エンジニアのダイバーシティ採用とは?多様性を持たせるメリットや採用のポイントなどを解説

Offers HR Magazine編集部 2024年2月15日

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近年はあらゆる分野で「多様性」が注目されており、さまざまな背景を持つエンジニアの活用も必要とされています。そこで、エンジニアのダイバーシティ採用の必要性やメリット、成功のポイントなどを解説します。企業の人事担当者は参考にしてみましょう。

ダイバーシティ採用とは?主な特徴や種類

ダイバーシティ採用は多様な人材の活用を前提とする活動であり、エンジニア採用でも注目される機会が増えてきました。まずは、基本的な知識から押さえておきましょう。

多様な人材を受け入れるための採用活動

多様な人材を受け入れるための採用活動はダイバーシティ採用と呼ばれており、年齢や性別・国籍・職歴など、さまざまな背景を持つ人材の活用を目指すものです。近年は多様性をキーワードに、さまざまな運動が広がっており、人材採用の場面においても、広く人材を受け入れるべきといった考え方が広まっています。

社会的には、行き過ぎた多様性の在り方が問題視されている側面もありますが、多様な人材の採用・育成に注力すれば、組織の生産性や創造性の向上につながります。

考慮すべきダイバーシティの種類

ダイバーシティは人によって解釈の幅がある概念で、イメージするところが変わってきます。ただし一般的には、次のように「デモグラフィー型」や「タスク型」「オピニオン型」といった分類が可能です。

  • デモグラフィー型(表層的ダイバーシティ):年齢や性別・人種・国籍といった表層的・外面的な区分を示すもので、多くの人がイメージする多様性とは、デモグラフィー型の分類を指す。
  • タスク型(深層的ダイバーシティ):個人の経験や知識・スキル・能力・パーソナリティなど、内面的・後天的な多様性を指すもので、人材採用ではとりわけ重要視される。
  • オピニオン型:組織の多様性や柔軟性を獲得するための取り組みを指す。

デモグラフィー型およびタスク型は人材の多様性を示すものですが、オピニオン型はその人材を受け入れるための環境づくりを意味する概念です。これらの要素を考慮しながら、さまざまな背景を持つ人材を獲得・育成することで、組織の生産性の向上や市場における競争優位の確立を目指します。

エンジニアのダイバーシティ採用の必要性

エンジニア採用においても、ダイバーシティが意識されるようになった背景としては、主に以下の点が挙げられます。エンジニア全体の母数が減少傾向にある点や、労働市場の変化など、重要なポイントを押さえておきましょう。

エンジニアの母数の減少

日本は急激に少子高齢化が進んでおり、IT市場に関わる人口も減っています。IT市場全体が人材不足気味であるのに加えて、特に人材需要の高いエンジニアは母数が小さく、人材の獲得競争が常に発生しているといっても過言ではありません。

そういった状況において、採用ニーズにマッチした人材を獲得するには、さまざまな背景を持つエンジニアを広く受け入れることも重要です。年齢や人種といった区分にこだわらず、優秀な人材は積極的に採用すべきと考える企業が増えており、ダイバーシティ採用が注目される大きな理由の一つとなっています。

グローバル化と労働市場の変化

経済のグローバル化や労働市場の変化も、ダイバーシティ採用を取り入れる企業が増えている要因です。上記のように労働人口の減少に加えて、グローバル化で海外企業があらゆる市場に進出しており、近年はさらに企業間の競争に勝ち抜くのが難しくなっています。

一方で、海外に積極的に進出する企業も多く、異なる文化や言語に対応できる人材を求める企業も目立ちます。そこで年齢や性別はもちろん、人種や国籍なども関係なく、必要な人材を広く採用する企業が増えており、結果としてダイバーシティ採用が広まっている状況です。

エンジニアの価値観の変容

柔軟かつ自由な働き方を求めるエンジニアが増えている点も、企業がダイバーシティに注目する理由の一つです。人材採用における多様性には、働き方や雇用形態の柔軟性も含まれており、求職者に労働環境をアピールするために、在宅ワークやテレワーク・モバイルワークなどを許容する企業も増えています。

コロナ禍により在宅ワークが必要になった側面もありますが、もともと働き方改革を背景として、IT企業の多くは他の業界に先駆けてテレワークを導入していました。IT業界で活躍するエンジニアも、自分の理想のライフスタイルやパフォーマンスが発揮できる環境を求め、柔軟な働き方を求める人が目立ちます。

さらに、今後は優秀な人材を引きつけるため、労働環境や雇用形態に多様性を持たせる企業が増えるでしょう。副業採用やフリーランスとの契約を始める企業も多くあります。

採用する人材に多様性を持たせるメリット

採用する人材に多様性を持たせることにより、以下のようにニーズに合った人材の採用につながり、組織全体の生産性の向上も期待できます。ダイバーシティ採用を導入するメリットを確認しておきましょう。

自社に合った人材の確保につながる

さまざまなバックグラウンドを持つ人材を受け入れることで、自社に合った優秀なエンジニアの確保に結び付けられます。採用ターゲットを広めれば応募者の母数を増やせるので、理想的な人材に出会える可能性が高まるでしょう。

たとえ採用には至らない場合でも、数多くの求職者とつながりを持っておくことで、将来的な人材の確保にもつなげられます。

組織全体のパフォーマンスが向上する

さまざまなバックグラウンドを持つ人材を採用し、それぞれの強みを生かせる職場環境を整えれば、組織全体のパフォーマンスの向上も期待できるでしょう。社内に多様な人材がいれば、問題や課題に多彩なアプローチが可能になり、より柔軟かつ創造的な解決方法を打ち出せる可能性があります。

