エンジニア採用における業務委託のメリットは?注意点や人材の見つけ方も解説

Offers HR Magazine編集部 2024年2月26日

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エンジニアの採用難が続く中、業務委託で人的リソースを確保する企業が増加傾向にあります。副業エンジニアやフリーランスを活用すると、企業はどのようなメリットが享受できるのでしょうか?業務委託契約を締結する際の注意点や人材の見つけ方を解説します。

エンジニア採用で業務委託が注目されている背景

「業務委託」とは、自社の業務の一部を他社や個人に委託し、仕事の成果物や役務に対して報酬を支払う契約方法です。これまでのエンジニア採用は、社員として人材を雇い入れるのが一般的でしたが、近年は副業のエンジニアやフリーランスに業務委託する企業が増えています。

エンジニアの経験者採用が困難なため

業務委託が注目される理由に、エンジニアの経験者採用が困難なことが挙げられます。IT市場の拡大やDXの推進、労働人口の減少に伴い、エンジニアは慢性的な人手不足です。企業にとって、知識や経験が豊富で最新技術にも精通したエンジニアは、何としても手に入れたい人材といえるでしょう。

優秀なエンジニアは、企業に高収入・高待遇で囲い込まれている状態です。現在の職場に不満がなければ、転職意欲は湧かないため、採用市場に出てくる人材は必然的に少なくなるでしょう。正社員での採用が困難を極める中、業務委託で優秀なエンジニアを確保しようとする企業が増加傾向にあります。

柔軟で自由な働き方を求めるエンジニアが増えたため

柔軟で自由な働き方を求めるエンジニアが増えたことも、業務委託が注目される理由の一つです。厚生労働省では、副業・兼業における留意点をまとめた「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表しています。

2018年1月には、「モデル就業規則」の労働者の順守事項から「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」を削除し、「労働者は勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」が新たに追加されました。

また、2019年4月1日からは、働き方改革の関連法案が順次施行されており、リモートワークや在宅勤務、フレックスタイム制などの多様な働き方を認める企業が増えています。

こうした背景の中、正社員として働きながら副業で収入を得るエンジニアが増加し、企業は以前にも増して、業務委託で人材を確保しやすくなっているのです。

出典:副業・兼業|厚生労働省

「働き方改革関連法」の概要

業務委託を支援する制度や仕組みが充実してきた

副業の解禁や働き方改革の浸透により、フリーランスのエンジニアを支援する制度や仕組みが次々と誕生しています。組織に所属せずに働ける環境が整えば、フリーランスに転身するエンジニアはさらに増え、企業も優秀な人材に業務を委託できる機会が多くなるでしょう。

例えば、ITフリーランス支援機構の個人向け会員になると、会員サービスとして「ITフリーランス専用保険」への加入が可能です。病気・けが・所得の減少時に必要な補償が受けられるほか、不正アクセスやサイバー攻撃による損害をカバーできるプランも選択できます。

また、フリーランス向けの福利厚生サービス(個人)を提供するクラウドソーシングサービスやフリーランスエージェントも増えており、条件を満たせば、健康診断や育児介護サービス、レジャー施設の割引といったさまざまな優待が受けられます。

出典:ITフリーランス支援機構

エンジニア採用で可能な業務委託契約の種類

副業エンジニアやフリーランスに仕事を依頼するときは、業務委託契約を締結します。業務委託契約はあくまでも俗称であり、エンジニアの場合は「請負契約」または「準委託契約」のいずれかを締結します。

請負契約

請負契約とは、『業務の完成』を条件に報酬が発生する契約です。受注者は、特定の業務を期日までに完成させる義務があります。期限までに成果物が納品されない場合や未完成の場合には、報酬が支払われないこともあります。

また、納品物に誤りや不備がある場合は、契約不適合責任により、受注者に修正の必要性が生じるケースがあります。

請負契約は、建設業・運送業・クリーニング業などに多い契約形態です。システム開発を期日までに完成させる際には、請負契約を締結しますが、SES(システム・エンジニアリング・サービス)では、準委任契約が一般的です。

