ピッチとは?プレゼンテーションとの違いやポイント、資料の作成手順を解説

Offers HR Magazine編集部 2023年4月20日

Offers HR Magazine編集部

目次

ビジネスチャンスをつかみたいスタートアップ企業は、ピッチのスキルを磨きましょう。経営者はもちろん、各社員がピッチを習得すれば、企業にさまざまなプラスの効果がもたらされます。プレゼンテーションとの違いやピッチ資料の作成手順などを紹介します。

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ピッチの基本知識

(出典)https://www.pexels.com/

スタートアップ企業の間では、「ピッチ」という専門用語がよく使われます。ピッチと聞くと、投手が球を投げることを思い浮かべる人が多いかもしれません。ビジネスでは、どのような意味で用いられているのでしょうか?

ピッチとは?

ピッチの語源は英語の「Pitch」です。本来は、「(ボールを)投げる」「(テントを)設営する」「(音の調子を)整える」などの複数の意味がありますが、ビジネスでは「短い時間で分かりやすく相手に提案をすること」の意味で用いられています。

国内外では、複数のスタートアップ企業が投資家に対してピッチを行う「ピッチイベント」が開催されています。資金調達や事業提携のチャンスをつかむには、自社商品・サービスの魅力を分かりやすく伝えなければなりません。

一人一人に与えられるアピールタイムはわずか数分間なので、伝えたいことを端的に整理した上で、インパクトのある話し方をする必要があります。

プレゼンテーションの違い

プレゼンテーションは、顧客や社内メンバーといった「特定の人物」に対して行われるのが通常です。商品・サービスを既に認知しているため、専門用語を交えながら、一歩進んだ提案を行います。時間は数十分~1時間ほどで、複数の資料やスライドが用いられます。

ピッチは、前提知識のない「初対面の相手」に対して行われます。ピッチの種類にもよりますが、時間は10分以内がほとんどでしょう。商品やサービス、アイデアなどを短時間で売り込む必要があるため、難しい専門用語はほとんど使われません。ピッチはプレゼンテーションを短くしたバージョンと考えましょう。

ピッチの種類

(出典)https://www.pexels.com/

ピッチにはいくつかの種類があり、目的やシーンによって使い分けられています。中でも「エレベーターピッチ」は普段の生活で活用しやすく、ビジネスの人脈づくりにも生かせるでしょう。エレベーターピッチとその他のピッチに分けて、それぞれの特徴を解説します。

エレベーターピッチ

「エレベーターピッチ」は、30秒程度の短いピッチのことです。エレベーターに乗り合わせた投資家に30秒程度のピッチができれば、「もっと話を聞いてみたい」と思ってもらえる可能性があります。

アメリカのシリコンバレーでは、多忙な投資家からプレゼンテーションの機会を得る手法として認知されています。意思決定を促すのではなく、あくまでもきっかけやチャンスを作るのが目的です。

30秒は文字にすると、250字程度です。的確に要点を伝えると同時に、相手の興味・関心を引き出すテクニックが求められます。インパクトを与えるには、話のテンポや言葉選びも重要でしょう。

その他のピッチ

エレベーターピッチの他に、「コンテストピッチ」「ツイッターピッチ」「インベスターピッチ」があります。それぞれのピッチは、どのような場面で用いられるのでしょうか?

コンテストピッチ

コンテストピッチとは、イベントで自社の事業計画やアイデアを提案することです。国内外では、ベンチャー企業や起業家を対象としたピッチのイベントが開催されています。複数の起業家が審査員(投資家)に対してピッチを繰り広げ、事業内容やピッチのでき栄えなどを競います。

コンテストピッチのメリットは、審査員からのフィードバックにより、事業計画がブラッシュアップされる点です。その他にも以下のようなメリットがあり、積極的にイベントに参加する起業家は少なくありません。

  • 報奨金が獲得できる
  • 入賞によって知名度が上がる
  • 投資を検討してもらえる可能性がある

ツイッターピッチ

ツイッターピッチとは、TwitterをはじめとするSNSを活用して行うピッチのことです。事業を連想させるひと言をSNSでつぶやき、事業に投資してくれる人を募ります。

SNSの中でもTwitterは拡散力に優れており、話題性のある情報は瞬く間に広がります。ユーザー同士の自発的な情報共有も期待できるため、より多くの個人投資家にアプローチができるでしょう。

ただ、Twitterでつぶやいたからといって、必ずしも多くの人が見てくれるとは限りません。ありきたりなつぶやきは他の投稿に埋もれやすく、情報共有の効果も期待できないのが実情です。ツイッターピッチでは、インパクトのある「比喩表現」を活用するのがポイントです。

