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エンジニアの採用面接では、候補者が自社が求める人材であるかどうかを短時間で判断しなければなりません。本質を見抜くため、面接官はどのような質問をすればよいのでしょうか?マッチ度を測るための質問例や回答を引き出すポイントを解説します。
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エンジニアの採用面接で見るべきポイント
(出典)https://www.pexels.com/
候補者に対する質問を考える前に、「どのような人材を仲間として迎え入れたいのか」を明確にすることが肝要です。
質問の目的や評価基準が不明瞭だと、面接官の間で認識のずれが生じやすくなります。面接の準備段階では、以下のポイントを擦り合わせておきましょう。
仕事に必要なスキルを持っているか
エンジニア採用では、「業務遂行に必要なスキルの有無」を見極める必要があります。採用後に参加するプロジェクトやポジションに見合ったスキルを持ち合わせていなければ、活躍は期待できないでしょう。
よくあるのが、「実務経験〇年」「大手会社の出身」という表面的な事実だけで候補者を判断してしまうことです。例えば、大手IT企業の出身と無名のベンチャー企業出身では、前者の方が高評価されやすい傾向があります。
目立つ特徴に引きずられると、候補者の本来の能力が正しく評価できません。現場のエンジニアを交えて採用要件を定義しましょう。
採用に対する熱量
エンジニアは場数を踏むほど成長します。業務遂行に必要なスキルを備えていても、入社意欲や仕事に対する熱量が欠如している候補者は、入社後の成長が見込めないのが実情です。
本人の熱量は、志望動機・転職理由・面接中の受け答えなどから判断ができます。
- 事前に共有された資料に目を通していない
- 入社後に何をしたいかのビジョンがない
- 「やります」「頑張ります」の一点張り
- 質問の答えが的を射ていない・転職理由が不明瞭
- 給与や待遇面ばかりをアピールする
入社意欲が旺盛な候補者は、「この会社で自分がどう活躍できるか」「自分が望むキャリアプランが描けるか」をしっかりと考えます。会社のビジョンや事業内容によく目を通した上で面接に臨むため、受け答えに迷いがありません。
一緒に働ける人材か
1人で黙々と作業をこなすこともありますが、エンジニアの仕事はチームワークが基本です。他職種・他部署との連携が求められるシーンも多いため、「一緒に働く仲間としてふさわしいか」を見極める必要があります。
見極めのポイントは複数ありますが、エンジニアにとって「コミュニケーションスキル」と「協調性」は欠かせません。中途採用の場合は、企業と候補者の価値観が一致しているか、すなわち「カルチャーフィット」も重視すべきでしょう。
カルチャーフィットの高さは、会社への定着率や入社後の活躍を左右します。同じ価値観を持つメンバーが多いほど組織に一体感が生まれ、生産性が向上します。
スキルを測る質問例のコツ
(出典)https://www.pexels.com/
エンジニアのスキルは職務経歴書やポートフォリオで判断ができる部分もありますが、数値化が難しい分、面接官ごとにばらつきが生じやすくなります。
特定の特徴に他の評価が引っ張られる「ハロー効果」も起こりやすいため、採用要件に基づいた適切な質問でスキルチェックを行いましょう。
質問例
スキルを見抜くには、以下のような質問が有効です。
- 使用経験のあるプログラミング言語やフレームワークは何ですか?
- なぜその言語を習得しようと思ったのですか?
- コードレビューの経験はありますか?良いコードレビューのポイントは何だと思いますか?
- どのようなバージョンの管理ツールやコラボレーションツールを使用していましたか?
- 開発経験のあるプロジェクトの規模・役割・業務内容・期間を教えてください。
- 過去のプロジェクトや仕事の中で、最も成果を上げたものは何ですか?
- 開発で最も得意とする分野は何ですか? 逆に、苦手な分野もあれば教えてください。
- 直面した課題や困難はありましたか?そのときにどう対処しましたか?
