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エンジニア採用が難しい理由と優秀な人材を採用するポイント

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エンジニアの採用が難しい、という声は採用担当者の間で長く続いています。ただ、よく引かれる「IT人材が数十万人不足する」という数字は前提によって大きく変わり、直近の求人倍率も「年々上がり続けている」とは言えなくなりました。人がいないことだけが原因なら打つ手は限られますが、実際には、転職を急いでいない経験者に自社の求人が届いていないことが採用難の大きな部分を占めています。正社員の中途採用で採用担当者が今日から変えられるのは、求人票・採用ページ・スカウトの中身と、選考の進め方です。

Offers HR Magazine編集部監修者

株式会社overflow / 編集担当

Offers HR Magazine編集部

Offers HR Magazine 編集部は、株式会社overflow が運営する採用メディアの編集チームです。エンジニア採用に取り組む人事・採用担当者に向けて、採用手法・人事制度・組織づくりの情報を届けています。

エンジニア採用が難しい5つの理由

エンジニアの中途採用が難しい理由は、IT人材の需要の伸びに供給が追いつかないこと、求人に対して就職に至る件数が少ないこと、経験者の多くが転職を急いでいないこと、スキルの見極めに現場の知見が要ること、年収や働き方の条件が候補者の比較に乗っていないことの5つに整理できます。前の2つは市場の条件で、企業が変えられるのは後ろの3つと、求人の出し方です。

IT人材の需要の伸びに供給が追いつかない

経済産業省の『IT人材需給に関する調査(概要)』(2019年4月)は、IT人材の供給が2030年まで増える一方で、需要がそれ以上の速さで伸び、需給ギャップが広がると試算しています。供給そのものが減るという試算ではありません。

ギャップの大きさは前提によって変わります。経済産業省『IT人材需給に関する調査(概要)』の表1が示す2030年の需給ギャップは45万人で、需要の伸びを年平均2.7%程度、労働生産性の上昇を年0.7%とした場合の値です。同じ資料は、年3.54%の労働生産性上昇を実現すれば、2030年時点で需要と供給は均衡するとも書いています。

よく引かれる「最大約79万人」は、需要の伸びを年4.4%程度とした高位シナリオの数字です。概要版では、高位シナリオの2030年の需要が192万人(表3)、2030年の供給が113万人(表2)で、差を取ると約79万人になります。高位シナリオの伸び率の根拠は、IT企業とユーザー企業へのアンケート結果です。

不足の人数を自社の採用計画の根拠に使うなら、どのシナリオの数字かを確かめておく必要があります。採用担当者にとって確かなのは、IT人材の需要が伸び続ける見通しが複数のシナリオで共通している点です。IT人材不足が起きる仕組みは、IT人材不足はなぜ起きるかで詳しく扱っています。

求人に対して就職に至る件数が少ない

公共職業安定所(ハローワーク)を通じた求人でも、エンジニアの求人倍率は全職業の平均を上回っています。厚生労働省『一般職業紹介状況(令和8年8月分)』参考統計表7-2(2026年10月2日公表・常用(除パート)・全国計)によると、情報処理・通信技術者の有効求人倍率は1.48倍で、職業計の1.17倍を上回りました。同じ月の新規求人16,007件に対して、就職件数は307件でした。

一方で、「エンジニアの求人倍率は年々上がっている」という書き方は、直近のデータとは合いません。同じ資料の参考統計表8-1では、情報処理・通信技術者の有効求人倍率は前年同月から0.10ポイント下がり、有効求職者数は前年同月比で5.8%増えています。求職者は増えていても、求人に対する就職の件数はまだ少ない、というのが2026年8月時点の姿です。

ハローワークの統計は、転職サイトや人材紹介会社を通じた採用を含みません。求人倍率は、地域(全国計か都道府県別か)・職業分類の範囲・採用経路によって値が変わるため、数字を比べるときはどの地域・分類・経路の統計かをそろえて読みます。

経験者の多くが転職を急いでいない

即戦力のエンジニアほど、現職で待遇や役割を得ていて、急いで転職する理由を持っていません。求人を出して応募を待つだけでは、こうした人の目に自社の情報が入りにくくなります。

Offers の登録者が選んだ転職意向(Offers(株式会社overflow)調べ・登録者 n=31,649・2026年9月時点)を見ると、「今は考えていない」が47.5%、「良いオファーがあれば検討」が31.4%で、合わせて78.9%でした。「すぐ転職したい」は10.8%です。

エンジニアの転職サービスに登録している人でも、約8割は今すぐには動かない層に該当します。採用が難しいと感じる場面の多くで起きているのは、条件と情報がそろったときに動く層に、自社の求人を見てもらえていない状態です。

