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採用基準が曖昧だと自社にとって必要なスキルを持ったエンジニアを採用できない可能性が高くなります。本記事では、エンジニアを採用する基準の作り方や失敗要因を解説します。エンジニアを採用する前に、まずは基準の見直しを行いましょう。
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なぜ採用基準の明確化が必要なのか
(出典)https://unsplash.com/
スタートアップ企業や中小企業では、人事や経営者の一存で採用基準を決めてしまうケースも少なくありません。このような採用方法では、採用者と現場のミスマッチなど、大きな問題につながることもあります。
逆に、採用基準を明確にすることで、以下のようなメリットを得ることが可能です。
- 採用プロセスの透明性・公平性が確保できる
- 採用のノウハウが蓄積される
- 採用候補者とのコミュニケーションがスムーズになる
採用基準を明確化することは、透明性・公平性の担保につながります。例えば、不採用となった候補者から問い合わせがあった場合に、不採用理由について伝えることで不信感を払拭することができます。
また、採用担当者にも「候補者のどのようなところに注目して採用を決定するのか」といったノウハウが蓄積され、以降の採用活動にも生かせるでしょう。
候補者との面談時などにも、採用に必要な要素について掘り下げて聞けるため、候補者とのコミュニケーションがスムーズになるだけでなく、現場にとって本当に必要なスキルを持った人を採用できる可能性が高くなります。
採用基準で失敗してしまう理由
(出典)https://unsplash.com/
採用基準は決めているものの、効果的な採用活動ができていない、自社に必要な人材を採用できていない場合は、以下の理由が考えられるでしょう。
経営陣のみで採用基準を決めてしまう
経営陣が採用基準を決める際に陥りがちな問題の一1つは、偏った視点に陥ることです。経営陣は、企業のビジョンや戦略に基づいて人材を採用する必要があります。
そのため経営陣は、売上や利益などの数値的な目標に注目することが多く、人間性や社会性などの非数値的な要素を見落とすことがあります。とくにエンジニアの場合、直接的な売上には関与しない役職もあるので、売上重視で採用基準を決めると、現場の負荷が大きくなってしまいます。
十分なスキルやキャリアを持っている人材を採用したとしても、現場でコミュニケーションがうまくいかずに想定していたパフォーマンスを出せないということも考えられるでしょう。
また経営陣は、自分たちと似たような人材を採用する傾向にあります。これは、自分たちと共通のバックグラウンドやスキルを持つ人材を好む傾向があるためです。一方で、多様性のあるチームであれば、創造性やイノベーションを促進することができます。
異なるバックグラウンドや文化を持つ人材を採用するためにも、現場の人間や管理する人間と併せて採用基準を作ることが重要です。
市場やニーズに合わせずに採用基準を決めている
採用基準を決めるためには、市場やニーズを見ることも重要になります。
例えば、企業が特定のスキルを必要としている場合でも、そのスキルが市場で需要が少ない場合は、求職者が少なく、採用が困難になる可能性があるでしょう。
逆に市場で需要が高いスキルを求めている場合、競争率が高いことが予想されますので、採用基準をある程度緩和したり待遇を良くするなど対策を取らないと、応募が来ないことも考えられます。
現在の市場にどのような人材がいるか、また求める人材の市場価値を把握した上で採用基準を決めなければ、採用が失敗する可能性が高まります。
理想の人物像に合わせて基準を設けている
例えば何らかの商品を購入する際に、自分の理想を全て満たした商品を探すことは容易ではありません。
なぜなら、一般に出回っている服をはじめとした商品は、多くの人に購入してもらうために設計されているため、個人の細かい趣味や嗜好にまで対応しているわけではないからです。
これは、エンジニア市場でも同じことがいえます。市場で求職活動をしているエンジニアの多くは、できるだけ多くの企業から求めてもらえるように、マジョリティなスキルセットを持っています。自社の理想とする人物像をすべて満たす人材を探すことは簡単ではありません。
その結果、採用基準が厳しくなりすぎてしまい、応募自体が来なくなってしまうこともあり得ます。
採用基準で決めておくべき項目
(出典)https://unsplash.com/
エンジニアの採用基準を決定する上では、以下の項目を明確化しておきましょう。それぞれの項目について詳しく解説します。
人物像
チームへの加入を想定している場合、チームの人間や管理者とうまくコミュニケーションが取れない場合、業務を円滑に進められない可能性があります。
