エンゲージメント採用のメリットは?エンジニア採用にも有効な手法を解説

Offers HR Magazine編集部 2024年2月9日

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目次

エンジニアの採用難が続く中、自社とのマッチ度が高い人材やポテンシャルのある人材を優先的に採用し、時間をかけて育成する「エンゲージメント採用」が注目されています。従来の採用方法との違いやメリット・デメリットを解説します。

エンジニアのエンゲージメント採用とは?

エンゲージメント採用は、求職者のスキルや経験にとらわれない採用方法です。エンジニア採用において、多くの企業は「高い技術スキルを持つ優秀な人材」を求めますが、エンゲージメント採用では、スキルよりもカルチャーフィットを重視します。

そもそも、エンゲージメントとは何を指すのでしょうか?人材採用におけるエンゲージメントの定義や有効性を解説します。

エンゲージメントの意味

「エンゲージメント(engagement)」とは、婚約・誓約・約束・契約といった複数の意味を持つ言葉です。人事分野においては、「会社と社員が深いつながりを持っていること」を意味します。社員の会社に対する「愛着心」や「思い入れ」といってもよいでしょう。

エンゲージメントが高い社員は、自分の会社や仕事に誇りを持っており、「会社に貢献したい」「成果を上げたい」という気持ちが強い傾向があります。社員一人一人のエンゲージメントが高まれば、パフォーマンスの向上や離職率の低下が期待でき、最終的には会社に利益がもたらされるでしょう。

人材採用におけるエンゲージメント

企業の採用活動は、人材の採用がゴールではありません。採用した人材が定着し、パフォーマンスを発揮して初めて採用活動が成功したといえるでしょう。

人材採用におけるエンゲージメントは、「求職者エンゲージメント(採用前の関与)」と「社員エンゲージメント(採用後の関与)」の二つに大別されます。

採用前の段階では、求職者とのコミュニケーションを通じて、「この会社で働きたい」と思ってもらう必要があります。求職者エンゲージメントが高まれば、欲しい人材を他社に奪われることがなくなり、内定辞退率が低下するでしょう。

採用後は、採用された人材に適切なサポートやフィードバックを与え、会社への愛着心や忠誠心を高めます。

エンジニアのエンゲージメント採用の有効性

エンジニアは高度な知識と技術を有する専門職であるが故に人材採用では求職者のスキルや経験に重きが置かれがちです。ただし、能力がある人材は、他社からのオファーやスカウトを受けやすく、内定辞退率や早期離職率が高い傾向があります。

エンゲージメント採用では、スキルや経験よりも「企業文化に対する適合性(カルチャーフィット)」「ポテンシャル」「会社の理念や文化への共感度」を重視するのが特徴です。入社後すぐの活躍は難しいかもしれませんが、エンゲージメントが高い人材は定着率が高く、長期的な活躍が期待できます。

エンジニア採用の難易度が上がる中、人材の早期離職は企業にとって大きな損失です。採用段階において、求職者のエンゲージメントを重視する企業は、今後さらに増えるでしょう。

エンゲージメント採用のメリット

エンゲージメント採用は、人材の早期離職に悩む企業や採用プロセスの効率化を目指す企業に適した手法です。エンゲージメントを重視すると、企業にはどのようなメリットがもたらされるのでしょうか?

人材の早期離職を防止できる

エンジニアにとって、転職はスキルアップ・収入アップの手段です。優秀で成長意欲が高い人材ほど、離職しやすい傾向があり、多くの企業は「採用した人材の早期離職」という課題を抱えています。

エンゲージメント採用のメリットは、自社で長く活躍してくれる人材を採用できることです。エンゲージメント採用で入った社員は、会社への愛着心や思い入れが強いため、すぐに離職しない傾向があります。ポテンシャルも高く、中長期的な人材育成を施せば、将来的に大きな成長が見込めるでしょう。

採用プロセスの最適化にもつながる

エンゲージメント採用によって、エンゲージメントの高い社員が増えると、採用活動の際に協力を仰ぎやすくなります。「会社説明会」「各種アンケート調査」「現役社員との交流会」「SNSの口コミ活用」「リファラル採用」などの施策を実施しやすくなり、採用プロセスがよりスムーズに展開するでしょう。

「リファラル採用」とは、社員から自社に見合った人材(友人・知人)を紹介してもらう採用手法です。現場を知り尽くした社員が間に入るため、採用のミスマッチが少なく、採用コストが大幅に抑えられます。

また、エンゲージメントの高い社員の思考・行動特性を分析すれば、自社にマッチした人材の見極めが容易になるのも大きなメリットです。

エンゲージメント採用の流れは?