スキルの見極めに現場の知見が要る

エンジニアのスキルは、職務経歴書の言語名や経験年数だけでは判断しにくく、採用担当者だけで見極めるのは難しい作業です。担当者が良いと判断した候補者が現場の期待と合わず、入社後のミスマッチになることもあります。

非エンジニアの採用担当者が中心の企業では、書類選考の基準づくりや技術面接に現場のエンジニアが加わるのが一般的です。ただし現場は開発業務を抱えているため、参加できる時間には限りがあります。選考のどこに現場を入れるかを先に決めておかないと、日程調整に時間がかかり、他社に先を越される原因になりがちです。

年収や働き方の条件が候補者の比較に乗っていない

経験のあるエンジニアは複数の企業から声がかかることが多く、年収・リモートワークの可否・開発環境を並べて比べます。社内の他職種と同じ給与テーブルで年収帯を決めると、候補者が見ている相場とずれ、比較の段階で外れることがあります。

条件をすぐに上げられない企業でも具体的に書けるのが、評価と昇給の仕組み、裁量の範囲、使う技術といった、年収以外で比べられる材料です。候補者の比較の表に自社の情報が並ぶかどうかが、応募の有無を分けます。

自社に合うエンジニアを採用する5つのポイント

自社に合うエンジニアを採用するには、現場と採用基準を決め、要件に優先順位をつけ、求人票と採用ページに仕事の中身を書き、スカウトで返信を得ることに力を入れ、経験の浅い人材の育成も選択肢に入れる、の5つを順に整えます。市場の条件を変えられない以上、差がつくのは自社が出す情報と選考の進め方です。

現場のエンジニアと採用基準を決める

採用担当者が技術の専門家でなくても、現場のエンジニアと基準をすり合わせておけば、書類選考の段階で判断がぶれにくくなります。必要な経験・技術・役割を言葉にし、書類選考で見る点と面接で確かめる点を分けて共有するのが基本です。

面接では、現場のエンジニアに技術面の評価を任せ、採用担当者は志向や働き方の条件を確かめる、という分担がよく使われます。現場の参加を一次面接と最終面接のどちらに置くかの判断軸は、候補者に技術の話をどの段階で聞かせたいかです。

必須要件と妥協できる要件を分ける

求める人物像を、必須の要件・優先度が高い要件・ある程度は妥協できる要件に分けて定義します。要件を全部「必須」にした求人は、該当する候補者がほとんどいない状態になりがちです。

要件の定義と同時に調べておきたいのが、候補者が転職先に求める条件です。年収・働き方・技術環境のうち、自社がどこで候補者の希望に応えられるかが分かれば、求人で何を強調すべきかが決まります。

求人票と採用ページに仕事の中身を書く

エンジニアが応募を判断する材料は、求人票と採用ページから読み取れる、入社後に何を作るのか・どの技術を使うのか・誰と働くのかという情報です。情報が少ない求人は、条件が良くても比較の対象から外れやすくなります。

Offers に公開された正社員求人を本文の文字数で5等分して比べると(Offers(株式会社overflow)調べ・登録求人 n=3,292・2022年2月〜2026年9月公開)、閲覧あたりの応募率は、2,792〜3,492字の求人が59〜1,272字の求人の4.7倍でした。3,495字を超える区分は4.1倍で、長いほど応募が増えるわけではありません。

書く順番は、業務内容と開発体制、使う技術、評価と年収の考え方です。法律が求める記載事項と書き方は求人票の記載事項と書き方でまとめています。

自社の採用ページや求人の情報が、候補者からどう見えているかを外から確かめるなら、エンジニア採用力チェックを使えます。企業のURLを入力すると、公開されている採用情報を5指標24項目で採点し、原則1営業日以内に無料でレポートが届く診断で、選考の通過率やスカウトの返信率は対象外です。

スカウトは返信を得ることに力を入れる

今すぐには動かない経験者と接点をつくるには、企業から候補者に直接連絡するスカウトが有力な手段になります。スカウトで詰まりやすいのは返信の段階です。

Offers の正社員求人に紐づくスカウトでは、送信を100とすると開封が59.7%、返信が6.2%、面談が2.9%でした。返信した候補者のうち46.1%が面談まで進んでいます。

開封した候補者の大半が返信していないため、件名よりも本文と、スカウトから見に行く求人票の中身を見直すほうが改善の余地は大きくなります。候補者の経歴のどこを読んで連絡したのかを書き、求人票と同じ内容を短く伝えるのが基本です。スカウトを含む母集団の作り方は母集団形成の設計で扱っています。

経験のあるエンジニアへ企業から直接連絡する場の1つが、株式会社overflow が運営する Offers です。エンジニアやPdMなどの正社員の中途採用に特化した採用プラットフォームです(Offers 企業向けページ)。

