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エンジニアの内定辞退には、企業側の対応の甘さが関係しています。優秀な人材を確保するには、応募者の立場に立ったフォローや魅力付け、情報提供が欠かせません。内定辞退がもたらす企業への影響や内定辞退率を下げる対策を解説します。
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エンジニアに内定を辞退される原因は?
(出典)https://unsplash.com/
IT人材の不足が叫ばれる中、企業間ではエンジニアの獲得競争が激化しています。内定者から早々に内定を辞退されると、企業側は選考のやり直しを迫られます。優秀な人材をしっかりと囲い込むためには、内定辞退に至る原因を突き止めなければなりません。
選考期間の長さ
選考に時間がかかる企業ほど、優秀な人材を逃しやすくなります。面接から内定承諾までの大まかな流れは、面接→選考期間→内定通知→内定承諾です。引く手あまたのエンジニアは、自社以外にも複数の会社にエントリーし、少しでも待遇が良い企業を選択したいと考えています。
選考期間が長いと、他の企業からスカウトされたり、条件のよい企業から先に内定通知をもらったりする可能性が高まるでしょう。「本当にこの企業に就職してよいのだろうか」「面接に落ちたのかもしれない」と悩み、次の面接への準備を始める応募者も出てきます。
社内手続きや承認に時間がかかっている企業は、採用プロセスを一から見直す必要があるかもしれません。
評価が不明瞭
スキルや経験に対する評価基準が不明瞭な企業では、エンジニアの内定辞退が増える恐れがあります。
エンジニアの仕事は、結果や成果が数字で表せないケースも少なくありません。「選考過程でスキルや経歴がどのように評価されるのか」「入社後はどのような人事評価を行うのか」をしっかりと伝えない場合、自分が活躍するイメージが湧きません。
評価が定性的で、かつ働くイメージやメリットが明確に思い描けないと、入社意欲が大幅に低減してしまいます。優秀な人材を確保するためにも、具体的なデータや事例を示すことが肝要です。
面接官にエンジニアへの理解がない
面接は、企業側が応募者を一方的に評価する場ではありません。マッチ度を確認するための対等な場であり、その企業で働く社員や面接官の言動によって、応募者の入社意欲が大きくそがれることもあるのです。
エンジニアの現場を理解していない人が面接官になると、給与水準に見合わない高難度な業務を提示する恐れがあります。志望動機を深掘りする割には、仕事や人事評価に対する説明が不十分で、応募者は入社のメリットを感じられません。
SNSで個人が自由に発言できる時代、面接官や社員の言動は瞬く間に広がります。内定辞退が相次ぐ企業は、不適切な発言や威圧的な態度がなかったかを顧みましょう。応募者の気持ちに寄り添った面接をしない限り、優秀な人材の確保は困難です。
内定辞退率が高いことで発生する問題
(出典)https://unsplash.com/
理想と現実のギャップを感じると、応募者は内定辞退の道を選択します。売り手市場において、多少の内定辞退は想定の範囲内ですが、内定辞退率があまりにも高いと、企業は多くの問題や損失を抱えるでしょう。
採用プロセスの遅延
内定辞退率が上がると、採用プロセスが遅延します。新たな応募者を募るために、採用計画を一から練り直し、会社説明会・セミナー・求人募集・書類選考などをやり直さなければなりません。
採用プロセス全体が遅延すると、タイムリーな採用活動ができなくなります。他の企業に後れを取り、優秀なエンジニアを逃しやすくなる可能性が高まるでしょう。
採用業務の長期化によって既存社員の業務量が大きく増え、モチベーションの低下を招く恐れもあります。
採用コストの増加
採用プロセスのやり直しに伴い、採用コストの増加が懸念されます。採用コストは社外の業者に支払う「外部コスト」と社内のリソースに対する「内部コスト」があり、どちらも決して安いものではありません。コストの一例を列挙します。
- 求人サイトへの広告費
- 採用サイトの制作費
- 企業説明会やイベントに伴う費用
- 応募者に支払う交通費
- 面接・適性検査の実施費用
- 採用担当者の人件費
書類選考や一次面接の段階で辞退すれば、その後の採用コストは抑えられますが、最終選考後に辞退されると採用計画が大幅に狂います。これまでにかけたコストや時間が無駄になり、企業は大きな痛手を負うでしょう。
採用目標の未達成
採用活動に際し、多くの企業では「採用目標」を策定しています。「いつまでに・どのような人材を・何人採用するのか」を具体的に定めることで、各プロセスでのアクションが明確になります。
内定辞退率が上がると、当然ながら採用目標は達成されません。「エンジニアを採用して、社内のDX化を加速させる」「デジタル技術で業務効率化を目指す」など、人材に合わせて事業計画を策定している場合、企業の成長が阻まれる恐れがあります。経営層は、計画や戦略の見直しを迫られるでしょう。
内定辞退率を下げるためのポイント
(出典)https://unsplash.com/
やみくもに採用プロセスを進めるだけでは、エンジニアの内定辞退率は変わりません。内定辞退が起こる原因を明らかにした上で、応募者の立場や心証に寄り添った準備・フォローを心がけましょう。
採用担当者を任命する
エンジニア採用を始める前に、採用担当者を任命しましょう。外部から新たに採用する手もあれば、社内のエンジニアに兼任してもらう方法もあります。いずれにしても採用を人事だけで行わずに、現場サイドを巻き込んでいくことが重要です。
エンジニアへの理解が欠乏している場合、技術スキルの的確な見極めができません。面接では応募者と対等な話し合いができず、相手に不安感や不信感を与えてしまいます。