インベスターピッチ

インベスターピッチとは、起業家が投資家に向けて行うピッチの一種です。「Investor(インベスター)」には、「投資家」の意味があります。一般的なピッチは、数分程度の短い時間内で行われますが、インベスターピッチには、30分程度のまとまった時間が確保されるのが特徴です。

代表的なインベスターピッチの一つに、M&A(企業の合併と買収)の過程で実施される「マネジメント・プレゼンテーション」が挙げられます。相手は、既に検討段階にある投資家なので、投資対効果や将来性などの一歩踏み込んだ内容を盛り込む必要があります。

ピッチを行うメリット

(出典)https://www.pexels.com/

ピッチは起業家だけに限られたものではなく、全てのビジネスパーソンに必要なものです。自社の商品・サービスを売り込む際に使用すれば、認知度の向上や新規顧客の獲得が期待できます。社員がピッチを習得すれば、仕事の効率化や業績アップにつながるでしょう。

認知度の向上

コンテストやイベントでピッチを行うと、自社の認知度が向上するのがメリットです。大規模なイベントで入賞すれば、マスコミに大々的に取り上げられる可能性があります。宣伝効果によって、ビジネスは大きく飛躍するでしょう。

例えば、資金調達に悩むスタートアップ企業やベンチャー企業は、事業計画に賛同した投資家からの資金援助が獲得できるかもしれません。ステークホルダーからの支持や信頼が厚くなり、事業が軌道に乗ることも考えられます。

認知度の向上は、人材の採用にもメリットをもたらします。大手企業と比べると、スタートアップ企業は優秀な人材の確保が難しいのが現実ですが、「この会社で働いてみたい!」という求職者が増える可能性があるでしょう。

新規顧客獲得の促進

ビジネス面では、新規顧客の獲得が促進されます。魅力的なピッチを展開できれば、商品やサービスに興味を持つ顧客はどんどん増えていくでしょう。

資金が潤沢な大企業の中には、優秀なスタートアップ企業と連携して、ビジネスの拡大や転換を図りたいと考えているところも少なくありません。しかし、多忙な投資家や経営者は、話にじっくりと耳を傾けられる時間がないのが実情です。

30秒のエレベーターピッチがうまくいけば、プレゼンテーションやミーティングの機会が得られ、結果的に事業提携や出資の約束が取り付けられる可能性があるでしょう。ピッチイベントを通じて、大手企業が自社の顧客になってくれる可能性もあります。

社員のビジネススキルが向上する

ピッチが必要なのは、経営者や起業家だけではありません。社員一人一人がピッチを習得するとビジネススキルが向上し、企業の力が底上げされます。社員に起こるプラスの変化としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 相手からの理解や承認が得られやすくなる
  • プレゼンテーション力が向上する
  • 営業成績がアップする
  • 相手との信頼関係が構築しやすくなる
  • ミーティングにかかる時間が短くなる

特に、チームプロジェクトが多いエンジニアには、相手の立場に立った分かりやすいコミュニケーションが求められます。ピッチを習得すれば、ロジカルで端的な話し方ができるようになるため、プロジェクトが円滑に進むでしょう。

ピッチの資料を作成する手順

(出典)https://www.pexels.com/

数十秒~数分という限られた時間の中、相手の心を動かす提案をするには、入念な事前準備が欠かせません。骨子や構成を作成した上で、要点をしっかりと盛り込みましょう。ピッチを作成する流れとポイントを解説します。

ターゲット・ゴールを決める

まずは、ピッチのターゲットとゴールを設定します。「誰に・何を伝えたいのか」が曖昧な状態だと、相手の心に刺さる提案や説明ができません。共感が湧き起こらないばかりか、相手を混乱させる可能性もあります。

例えば、スタートアップ企業が資金調達をゴールとする場合、ターゲットは投資家や投資ファンドです。ひと口に投資家といっても、さまざまなタイプの人がいるため、より具体的な人物像を描きましょう。複数のターゲットを想定する場合は、より多くの人が納得できる目的を掲げる必要があります。

骨子・構成を作成する

続いて、骨組みとなる全体の構成を作成しましょう。最初から具体的な内容を作り込んでしまうと、話にまとまりがなくなる上、ゴールを見失う恐れがあります。

本の目次を作る要領でテーマを書き出した後、内容の過不足がないかをチェックします。順序を入れ替えたり、修正を加えたりして、全体を整えていきましょう。

以下は、ピッチを構成する要素の一例です。全ての要素を盛り込むのは難しいため、内容には優先順位を付けましょう。

  • 顧客の課題
  • 解決策
  • ビジネスモデル
  • 市場規模
  • チーム・実績
  • 将来性・今後の事業計画

作成する

次に、構成を基に具体的な内容を作成していきます。相手の共感を得るためには、どんなに短い構成でも「ストーリー性」が欠かせません。以下の点を意識すると、ターゲットの心に響くストーリーが展開できます。

  • Why this?(なぜこれをやるのか?)
  • Why now? (なぜ今やる必要があるのか?)
  • Why you?(なぜあなたでなければならないのか?)