その人物の性格や考え方はもちろんですが、自社の文化やビジョンとの相性なども併せて考えましょう。また、任せたい役職や業務内容によっても、人物像は変化します。
例えば、新しいプロジェクトを立ち上げるために主体性や行動力のある人間を採用したいのか、既存システムを保守するために几帳面な人間を採用したいかなどの性格面や、業務に応じたスキルセットです。プロジェクトの立ち上げと既存システムの保守では、求めるスキルも異なります。
現場やプロジェクトの管理者にもヒアリングを行った上で、人物像を設定しましょう。
スキルセット
一口にエンジニアといっても、そのスキルは多様です。
扱えるプログラミング言語、使用できるツールなどは細かく違います。
自社で欲しいスキルセットを持っていない人材を採用した場合、パフォーマンスが著しく低下するので気を付けなければなりません。
また技術的なスキルだけでなく、クライアントとコミュニケーションが取れるか、要件定義や設計やなどの上流工程にアサインできるかなど、ビジネススキルにも注目する必要があります。
採用するポジションに必要なスキルセットを明確にし、応募者がその要件を満たしているかどうかを評価することが重要です。また、スキルセットに加えて、応募者が持つポテンシャルや成長の可能性も考慮するとよいでしょう。
モチベーション
仕事に対するモチベーションはパフォーマンスに影響します。
とくに、正社員として採用する場合はモチベーションがないとスキルやキャリアアップにつながりませんし、離職率も上がってしまいます。
とはいえ、モチベーションという抽象的な要素を採用過程で推し量るのは難しく、担当者によって受け取り方もさまざまです。そこで、以下のような要素でモチベーションを測ります。
- 会社のビジョンに対する考え
- 自発的な取り組み
- キャリアパスや将来に対する考え
会社のビジョンと共感できるかは、モチベーションに大きく関わります。会社のやりたいこと、考えに対し共感ができなければモチベーションは続きません。
また、スキルアップや資格取得などに取り組んでいるか、将来に対し具体的なキャリアパスや方向性を定めているかも、モチベーションを推し量る指標となるでしょう。
採用基準の作成手順
(出典)https://unsplash.com/
採用基準を作成する手順について解説します。以下の手順通りに進めていき、自社に最適な採用基準を作成しましょう。
採用目的と課題の策定
「何のために採用するのか」という採用目的を明確にすることから始まります。採用目的から、募集するポジションや役職、役割などが決定していきます。
また採用は「自社の抱えている課題の解決」が主目的になりますので、課題解決のスキルを持った人材獲得こそが、採用成功といえます。そこで、自社の抱えている課題を明確にすることで、具体的にどんなスキルを持った人材が必要なのかを洗い出します。
市場・競合調査
市場の状況や、競合他社の採用動向を調査する必要があります。
自社の採用基準と他社とを比較したとき、他社の方が魅力的に映るなら、エンジニアは他社に応募するからです。また現在の市場とあまりにかけ離れすぎても同じことが起こります。
他社の採用基準はどの程度なのか、採用市場は売り手市場か否か、どういった人材にどの程度の市場価値があるのかといった市場価値を擦り合わせ、自社で欲しい人材を明確にするだけでなく、その人材を獲得する基準を明確にしましょう。
内定を出すための条件を設定する
自社の課題や採用人物像、市場の状況から、採用基準がある程度決まってきたら、次は内定を出すための具体的な条件に落とし込みます。
条件は、そもそもこの基準を満たしていなければ足切りするという最低限の「必須条件」と、このスキルを持っていれば優遇したり、関係性をキープしたりする「優遇条件」の2つを設定しましょう。
例えば、必須条件に「Javaが扱えること」と設定した場合、「実務経験3年以上」「Javaの資格」などを優遇条件として設定します。そうすることで、スキルを持った人材が応募により集まりやすくなります。
求人票に記載・公開する
条件が定まったら、求人票や自社の採用ページから公開します。
記載する際には、どこまで具体的に記載するかも重要です。「プログラミング経験あり」なのか「実務経験〇年以上」なのか、記載内容によって応募してくる人材がそもそも違ってきます。
また、要件が曖昧だと敬遠されますし、応募に関する問い合わせが増えてしまうことで、採用担当者に負担もかかってしまいます。
実際に選考に進んだ際に、お互いの認識の齟齬から採用が振り出しに戻るといったこともあるので、内容は具体的に記載し、そして募集対象の求職者の目につきやすいチャネルを使用しましょう。
採用基準作成のポイント
(出典)https://unsplash.com/
採用基準を作成する上では、次のポイントを押さえましょう。採用フローに関してのミスマッチが起こりにくくなります。
