…と繰り返しやらせてみることが重要です。

新入社員をチームに迎え入れるに当たり、OJTトレーナーをはじめとするチームメンバーは、失敗を責めない姿勢を意識する必要があります。作業に取り組んでいる最中は見張るのではなく、温かい目で見守りましょう。

失敗のたびに励ましの言葉をかけてあげれば、相手は失敗を恐れずに挑戦できるようになります。

評価やフィードバックを行う

OJTの実施期間中は、定期的に評価やフィードバックを行いましょう。振り返りを行うことで、新入社員は自己の状況を客観視できます。

具体的には、良かった点・改善すべき点をピックアップした上で、目標を達成するには何をすべきなのかを話し合います。フィードバックというと、改善点の指摘がメインになりがちですが、「褒めること」も忘れてはいけません。

前向きな言葉によるポジティブフィードバックは、新入社員の成長を加速させます。「自分を理解してくれている」という心理的な安心感が得られるため、目標に向かってまい進できるようになります。

OJTの教育担当者に求められる心構え

(出典)https://www.pexels.com/

OJTの成果は、OJTトレーナーの能力に左右されます。教育担当に携わったことがないエンジニアにとって、OJTはハードルが高いと感じるかもしれません。まずは、新入社員と向き合う上での心構えを理解しましょう。

新入社員に対等に接すること

OJTでは、教える側と教えられる側に立場が分かれ、先輩と後輩という上下関係が成立します。

とはいえ、一緒に働くチームメンバーとして、常にフェアな関係を築こうとする努力は必要です。先輩だからといって見栄を張らず、「後輩から学ぶ」という謙虚さを忘れないようにしましょう。

例えば、新入社員からの質問にうまく答えられなかった際、「自分も分からないから、調べたら教えてほしい」と素直な姿勢を見せることも必要です。

一方的に命令するのではなく、「〇〇さんならどう思う?」「そのアイデアはいいね」と相手の意見を受け入れる柔軟性を持ちましょう。

導くことを重視する

新入社員を指導する立場になると、いかに効率よく業務を教えるかに注力する人が多くなります。ただし、業務内容は多岐にわたり、全てを手取り足取り教えるのは困難です。

OJTトレーナーは、教えるよりも「導くこと」を意識しましょう。基本事項はしっかりと教える必要がありますが、主体的に考える機会がなければ人は成長しません。

本人の問題解決力や思考力が試される仕事をあえて与え、どのようなプロセスで解決していくのかを見守ることがポイントです。適切な質問を投げかけたり、ヒントを与えたりして、自ら答えを出せるようにサポートします。

なぜ必要なのかを理解してもらう

仕事の進め方やビジョンは一方的に押し付けず、「なぜ必要なのか」を理解してもらうように努めましょう。

上から目線の指導を行っても、新入社員はついてきません。その場では「分かりました」と答えるものの、やり方に疑問を覚える人や自分なりの考えを持つ人もいるはずです。

腑に落ちない状態で仕事を進めれば、モチベーションが低下します。「どのような背景・意図があってこの方法を選択するか」「なぜこれを実現したいのか」を共有し、できるだけ納得した状態で作業を進めてもらいましょう。

オンライン化に向けた取り組み

(出典)https://www.pexels.com/

新型コロナウイルスの流行や働き方の多様化により、エンジニアのOJTをオンラインで行う企業が増えています。

OJTのオンライン化には、対面とは違った課題点があり、全ての業務がOJTに適しているとは限りません。対面とオンラインの特徴・メリットを理解した上で、自社に合ったスタイルを採用しましょう。

オンラインOJT向きの業務

オンラインOJTでは、Zoomなどのオンラインコミュニケーションツールを活用します。オンラインOJT向きの業務としては、以下のようなものが挙げられるでしょう。

  • 業務内容の説明
  • 目的や目標の設定
  • 進捗管理
  • 成果物の共有
  • フィードバック
  • ミーティングの実施

画面共有機能で手元の資料が共有できるため、作業手順や操作方法の伝達は問題なく行えるでしょう。1対1の研修はもちろん、1対複数の会話も可能なので、クライアントとの打ち合わせに新入社員を参加させることもできます。

オンラインと対面の違い

研修をオンラインと対面のどちらで行うかは企業の判断に委ねられます。オンラインは場所を問わないのが利点ですが、課題点も挙がっています。

  • 人間関係の構築がしにくい
  • 状況把握がしにくい
  • 「見て覚える」が難しい
  • 通信状況の影響を受けやすい

同じ空間にいれば、雑談で盛り上がれますが、オンラインになるとコミュニケーションは最低限になります。チームメンバーとの絆を深めるまでに、一定の時間を要するかもしれません。

画面越しは表情が読み取りにくく、相手の状況や心情、成長の度合いがなかなか把握できないのも難点です。新入社員は、先輩のやり方を真似て覚えることが難しくなるため、体系化されていない技能の習得に苦労する可能性があるでしょう。

ただし、画面上でコードの共有ができる点において、プログラマーのプログラミング研修はオンラインの方がやりやすいケースもあります。

オンラインOJTを実施するポイント

オンラインOJTの課題点をカバーするポイントとしては、以下が挙げられます。

  • 目標を細かく設定し、小まめにチェックする
  • 定期的に課題を出し、習得の度合いを確認する
  • コミュニケーションの機会を積極的に増やす
  • トレーニングを録画して振り返りをする

オンラインでは、進捗状況や習得の度合いが把握しにくくなります。目標を細かく設定したり、定期的に課題を提出してもらったりして、こまめなフィードバックを心掛けましょう。

オンラインOJTの強みは、録画機能が活用できることです。録画は新入社員の復習ツールになるだけでなく、OJTトレーナーの振り返りにも役立ちます。自らの指導や声かけが適切だったかを第三者に評価してもらうのも有効です。

OJTは目的意識を持って進めよう

(出典)https://www.pexels.com/

新入社員の育成方法として、OJTを採用する企業は少なくありません。業務に必要な技能が実践の中で身に付くため、OJTの終了後は即戦力としての貢献が期待できます。

目的意識を持って継続的にOJTを実施すれば、組織のパフォーマンス向上にもつながるでしょう。

現役エンジニアがOJTのトレーナーになる場合、自分の業務とOJTを並行しなければなりません。業務負荷の増大が懸念されるため、チーム全体でフォローする体制を作る必要があります。

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