デジタル人材育成方法を解説。必要なスキルや育成のために担当者がすべきこと

Offers HR Magazine編集部 2023年10月24日

Offers HR Magazine編集部

目次

新規事業の立ち上げや既存事業の高度化では、デジタル人材が欠かせません。最新のデジタル技術によって組織に変革をもたらす人材で、ソフトウェアの設計や運用を担うエンジニアも含まれます。デジタル人材を社内で育成する必要性と進め方を解説します。

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なぜデジタル人材の育成が必要なのか

(出典)https://www.pexels.com/

デジタル人材とは、最新のデジタル技術を活用し、企業に新たな価値をもたらす存在です。エンジニア・データサイエンティスト・デザイナーなど、複数の職種・ポジションがあり、互いに協力し合いながら企業のDXやデジタル化を推進します。企業がデジタル人材の育成に着手すべき理由を解説します。

採用はコストがかかる

事業規模や求めるスキル、経験などによって異なりますが、中途でデジタル人材を採用しようとすると高額なコストがかかります。とりわけ、経験豊富なエンジニアの母数は少なく、採用難易度の上昇に比例して採用単価もアップしているのが現状です。

株式会社マイナビでは、業種ごとの中途採用の年間採用コストを調査しました。「中途採用状況調査2022年版」によると、「IT・通信・インターネット」における年間採用コストは平均574万4,000円で、業界全体の平均484万3,000円よりも90万円ほど高い結果です。

中小企業やスタートアップ企業は、採用活動にかけられる費用に限りがあります。社内で教育環境を整備し、社内でデジタル人材を育成すれば、採用コストが大きく抑えられるでしょう。

出典:中途採用状況調査2022年版(2021年実績)|株式会社マイナビ 社長室 HRリサーチ統括部

ピンポイントな人材の採用が難しい

一口にデジタル人材といっても、企業が求める知識やスキルはさまざまです。採用市場において、ピンポイント採用は難易度を増しており、ニッチな人材は求人を打っても応募すらない可能性があります。

エンジニアを例に挙げると、システムの開発・運用・保守ができる人材はいても、「フルスタックエンジニアで、かつ金融の知識がある人材」はなかなか見つかりません。採用で人材獲得する場合、複数人の採用や妥協が必要になってくるでしょう。

自社が求める知識やスキル、考え方を持ったエンジニアを社内で一から育てれば、深刻な採用難の時代でも理想とする人材を確保し続けられます。

デジタル人材が市場に不足している

社会のデジタル化の進展に伴い、IT業界全体では深刻な人手不足が生じています。IT人材の平均年齢は2030年まで上昇の一途をたどるでしょう。ITの需要の高まりもあり、2030年には最大で約79万人の人材不足が生じる見込みです。

知名度や経営資源が十分な大手やメガベンチャーでなければ、理想とする人材の獲得は困難を極めます。中小企業やスタートアップ企業は、採用だけでなく、人材育成にも力を入れる必要があるのです。

将来的な需要が高まるのは、AI・IoT・ビッグデータ・情報セキュリティーなどを扱える人材です。これらの人材は、市場における母数が圧倒的に少なく、企業間の人材獲得競争は避けられません。

出典:参考資料(IT人材育成の状況等について)|経済産業省 商務情報政策局 情報処理振興課

デジタル人材育成に必要なこと

(出典)https://www.pexels.com/

新卒採用の人材育成をした経験はあっても、デジタル人材の育成に初めて着手する企業は多いはずです。自社が求めるスキルを満たす人材を一から育てるに当たり、どのような心構えや準備が求められるのでしょうか?

組織として育成に取り組む姿勢

人事部や関連部署の管理職のみで計画を進めてしまいがちですが、人材育成は組織全体で取り組む必要があります。

人材育成の最終的なゴールは、企業の成長に貢献できる人材を育てることです。まずは、経営層と目標や課題を共有し、人材育成の必要性を組織全体に発信しましょう。

開発チームにエンジニアの人材育成を丸投げした場合、育成にリソースが取られて本業がおろそかになります。多忙な先輩エンジニアが片手間で指導を行えば、理想とする人材に育たない恐れもあります。

デジタル人材の育成を会社全体の取り組みとして位置付け、十分な時間・コスト・リソースを捻出しなければなりません。

育成担当者の育成スキル

開発チームにおいては、仕事ができる人が必ずしも優れた指導者であるとは限らないのが現実です。

エンジニアリングの知識やスキルは一流でも、マネジメントや育成指導の経験がゼロであれば、期待する効果は得られません。育成を受ける側はもちろん、育成担当者にもストレスがかかり、モチベーションの低下や早期離職を招きます。

人材育成の第一歩は、担当者の育成スキルを伸ばすことです。育成対象者だけでなく、育成を行う社員にも相応の教育を施し、育成スキルの向上を図る必要があります。

デジタル人材に求められるスキル

(出典)https://www.pexels.com/

デジタル人材は、デジタル技術を活用したDXや事業の拡大に関わる人材です。単に作業をこなすだけでなく、新たな価値を創造し、企業の成長や変革をリードしていくことが求められます。デジタル人材に必要なスキルを紹介します。

マネジメントスキル

デジタル人材の中でも、エンジニアリングマネージャーやVPoE、チームリーダーなどに携わる者には、マネジメントスキルが必要です。

マネジメントスキルとは、経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報を適切に管理する能力です。開発組織では、複数のプロジェクトが同時並行で進むケースが多く、スケジュールや人員、品質などを細かく管理できるスキルが欠かせません。

開発やDXはチーム単位が基本なので、リーダーシップや協調性が求められます。プロダクトやセキュリティー対策などに関して、関係者への説明責任を果たさなければならない場面も多いため、コミュニケーションスキルは必須です。