内定承諾に至ったとしても、エンゲージメントやモチベーションの低下により、早期離職につながる可能性が高いでしょう。採用後に離職された場合、採用コストと教育コストの両方が水の泡になります。
内定後も適切にフォローを入れる
優秀なエンジニアを逃さないためには、内定者への適切なフォローが欠かせません。内定承諾または入社日までの期間が長い場合は、メールやチャットで定期的にコミュニケーションを取りましょう。個人面談やイベントを企画するのも有用です。
内定者の多くは、内定後もさまざまな不安を抱えています。入社までの期間が長ければ長いほど、「この会社に入社していいのだろうか」という迷いが生じます。企業側が内定者へのフォローを怠った場合、他社に気持ちがなびくかもしれません。
ただし、内定者への執拗な連絡やプライベートの深掘りは控える必要があります。しつこい印象を持たれると、逆に内定辞退につながってしまいます。
社内見学・体験入社の実施
内定辞退や採用後のミスマッチを減らす取り組みの一つに、社内見学や体験入社が挙げられます。オンラインでのやりとりが当たり前になりつつある昨今、一度も会社に足を運ばないまま入社日を迎えるケースも少なくありません。
内定辞退や早期退職は、理想と現実のギャップによって引き起こされます。企業と応募者の相互理解を深め、「この会社で働きたい!」と強く思ってもらうためにも、職場の雰囲気を内定者に開示する機会を設けましょう。
社内見学はオンラインとオフラインの2パターンがあります。コロナ禍の影響もあり、近年は社内の紹介動画やバーチャルツアーを用意する企業が増えています。
カジュアル面談を行う
カジュアル面談とは、選考前に実施する面談の一種です。相互理解と情報交換が主な目的で、面談の内容は人事選考に一切影響しません。特に、IT関連企業やSaaS企業での導入事例が多く、以下のようなメリットが期待できます。
- 内定辞退・採用のミスマッチが回避できる
- 転職潜在層との接点ができる
- 適切なアピールにより、自社への興味を持ってもらえる
カジュアル面談では、自社のビジョンや仕事内容、現在における課題などを伝えます。仕事のイメージを共有することで、「思っていたイメージと違った」という理想と現実の乖離が少なくなるのです。
Offersにはカジュアル面談を実施し、希望通りのエンジニアを採用した企業の事例があります。当初はスカウトを中心とした採用活動を行ってきましたが、Offersによるアプローチに切り替え、カジュアル面談やスカウトを実施しました。その結果、自社が求める人物像にマッチしたMLエンジニアの獲得に成功しています。
出典:MLエンジニアを2名採用。1年間ずっと出会えなかった層にOffersですぐ出会えました | Offers Magazine
求人サイトの記載も要注意
(出典)https://unsplash.com/
求人サイトの記載方法によっても、エンジニアの入社意欲は大きく左右されます。既存のテンプレートに入力しただけでは、自社の魅力が伝わらない上に、他社の求人情報に埋もれてしまうでしょう。ポイントは、「働く姿をどれだけリアルにイメージしてもらえるか」です。
情報は正確に記載する
求人サイトに記載する内容は、情報の正確性を担保しなければなりません。エンジニアの業務に疎い人事担当者が内容を作成すると、プログラミング言語のスペル違いに代表される「初歩的な記載ミス」を犯すことがあります。
また、社内エンジニアに言われた条件をまとめただけの文章は、要点が分かりにくく、全体像がつかみにくいケースが大半です。求人サイトに誤りが目立つと、応募者は「人事と開発部門の協力関係がうまくいっていない企業」と判断し、入社後の環境に不安を覚えます。
具体的な要件・条件が分からない
求人サイトに具体的な要件・条件が記載されていないと、入社後のイメージが湧きません。以下のような求人はエンジニアに敬遠される可能性が高いといえます。
- 企業理念や夢だけで、仕事内容が分からない
- 「さまざまな開発案件」でひとくくりにされている
- 「開発経験〇年以上」としか書かれていない
- 応募要件の言語が絞り込まれていない
- 年収幅が広すぎて、評価基準が分からない(例:300~1,000万円)
応募者は、「具体的な内容を提示しない企業=エンジニアへの理解が欠如している」と認識します。実際、過度な期待をかけられたり、エンジニアの枠を超えた業務を任されたりするケースも多いため、応募者は警戒心を抱かずにいられないのです。
求める人物像・ビジョンを記載する
「自社に合う人材がなかなかいない」という企業は、求める人物像やビジョンを明確に示しましょう。自社が求めるターゲット層からの応募が増え、採用の質が向上します。ビジョンや方向性を示せば、価値観が一致している人が多く集まるはずです。
採用基準を設定するに当たり、人事と現場の協働が不可欠です。必須スキルや経験、人柄などを現場に丁寧にヒアリングした上で、具体的な要件に落とし込んでいきましょう。
ITの現場では、既存メンバーのスキルやポテンシャルを可視化した「スキルマップ」の作成が有効です。強みや弱みが明らかになると、チームに迎えるべき人材像がよりクリアになります。
内定辞退の原因を見極めて採用につなげよう
(出典)https://unsplash.com/
内定辞退をする原因は、必ずしも応募者側にあるとは限りません。選考期間が長引いたり、内定者へのフォローがないがしろになったりすれば、人材は容易に離れてしまうのが現実です。
企業のデジタル化が急がれる中、エンジニアの獲得競争は激しさを増しています。内定辞退率の高さに悩む企業は、原因の洗い出しからスタートしましょう。優秀な人材をしっかりとつなぎとめるために、エンジニアの視点に立った採用プロセスを考案する必要があります。
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