質問を作成するポイント
質問を作成する上では、「どのスキルをどの程度まで求めているのか」を明確にすることが前提です。採用チームに技術面の知見がないと、現場に見合わない人材を採用する恐れがあります。採用基準の設定から面接に至るまで、現職のエンジニアを交えましょう。
経験や実績に関する質問では、成果を上げたプロジェクトだけでなく、一番努力した経験や挫折した経験なども質問に加えるのがポイントです。困難への向き合い方や成長の度合いが測れます。
回答で見るべきポイント
通り一遍の質問をしただけでは、エンジニアとしての実力は見極められません。言語やフレームワーク、開発実績などの基本的な事項を質問した後、それにまつわるエピソードを深掘りしていきましょう。チェックポイントは以下の通りです。
- 実績・経験・スキルの内容が自社が求める基準に合っている
- 職務経歴書やポートフォリオの内容と相違がない
- 回答に曖昧な部分がない
技術的な要件を満たしていない人は見送る必要がありますが、要件を満たしていても安易に採用すべきではないケースもあります。
中途採用には即戦力が求められるため、「これから学んで覚えたいという人」「教えてほしい・学びたいをアピールする人」や「会社にどう貢献できるのかが分からない人」は避けた方がよいでしょう。
熱量を測る質問例のコツ
(出典)https://www.pexels.com/
入社意欲や仕事に対する熱量は、保有スキルと同じくらい重要です。ありきたりな質問からはありきたりな回答しか得られません。候補者の真の姿を見抜くには、どのような質問を投げかけるのが望ましいのでしょうか?
質問例
エンジニアの熱量を測る質問には、以下のようなものが挙げられます。
- なぜこの会社に入社したいと思いましたか?
- 具体的に、自社のどのような点に興味を持ちましたか?
- これまでの業務で最もやりがいを感じた経験は何ですか?
- 自分が仕事をする上で、1番大切にしていることは何ですか?
- 入社後、どのような役割を担うことを望んでいますか?
- 仕事において、自分自身に課題を設定していますか?
- 自分自身が達成したい目標やキャリアプランは何ですか?
- これから学びたいことや、スキルアップしたいことはありますか?
質問を作成するポイント
会社に対する入社意欲が低く、「労働条件さえよければどこでもよい」という考えの人が一定数います。
このようなタイプの人は、言われるがままにタスクを遂行するだけで、成長意欲がほとんどありません。問題や壁にぶつかると、責任逃れの行動に走る可能性が高いため、マイナスの資質を面接段階で見逃さないことがポイントです。
候補者の熱量がダイレクトに反映されるのが「志望動機」です。「仕事でやりがいを感じたこと」や「自分が仕事をする上で大切にしていること」も質問のリストに加えましょう。
回答で見るべきポイント
入社意欲が高い人は、入社前の企業研究を怠りません。企業理念やビジョンには必ず目を通し、自分が会社にどう貢献できるかを明確に表現できます。
事前資料や企業のホームページなどに全く目を通していないと思われる人は、いくらスキルがあっても見送るのがベターでしょう。
また、志望動機が「他社でも通用するありふれたもの」である場合、応募への熱量はそれほど高くはないと推測されます。「企業理念に共感した」と回答した場合は、「どこに・なぜ引かれたのか」を掘り下げましょう。
候補者の回答から、働いている姿をリアルに想像できるようであれば、自社の求める人材像にマッチしているといえます。
人柄や価値観を測る質問のコツ
(出典)https://www.pexels.com/
エンジニアはチーム単位で業務を遂行するため、コミュニケーションスキルや協調性は必須です。組織風土やチームメンバーとのマッチ度が図れる質問を作成しましょう。面接にチームメンバーを参加させ、人柄や価値観をチェックしてもらう手も有用です。
質問例
コミュニケーションスキルや協調性、カルチャーフィットを測る質問としては、以下のようなものがあります。
- チーム内では、どのような役割を担いましたか?
- プロジェクトの進捗状況や課題について、上司やチームメンバーとどのようにコミュニケーションを取りましたか?
- メンバーとのコミュニケーションを円滑にするために、何が最も大切だと思いますか?
- 他のメンバーと意見が分かれたとき、どのように対処しますか?
- 進捗が遅延しそうなとき、どのように対応しますか?
- 過去に働いた組織やチームで良かった点を教えてください。また、どのような点を改善すべきだと思いましたか?