出だしは、相手の興味を引きつける言葉から始めましょう。「〇〇についてお困りではないでしょうか?」「〇〇のようなアイテムがあったらいいと思いませんか?」など、相手の気持ちを代弁するようなテーマを提示するのがポイントです。

話の最後は、ピッチのテーマを改めて振り返りながら、何らかの行動を促すような提案で締めくくりましょう。新商品をおすすめしたり、次の約束を取り付けたりして、相手を次の段階に誘導します。

デザインを検討する

ピッチのための資料は、プレゼンテーションに使われるような分厚い紙の資料である必要はありません。スライドや動画などを活用し、分かりやすさ・見やすさを意識しましょう。1枚のページにコンテンツを盛り込みすぎると、話の内容が耳に入らなくなってしまいます。

資料内容はシンプルで簡潔なものが好ましいですが、表紙にはある程度のインパクトも必要です。会社名とテーマのみでは味気ないため、ブランドイメージに沿ったデザインを考えましょう。迷ったときは、他社のピッチ資料を参考にするのも手です。

代表的なピッチイベント

(出典)https://www.pexels.com/

日本国内で開催されている代表的なピッチイベントを紹介します。資金調達や事業提携の機会を確保したいスタートアップ企業は、ぜひ参加を検討しましょう。ピッチのスキルを磨くために、最初は聴衆として参加するのもおすすめです。

ベンチャー企業と大企業をつなぐ「Morning Pitch」

Morning Pitchは、ベンチャー企業と大企業のマッチングを目的としたピッチイベントで、「デロイト トーマツ ベンチャーサポート株式会社」と「野村證券株式会社」が幹事です。毎週5社のベンチャー企業が、大企業やベンチャーキャピタルをはじめとする約200~300名の聴衆の前でピッチを行います。

ピッチは1企業につき4分間で、1社ごとに15分の質疑応答が設けられます。プレゼン終了後に参加者同士が交流できるため、ビジネスマッチングが生まれやすいでしょう。2022年12月までに登壇したベンチャー企業は累計2,150社超(※)で、約65社が新規上場を果たしています。

※複数回登壇した企業を含む

Morning Pitch « ベンチャーと大企業の事業提携を生み出すプラットフォーム

ヘルスケア分野や特化型「HVC KYOTO」

HVC KYOTO(Healthcare Venture Conference KYOTO)は、ヘルスケア分野に特化した英語のピッチイベントです。ヘルスケア分野のベンチャー企業はもちろん、成果の実用化を目指す研究者やアイデアのある学生も参加できます。

エントリー後、書類選考による応募者の選抜が行われます。通過者は専門家による「事業アドバイスセッション」に参加できますが、デモデイ当日にピッチ登壇できるのは、ファイナリストのみです。

過去の登壇者(延べ140件)は、ピッチ発表後に累積総額約300億円(※)の資金調達に成功しています。デモデイ当日は、個別面談や併設展が予定されているため、新たな顧客やパートナーとの接点が確保できるでしょう。

※2023年1月現在。国内企業、で公開情報限り。

HVC KYOTO 2023デモデイ開催決定 !-パートナー・スタートアップ募集- | イベント | Healthcare Venture Conference KYOTO | 京都リサーチパーク

ともに学び、ともに産業を創る。「ICCサミット FUKUOKA 2023」

ICCサミットは、ICCパートナーズが主催するカンファレンスです、「ともに学び、ともに産業を創る」がテーマで、毎回400名以上が登壇しています。2023年度のICCサミットは、2月13日〜16日の4日間で、福岡のヒルトン福岡シーホークで開催されました。

ピッチコンテスト「カタパルト」は、「スタートアップ・カタパルト」や「SaaSカタパルト」など、5ジャンル以上に分かれているのが特徴です。ベンチャー企業や新規事業の責任者が約7分間のプレゼンテーションを行った後、審査員が優秀者を決定します。

【開催情報】ICCサミット FUKUOKA 2023 | 【ICC】INDUSTRY CO-CREATION

新規開拓と社員の成長に役立つ

(出典)https://www.pexels.com/

ベンチャー企業の経営者や社員がピッチを習得すると、投資家や顧客の心に刺さる提案やトークが展開できます。ビジネスチャンスの獲得や新規顧客の開拓に役立つほか、業務効率の向上や信頼関係の構築にもプラスの影響をもたらすでしょう。

上手なピッチを行うためには、事前準備と練習が欠かせません。目的やターゲット、伝えたいことが定まっていない場合、時間はあっという間に過ぎてしまいます。国内のピッチイベントに参加したり、社内ピッチを開催したりして、社員一人一人のピッチスキルを磨きましょう。

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