採用基準を関係者に周知する
採用基準は、採用のための最も基本的な基準として、採用に関わる全ての人が理解していることが必要です。これには、採用担当者だけでなく、管理職や現場スタッフなど、採用に影響を与える全ての人が含まれます。
面接担当者に共有することで採用基準が一定化され、精度が上がります。
また現場のスタッフにも共有することで、どんな人が採用されるかを事前に知るとともに、採用担当者にフィードバックすることで採用基準の擦り合わせも可能になるでしょう。
採用要件を明文化する
明文化は非常に重要です。採用担当者同士のみ、あるいは口頭でのみ経営者から担当者に伝えるようなパターンでは、すれ違いが発生する可能性が高まります。
また、項目に対する認識の違いを生まなくなります。例えば「クライアントとコミュニケーションが取れるエンジニア」とした場合に、クライアントフロント対応ができるレベルなのか、あるいはコンサルを含めた提案ができるレベルなのかは、人によって解釈が異なるでしょう。
そうならないために明文化し、周知することで細かい部分まで認識を合わせます。
選考フローごとに見るべきポイントを決定する
書類選考・面接・実技など、採用に至るまでにいくつもの選考過程を経るのが一般的です。それぞれのフローごとに、見るべきポイントを決定しましょう。
書類選考であれば、その人物の経歴やスキルセットなどを時間をかけて精査することができます。書類選考で性格や考え方まで選考基準としてしまうと、良い人を落としてしまうかもしません。
反対に、面談では書類選考で確認できるような基本的なスキルや資格についての確認は済ませているものと認識し、直接コミュニケーションを取れることを生かして人物像や経歴の掘り下げなどに時間を使いましょう。
このように、選考フローごとに見るべきポイントを変えることで、効率的に選考を行うことができます。
未経験エンジニアの採用基準
(出典)https://unsplash.com/
エンジニアの場合、未経験か中途かで求めるスキルも変わってくるでしょう。未経験エンジニアを採用する場合、中途採用のエンジニアと同じ基準では、水準が高すぎて採用に至りません。
未経験エンジニアの採用基準を設ける場合は、以下のポイントを押さえておくことが大切です。
ポテンシャルや将来性も重視する
とくに新卒や年齢の若い未経験エンジニアであれば、今後のスキルアップやキャリアアップにも期待が持てます。
中長期の目線で採用するなら、ポテンシャルや将来性も重視しましょう。
今取り組んでいる活動や行動、将来どういったポジションに就きたいかなど、モチベーションやキャリアパスについても査定することで、より効果的な採用活動が行えます。
例えば、会社の将来的にAIエンジニアが必要になってくるということであれば、AIに興味があり、学習を進めている人を採用するのも有効です。
仕事のスタンスに注目する
仕事に対し、どういったスタンスで臨むのかも重要です。
言われた仕事をただこなすだけなのか、それとも企画や提案を積極的に行えるか、当事者意識を持って仕事ができるかなども、未経験者の採用基準としては大きな要因になります。
仕事に対し自発的なスキルアップを行うような候補者なら、その人が現場に入ることで競争意識が芽生え、他のメンバーもスキルアップのために勉強するといった行動が見られるようになることもあります。
未経験者であっても、現場に入ったときに周りに良い影響をもたらすことがあるので、仕事に対する意識や姿勢を考慮することが大切です。
マナー・ビジネススキルがあるか
エンジニアはクライアントと接する機会も多いので、ビジネスマナーも必要になります。とくに、常駐案件を任せる場合やクライアント対応を任せるフロントに立つ場合は、相手を不快にさせないマナーやビジネススキルが備わっているかも重要です。
チームで仕事をする場合は、周囲の人間とハレーションを起こさないためにも、ビジネススキルがあるかどうかはチェックしましょう。
未経験者の場合は会社で一般研修に参加してもらうという方法もありますので、これからスキルを身に付けるつもりが採用候補者にあるのかどうかも、ヒアリングするとよいでしょう。
採用基準の明確化でミスマッチを防ぐ
(出典)https://unsplash.com/
採用した人材がなかなか活躍しない、離職率が高いという場合は、採用基準の曖昧さによりミスマッチが起こっている可能性があります。採用基準を明確にし、関係者に共有することで採用活動をより効率的に行うことが可能になるでしょう。
採用基準は、自社の課題や欲しい人物像を洗い出し、市場や競合他社の状況を見た上で決定します。そうすることで、最初から要件を満たした人材が集まりやすくなるとともに、社内一丸となって、採用活動に取り組むことができるようになるでしょう。
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