経験の浅い人材の育成も選択肢に入れる

即戦力の経験者だけを探していると、採用が決まるまでの期間が長くなりがちです。経験は浅くても伸びる見込みのある人材を採用し、社内で育てる道も並行して検討します。

経験の浅い候補者の学び方や課題への向き合い方は、現場のエンジニアとの面談で確かめるのが確実です。育成を前提にするなら、受け入れる側の体制(教える担当者・最初の数か月の業務)を決めてから募集を始めます。

エンジニア採用が進まない企業に見られる状態と見直す箇所

エンジニア採用が進まない企業の多くは、応募が来ない・スカウトに返信が無い・選考の途中で辞退される・入社後に早く辞める、のどこかで止まっている状態です。止まっている段階によって見直す箇所が違うため、先にどの段階かを確かめます。

止まっている段階

よく見られる状態

見直す箇所

応募が来ない

求人票に業務内容と使う技術が具体的に書かれていない

求人票・採用ページの中身

スカウトに返信が無い

どの候補者にも同じ文面を送っている

スカウトの文面と、送る相手の選び方

書類選考で判断がぶれる

必須の要件と妥協できる要件が分かれていない

現場と決める採用基準

選考の途中で辞退される

面接の日程が決まるまでに時間がかかる

面接の回数と現場の参加枠

内定を出しても承諾されない

年収以外の条件を候補者に伝えていない

評価・裁量・技術環境の伝え方

入社後に早く辞める

入社前の説明と実際の業務がずれている

選考での情報開示と入社後のフォロー

複数の段階で止まっているなら、手前の段階から順に直します。応募が来ない状態で選考の進め方だけを整えても、選考に進む候補者がいなければ効果は確かめられません。

エンジニア採用の主な手法と使い分け

エンジニアの中途採用で使われる主な手法は、求人広告、人材紹介、ダイレクトリクルーティング、リファラル採用、採用広報の5つです。応募を待つ手法と企業から接点をつくる手法を組み合わせると、転職を急いでいない層にも届きやすくなります。

手法

向いている場面

気をつける点

求人広告

転職を考えている層に広く知らせたいとき

応募を待つ手法で、転職を急いでいない層には届きにくい

人材紹介

採用担当者の工数が限られ、候補者の選別を任せたいとき

成功報酬の費用がかかる。紹介会社に自社の魅力を正しく伝える必要がある

ダイレクトリクルーティング

特定のスキルを持つ経験者に企業から連絡したいとき

候補者選びと文面づくりに工数がかかる

リファラル採用

社員の人脈から、社風に合う人を探したいとき

紹介の件数は社員数に左右される。紹介者への報酬の規程を整える必要がある

採用広報

技術ブログや登壇で、自社の開発を知ってもらいたいとき

応募につながるまでに時間がかかる

1つの手法に絞るより、目的に応じて2〜3を組み合わせるほうが、接点の数と質の両方を確保できます。たとえば、求人広告で顕在層を集めつつ、届きにくい経験者にはダイレクトリクルーティングで連絡する、といった使い分けです。手法ごとの長所と短所はダイレクトリクルーティングのメリットとデメリットでも比べています。

選考の速さと入社後のフォローまでを採用活動に含める

エンジニアの採用は、内定を出した時点では終わりません。選考に時間がかかれば他社に先を越され、入社後に職場になじめなければ早期の離職につながるため、選考の速さと入社後のフォローまでを採用活動として設計します。

選考で先に決めておきたいのは、面接の回数と日程の調整にかかる日数です。現場の面接官が参加しやすい時間帯を先に押さえておくと、候補者を待たせる期間を短くできます。内定後に候補者が離れる理由と防ぎ方は、中途採用の内定辞退で扱っています。

入社後に決めておくのは、最初の数か月の業務と相談相手、困りごとを早めに拾う定期的な面談の3つです。採用の段階で開発体制や業務内容を具体的に伝えておくことが、入社後のずれを小さくする一番の手立てになります。

エンジニア採用で最初に見直す順番

エンジニア採用が難しいと感じたら、最初に見直すのは自社が外に出している情報で、次が選考の進め方です。IT人材の需給は企業1社では変えられませんが、求人票・採用ページ・スカウトの文面は今日から直せます。

見直す順番は次のとおりです。

  1. 現場のエンジニアと、必須の要件と妥協できる要件を決める
  2. 求人票と採用ページに、業務内容・使う技術・開発体制を書く
  3. スカウトの文面を、候補者の経歴に触れる内容に変え、返信の割合を記録する
  4. 面接の回数と日程の調整にかかる日数を決め、現場の参加枠を先に押さえる
  5. 入社後の最初の数か月の業務と相談相手を決める

Offers の登録者でも約8割が今すぐには動かない層である以上、採用の成否は「出会えた候補者に、どれだけ具体的な情報を渡せるか」で分かれます。

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