エンゲージメント採用を成功させるには、「求職者や従業員のエンゲージメントをいかに高めるか」を意識しながらプロセスを進める必要があります。大まかな採用の流れとプロセスごとのポイントをチェックしましょう。

社内調査やアンケートの実施

エンゲージメント採用では、求職者のスキルの高さや経験の多さよりも「企業文化に対する適合性」が重視されます。人事担当者は、自社の文化や価値観を的確に把握した上で、求める人材像や採用基準を定めなければなりません。

採用プロセスをスタートさせる前に自社分析を行い、「自社の社員が何を感じているのか」や「どのような社員がいるのか」を把握する必要があります。

具体的には、社内でアンケート調査やヒアリング調査を実施し、社員に共通する特徴や価値観、関心事などを徹底的にリサーチしましょう。自社分析を怠ると、求める人材像や採用基準の軸がぶれ、ミスマッチが生じやすくなります。

採用サイトやSNSなどでの情報発信

知名度の高い大手やメガベンチャーは応募者が絶えませんが、無名の中小企業やスタートアップ企業は、応募候補にすら選ばれないことも珍しくありません。

面接後の辞退や内定辞退が多い企業は、求職者に自社の良さが伝わっておらず、他社に見劣りしています。「自分にはこの会社しかない」と思ってもらうためにも、情報発信に力を入れましょう。

情報発信の方法はさまざまですが、中でも効果が高いのは「社員によるSNSの発信」や「座談会・イベント」です。その会社で働いている現役社員から、会社の魅力を直接的に聞くことで、求職者のエンゲージメントは大きく高まります。

エンジニアの座談会の有効性については、以下のコラムをチェックしましょう。

エンジニア採用に座談会は有効?準備から成功のポイントまで一挙解説 | Offers HR Magazine

応募者の体験を重視した選考プロセスの構築

選考段階では、応募者のエンゲージメントを高めるための施策を講じる必要があります。ジョブ型インターンシップをはじめとする「体験型のプロセス」を積極的に取り入れ、応募者に自分が実際に働く姿をイメージしてもらいましょう。

また、グループディスカッションやインターンシップ、オファー面談は、応募者の人柄や価値観、ポテンシャルを判断するのにも役立ちます。

採用後は「オンボーディング」をしっかりと行い、入社直後の不安や不満を取り除くサポートをしなければなりません。経験者採用では、お手並み拝見とばかりにサポートをしない職場も見受けられますが、仲間意識が醸成されず、早期離職につながります。

経験者採用のエンジニアが離職する理由と対策については、以下のコラムで詳しく解説しています。

中途採用のエンジニアは離職が多い?すぐ辞める原因と対策について解説 | Offers HR Magazine

エンゲージメント採用の注意点

エンゲージメント採用を実施すれば、長期的に活躍できる人材を確保できますが、採用後すぐの戦力化は期待できません。デメリットや注意点を把握した上で、自社に適した採用方法であるかどうかを判断しましょう。

人材の育成に手間と時間を要する可能性がある

エンジニア採用でスキルや経験を優先すれば、育成コストが抑えられます。オンボーディングや研修は必要ですが、人材育成にそれほど手間がかからないため、早期戦力化が実現するでしょう。

一方で、スキルや経験を問わないエンゲージメント採用は、人材の育成に手間と時間を要するのがデメリットです。社内の教育環境が整っていない場合、採用した人材が足手まといになってしまう恐れもあります。

まずは、自社の人材育成の現状を把握した上で、長期的な育成計画を立てましょう。エンジニアは技術職なので、教育担当者には高度な知識と技術が求められます。企業によっては、教育担当者の採用・育成からスタートしなければならないケースもあるでしょう。

フィードバックと改善の積み重ねが必要

採用プロセスの改善を継続的に行い、求職者や従業員のエンゲージメントを低下させないようにする必要があります。採用方法や採用基準などに問題があれば、すぐに修正を加えましょう。求職者や従業員から率直な意見を聴取し、プロセスに反映させることも欠かせません。

また、採用前・採用後のいずれにおいても、コミュニケーション不足はエンゲージメントの低下を招きます。適切な情報共有やフィードバックが行われるように、社内のコミュニケーション方法を適宜見直しましょう。

エンゲージメント採用で長く活躍できる人材を獲得する

エンジニア採用は、スキルや経験が重視される傾向がありますが、企業と求職者の価値観や方向性が一致していなければ、早期離職は免れません。

エンゲージメント採用を実施すれば、採用後の長期的な活躍が見込めます。人材不足が深刻化する中、今後はスキル重視の採用から、カルチャーフィットや成長性を重視した採用に方向転換する企業が増えるでしょう。

一方で、エンゲージメント採用を実施すると、採用後の人材育成にコストがかかります。育成に無制限にお金と時間をかけられる企業は少ないため、育成計画はしっかりと立てる必要があります。

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