準委任契約

準委任契約とは「業務の遂行」を目的とした契約です。契約形態は「履行割合型」と「成果完成型」の2パターンに分かれます。

  • 履行割合型:業務にかかった時間や工数に応じて報酬が発生する
  • 成果完成型:成果物の納品によって報酬が発生する

成果完成型は、請負契約と同様に「成果物の納品」によって報酬が生じます。一見、同じような契約に思われますが、受注者が負う責任の種類が異なります。

契約の種類

受注者が負う責任

報酬が発生するタイミング

準委任契約(履行割合型)

善管注意義務

業務の完了時

準委任契約(成果完成型)

善管注意義務

成果物の引き渡し時

請負契約

成果物の完成義務

契約不適合責任

成果物の引き渡し時

「善管注意義務」とは、該当の職業・地位・能力に一般的に要求される程度の注意を払う義務です。この義務が果たされない場合、発注者は受注者に損害賠償請求が行えます。

エンジニアに業務委託をするメリット

エンジニアに業務委託をする企業が増えているのは、単に正社員採用が難しいという理由だけではありません。即戦力となる人材をスピーディーに確保できるほか、採用コストの削減にもつながります。企業が業務委託によって享受できるメリットは次の通りです。

優秀な人材と契約できる可能性が高い

顧客から安定して仕事を受注するには、相応の経験とスキルが必要です。副業やフリーランスとして活躍しているエンジニアは、技術力の高い優秀層であり、即戦力が期待できます。

エンジニアの多くは、副業を新しい知識の習得や技術チャレンジができる機会と考えています。プロジェクトごとの業務委託であれば、他社で働くハイクラスのエンジニアにリソースを割いてもらえる可能性が高いでしょう。

他方、社内でエンジニアを育成しようとすると、多くの時間とコストが費やされるのが難点です。正社員採用に成功しても、長く働き続けるとは限らず、採用のミスマッチによる早期離職も考えられます。

スムーズな人材確保が可能になる

正社員として採用する場合、入社に至るまでに一定の期間を要します。内定者は、現職にて業務の引き継ぎや有給休暇の消化があるため、内定承諾から入社までに1カ月以上かかる場合も珍しくありません。人材の確保が遅れれば、自社の開発業務やDXに遅れが生じるでしょう。

副業やフリーランスを活用するメリットは、必要なタイミングで必要な人材を確保できる点です。副業やフリーランスとして活躍するエンジニアは年々増加傾向にあり、企業と人材のマッチングサービスを使えば、1週間以内で求める人材が見つかるケースもあります。

出典:<企業様向け>Offers「オファーズ」 - エンジニア、PM、デザイナーの副業・転職採用サービス

コスト効率が良く必要な期間のみ委託できる

業務委託では、以下のような費用がかからないため、資金力が乏しい企業にとってはメリットが大きいといえます。

  • 社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・労災保険料など)
  • 福利厚生費(レクリエーション費・健康診断費用など)
  • 退職金
  • ボーナス
  • 人材の育成コスト

時期によって業務量が変動する場合、繁忙期を基準にして正社員を採用すると、閑散期は人員過剰が生じます。繁忙期のみ、業務委託で人材を確保すれば、業務量とコストのバランスが取れるでしょう。状況に応じて人材やコストをコントロールできるのは、業務委託ならではのメリットです。

自社にない技術やスキルを活用できる

他社のエンジニアを自社プロジェクトに参加させることで、自社にはない技術やスキルを活用できます。自社のノウハウと組み合わせれば、革新的なビジネスモデルやサービスが生まれる可能性があるでしょう。エンジニア側も業務委託を通じて、新たなスキルやコネクションを手に入れられます。

人材確保のために、他部署の社員を開発チームに移動させた場合はどうでしょうか?エンジニアとしての経験がなければ、育成プログラムを用意しなければなりません。エンジニアへの適性がなければ早期離職が懸念されます。

業務委託で人員を確保すれば、育成コストが削減できる上、社員を無理に異動させる必要がなくなるでしょう。適材適所の人材配置を実現するにも、外部のリソース活用は有効です。