- どのようなマネジメントスタイルがあなたに適していますか?
- 当社のビジョンやミッションにどのような印象を持ちましたか?
質問を作成するポイント
スキルは書類上からおおむね把握できますが、人柄や価値観、自社とのマッチ度は会話の中でしか分からない部分があります。結果や実績そのものではなく、そこに至るまでの道のりやアプローチの仕方が分かるような質問を心掛けましょう。
特に、キャリアの長いエンジニアは、前職の組織風土が染みついていたり、自分なりの仕事のやり方が確立されていたりして、新たな組織に溶け込むのに時間がかかります。
本領を発揮できるかどうかは、環境によるところが大きく、どのような組織でも同じような結果を残せるとは限りません。前職の業務環境やチームでの役割、問題の解決方法などを掘り下げていくことで、自社との相性や入社後の活躍が分かります。
回答で見るべきポイント
実際の業務では、メンバーとのコミュニケーションや協調性が常に試されます。「意見が食い違う」「プロジェクトが遅延する」など、起こり得る問題や課題を設定した上で、候補者がどう対応するのかに注目しましょう。
過去に携わったプロジェクトや組織について質問した際、不平・不満ばかりを並べたり、他責的な物の言い方をしたりする候補者には注意が必要です。謙虚な姿勢に欠けた人が入社すると、チームの輪が乱れる恐れがあります。
知識やスキルは実務で身に付けられますが、人柄や価値観といった内面的要素はなかなか変えられません。適切な質問によって本音を引き出し、素の姿を見極めることが面接官の役目といえます。
回答を引き出すポイント
(出典)https://www.pexels.com/
候補者を正しく評価するには、本音を引き出すことが重要です。しかし実際は、マニュアル通りの受け答えをする候補者や緊張でうまく話せない候補者が多く、素の姿が見えてこないのが現実です。本音を引き出すには、どのような工夫が必要なのでしょうか?
話しやすい雰囲気をつくる
面接官は限られた時間の中で、候補者の人柄やキャリア、自社とのマッチ度を見極めなければなりません。聞きたい内容を答えてもらうためには、候補者がリラックスして話せる環境・雰囲気を作る必要があります。
相手の心を開くのに有効なのが、「アイスブレイク」です。氷を解かす意味から派生して、硬い雰囲気や緊張を解くといった意味があり、商談や面接などの緊張を伴うシーンに活用されます。
具体的には、本番前にちょっとした雑談やゲームを取り入れ、場の空気を和ませます。以下は、アイスブレイクに使える質問の一例です。
- 趣味は映画と書かれていますが、最近はどんな映画を見ましたか?(趣味)
- ここ最近は暑い日が続きますが、体調管理は大丈夫ですか?(天気)
- 休みの日はどう過ごしていますか?(休日の過ごし方)
カジュアル面談の実施
採用選考の前段階として、カジュアル面談を実施する手もあります。「採用担当者と求職者が互いを理解する場」であり、基本的に合否判定は行いません。ランチ会の名目で実施するケースもあれば、オンラインで行うこともあります。
求職者にとって、採用担当者は「企業の顔」であると同時に、一緒に働く先輩の姿でもあります。「安心して話せそう」と感じれば、自然と本音を語ってくれるでしょう。リラックスした雰囲気の中、方向性や相性の一致度が測れるため、採用のミスマッチが低減します。
また、優秀なエンジニアは高年収・高待遇で企業に囲い込まれており、転職市場にはなかなか姿を現しません。カジュアル面談を実施すれば、転職市場外にいる「優秀な潜在層」ともやりとりができます。
質問は目的や想定される回答を整理した上で行う
(出典)https://www.pexels.com/
エンジニアの採用面接では、面接官の質問力が試されます。採用要件に基づいた適切な質問を重ねていくことで、候補者の実力や人柄、入社後の活躍が見えてくるのです。
採用に失敗する企業は、採用要件の擦り合わせや適切な質問内容の設定ができていない可能性があります。
自社が求める人材像を明確にした上で、「どのような質問をするのがベストなのか」を話し合いましょう。一問一答ではなく、応募者の回答に合わせた「深掘り質問」も欠かせません。
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