また、多方面でポテンシャルのある人材を集めることにより、それぞれの人材の強みを生かせる環境に変化し、結果的に離職率の低下にもつながるでしょう。

イノベーションが生まれやすくなる

多様な人材が活躍できる環境では、イノベーションが生まれやすくなるのもメリットです。それぞれの経験や特性を生かして多くの社員が意見を交わすことにより、斬新なアイデアや既存の枠組みにとらわれない考え方が生み出され、他社ではできないアプローチを実現できる場合もあるでしょう。

製品やサービスの開発現場はもちろん、事業戦略やマーケティング戦略を考える場面においても、多様な考えをうまく調和させることで、競争優位の確立につながる可能性があります。

企業イメージの向上も期待できる

ダイバーシティ採用を取り入れることで、企業イメージの向上も期待できます。さまざまな価値観や考え方を許容できる環境である点を社会にアピールしておけば、求職者からも良い評価を得られるでしょう。自社のブランディングにもつながり、優秀な人材の獲得につながります。

また、社会的評価の高い職場環境を構築できれば、社員の仕事へのモチベーションも高まり、離職率の低下も実現できるでしょう。間接的ではありますが、組織の生産性向上も期待できます。

ダイバーシティ採用の注意点

ダイバーシティ採用は多くのメリットがありますが、以下の点には注意が必要です。多様な人材を受け入れることは、コミュニケーションの問題が起こる恐れがあるため、うまく意思疎通を図れる環境の構築に力を入れなければいけません。

コミュニケーションの問題が起こる可能性がある

さまざまなバックグラウンドを持つ人材を集めれば、考え方や価値観の違いから対立が起こる可能性は否定できません。特に外国人を職場に受け入れる場合、コミュニケーションに関して問題やトラブルが発生するケースもあるので、事前に文化の違いを理解する場を設けるなどの工夫が求められます。

それまでの企業文化とは異なる文化にある人材を受け入れる場合は、人事部門が中心となって、定期的にフォローする体制をつくり上げましょう。

採用基準や評価基準の設定が難しい

多様な人材を受け入れるに当たって、採用基準や評価基準の設定に手間と時間がかかります。どのような観点で公正・公平さを担保するか、人事部内でよく話し合う必要があるでしょう。

異なるバックグラウンドを持つ人材を常に客観的に評価するのは難しく、採用担当者の主観が入り込む余地が大きくなりがちです。 

また、多様性を意識するあまり、採用ニーズに合わない人材を受け入れてしまう可能性もあります。ミスマッチの発生は採用コストの無駄になるだけではなく、ダイバーシティ採用に懐疑的な目を向けられる原因となりかねません。

採用ニーズの達成と多様性のバランスを考えながら、採用すべき人材を慎重に判断しましょう。

ダイバーシティ採用を成功させるポイント 

ダイバーシティ採用を成功させるには、以下のポイントを意識する必要があります。社内で必要性や目的をしっかりと共有し、現場とよく話し合った上で、採用基準を決めることが大事です。

社内で必要性や目的を共有する

まずはマネジメント層や人事部門が中心となり、社内にダイバーシティ採用の必要性や目的を周知し、理解を広めておかなければいけません。異なる文化や価値観を有する人を受け入れると、多少なりとも現場が混乱する可能性があるため、事前にメリットや意義を説明しておくことが大事です。

社員によっては異なる文化や価値観の人材を、受け入れるのが難しい人もいるでしょう。無意識のうちに偏見を持ってしまう人もいるので、相互に理解し合える環境の構築に注力する必要があります。

採用基準を明確にする

多様性と評価の公正性と公平性を両立させるために、採用基準を明確にした上で、うまく調整することも重要です。ダイバーシティ採用では、人材の属性や経歴などにより、ある程度は異なる基準で評価しなければならないケースもあります。

例えば、日本人のエンジニアと外国人のエンジニアでは、スキルレベルは一定の基準で評価できても、コミュニケーションに関する能力など、全く同じ基準で判断するのが難しいケースもあるでしょう。実際に人材を採用しなければ分からない面もありますが、常に採用基準の妥当性を検討する姿勢が必要です。

採用計画の策定と実施・改善を繰り返す

採用計画を策定し、実施と改善のサイクルを繰り返しましょう。採用基準と同様、採用計画も定期的に見直した上で、有効性を客観的に判断する必要があります。

ダイバーシティ採用は一般的な採用に比べて難易度が高く、当初の計画がうまくいくとは限りません。むしろ初めての採用活動は問題が起こる可能性が高いので、策定した計画の下で施策の実施と改善を重ね、徐々に最適な採用体制に近づけることが大事です。

測定可能な目標を設定し、定期的に達成度合いを評価しましょう。多くの企業にとって、ダイバーシティ採用はノウハウが蓄積されておらず、手探りで進めなければいけません。たとえ人材採用に失敗しても、諦めずに粘り強く採用活動を続ける姿勢が求められます。

エンジニアの多様性にも目を向けよう

エンジニアのダイバーシティ採用の有効性やメリットなどを解説しました。多様な人材を受け入れれば、母集団形成もしやすく、優秀な人材に出会える可能性を高められます。社内でイノベーションも生まれやすくなり、社会的な評判も高まるでしょう。

ただし、社内のコミュニケーションで問題が起こる可能性もあります。事前にダイバーシティ採用の意義や必要性を社員に説明し、理解を得ておきましょう。

文化や価値観が異なる人材を採用すれば、多少なりとも意思疎通に関する問題は生じるので、うまくフォローする体制を構築する必要があります。施策の実行と改善を重ねながら、自社に合った採用体制の構築を目指しましょう。


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