エンジニアに業務委託をする際の注意点

業務委託には多くのメリットがありますが、外部の人材を活用する点においては、いくつかの注意点があります。メリットとデメリットの両方を理解した上で、適切に人材を活用しましょう。

人材の管理に手間がかかる

業務委託は、雇用関係を結ばない契約方法であり、業務の発注者と受注者の関係性は対等です。自社の規則や仕事のやり方を強要できないため、お互いにコミュニケーションを取りながら、業務を進めていかなければなりません。

プロジェクト管理・進捗管理・契約管理・情報管理がしっかりとなされていない場合、以下のようなトラブルが生じます。

  • イメージと異なる成果物が納品される
  • プロジェクトが遅延する
  • 企業の機密情報が漏えいする
  • イレギュラーな案件に対応してもらえない

業務にフルコミットする社員と比べると、意思疎通が図りにくく、人材の管理に手間が掛かる点に留意しましょう。

社内に技術やノウハウが蓄積しない可能性がある

高い専門性や技術力を持った人材に業務委託することで、社内の人材育成コストを削減できます。一方で、外部のリソースに頼りすぎると、社内に技術やノウハウが蓄積しません。業務委託が長期化すればするほど、社内エンジニアのスキルアップは難しくなるでしょう。

内製化を目指すのであれば、社外エンジニアに業務を丸投げせず、ノウハウやナレッジがプールされる仕組みを整えておくことが重要です。以下は対策の一例です。

  • 情報共有のために、定期的なミーティングを行う
  • エンジニアに報告書やレポートの提出を依頼する
  • 業務委託の内容に自社エンジニアの教育を含める

業務委託のエンジニアに転職の意欲があれば、副業からの正社員登用という選択肢もあります。

下請法に抵触しないように配慮が必要

業務委託契約を締結する前に、下請法の内容を理解しておく必要があります。下請法とは、受注者である中小零細企業やフリーランスの立場を守るための法律で、正式名称は「下請代金支払遅延等防止法」です。

発注者の順守事項として、以下のような行為が禁じられており、内容に応じてペナルティーが科せられる点に留意しましょう。

  • 下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請事業者の給付の受領を拒む
  • 下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、代金を減額する
  • 下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、成果物を返品する
  • 一般的な相場よりも著しく低い下請代金の額を不当に定める
  • 支払期日を過ぎても、代金を支払わない
  • 委託内容にない業務を無償で行わせる

出典:下請代金支払遅延等防止法 | 公正取引委員会

業務委託するエンジニアを見つける方法

業務委託するエンジニアを探す方法としては、知り合いの紹介・ヘッドハンティング・エージェントの利用などがあります。ハイクラス人材のスピード採用にこだわる企業は、総合採用プラットフォーム「Offers(オファーズ)」を活用しましょう。

採用要件にマッチした人材を検索し、企業から人材にアプローチをする「ダイレクトリクルーティング型」のサービスで、業務委託・副業なら最短4日の採用も可能です。採用工数を削減できる機能が充実しており、エンジニアのスカウトに不慣れな企業でも、効率良くプロセスを進められます。

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まずは「候補者の無料お試し検索」で、自社の採用要件にマッチした候補者数がどれだけいるかをチェックしてみましょう。

<企業様向け>Offers「オファーズ」 - エンジニア、PM、デザイナーの副業・転職採用サービス

エンジニア採用でも業務委託を検討してみよう

自社が求める人材がなかなか採用できずに悩む企業は、副業エンジニアやフリーランスと業務委託を結ぶ手があります。業務委託のメリットは、即戦力となる優秀層を短いリードタイムで採用できる点です。業務量が調整しやすく、正社員採用よりもコストがかかりません。

一方で、社内にノウハウやナレッジが蓄積しにくいため、内製化に向けた施策が必要です。人材管理の方法やコミュニケーションの取り方にも工夫が求められるでしょう。メリットとデメリットを正しく理解した上で、人材の採用方法を決めるのが望ましいといえます。

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