開発スキル

デジタル人材の中でも、エンジニアのポジションは、開発スキルがなければ業務を遂行できません。チームリーダーやマネージャーなどのマネジメント職であっても、一定のレベルの技術スキルがあることが前提です。

開発で必要となるのは、プログラミングやフレームワークの知識です。開発の前段階では、要件定義で定めた内容を設計に反映させる「システムデザインスキル」が求められるでしょう。

ポジションによっては、データベース構築スキルやクラウドサービスを使いこなすスキルも必要です。

企画・設計力

デジタル人材は、単純に手を動かして作業をするだけのポジションではありません。高度なデジタル知識を駆使して経営課題を解決したり、新たなプロダクトを生み出したりして、企業に大きな革新をもたらすことが求められます。

「デジタルによって課題をどう解決していくか」を考える発想力や企画力のほか、アイデアや要望を形にする設計力が必要となるでしょう。顧客の悩みや社内の問題点を正確に把握する上では、ヒアリングスキルも重要です。

データの分析・読み取り能力

DXや組織改革、事業拡大を進めようとする企業にとって、データは最も重要な資産の一つといっても過言ではありません。

Webシステムやアプリからは、利用者に関するさまざまなデータが収集できます。データの分析結果を活用することで、主観に頼らない客観的な判断が可能となります。事業戦略の策定やリスクマネジメントといった重要な場面でも役立つでしょう。

デジタル人材には、取得したデータを整理・分析する「データ分析スキル」が必要です。データを分析するだけでなく、データ結果をビジネスにどう生かすかを考え、具体的な解決案を提案できるスキルが求められます。

育成時のよくある課題とハードル

(出典)https://www.pexels.com/

人材育成に初めて着手する企業は、起こり得る問題やハードルを想定し、先回りして対策を講じることが肝要です。デジタル人材の育成プロセスには、どのような課題が生じやすいのでしょうか?

育てたエンジニアの退職

開発チームでよく起こるのが、育成したエンジニアの早期退職です。手塩にかけて育成した人材が離職すると、育成担当者が費やしてきた時間や労力が水の泡になります。

外部講師による研修やeラーニング、公開講座への参加などに費やしたコストもばかにならない金額なので、資金が潤沢でないスタートアップ企業は、経営が圧迫される可能性もあります。

人材が離職すれば、第二の育成候補者をまた一から育成するか、新たに人を採用しなければなりません。追加の費用がかかる上、育成に当たる担当者のモチベーションも下がる一方です。

育成期間と必要なスキルの不一致

エンジニアの場合、フレームワークやマイナー言語の習得などに一定の時間を要します。大きなプロジェクトの管理を担うハイクラス人材を育てるとなれば、育成期間は年単位に及ぶのが現実です。

育成をスタートするに当たり、自社が理想とする人材像を設定し、そこから逆算して必要な時間とプロセスを計画を立てていくのが通例です。

育成期間を1日でも早く終了させ、早期戦力化を目指したい企業側の気持ちは分かりますが、育成期間を短く設定しすぎると、学んだ知識が身にならずに終わります。

ゴールの明確化と必要スキルの洗い出しをしっかりと行った上で、適切な育成期間を設定しましょう。

育成スキルが重要でなくなる

ITの進歩は日進月歩で、トレンドの移り変わりもスピーディーです。日々進化していく技術に対応するために、多くのエンジニアはスキルのインプットを怠りません。

特定のスキル習得に時間をかけた場合、フレームワークの知識が古くなったり、プログラミング言語のトレンドが変わったりして、役に立たなくなる可能性があります。

前述の通り、デジタル人材の育成にはある程度の時間を要します。育成計画を立てる際は、育成中に技術トレンドが変わることを想定しましょう。育成担当者は、小まめな情報収集で最新トレンドを追い続けなければなりません。

育成課題に対する対策

(出典)https://www.pexels.com/

育成プロセスで想定される課題を洗い出し、できる限りの対策を行う必要があります。キャリアパスの明示や社内の環境整備などは、人事担当だけでなく、経営層や現場にいる社員の協力が不可欠です。

キャリアパスを共有し、二人三脚で歩む

人材育成の目標を達成するには、企業側の一方的な押し付けではなく、育成対象者に納得感を持って取り組んでもらう必要があります。キャリアパスをしっかりと共有し、定期的に見直しを行いながら、二人三脚で育成を進めていきましょう。

「キャリアパス(Career path)」とは、組織内における職位の道筋を指します。特定の職位に至るまでに必要なスキルや経験、プロセスを社員に明示する「キャリアパス制度」を導入する企業は少なくありません。

キャリアパスの共有によって将来の見通しが立つと、育成対象者のモチベーションがアップします。エンゲージメントが高まり、早期離職率の低下にもつながるでしょう。

デジタル人材が自発的に学習する土壌を作る

ITの技術進歩は目覚ましく、社内の教育だけでは追い付けないケースがあります。エンジニアは常に新たな知識や技術をインプットし続ける必要があるため、育成対象者やデジタル人材を対象に、自発的に学習できる機会を提供しましょう。

  • 特定の資格に資格手当を設ける
  • スキルアップのための資金援助を行う
  • エンジニア同士のコミュニティーを結成する
  • ハッカソン(※)を開催する
  • 最新の技術に触れる機会を用意する

※システムやアプリを開発するエンジニアやデザイナーが集まってチームを結成し、アイデアを出し合いながら開発を行うイベント。

社内のデジタル知識や環境をアップデートする

デジタル人材を育成する前提として、社内のデジタル知識や環境をアップデートする必要があります。

「一世代前のバージョンのツールを利用している」「プラットフォームが古くて非効率」「社内に最新トレンドに詳しい人がいない」といった状況下では、育成計画は思うように進みません。人材育成以前に、既に現場で弊害が生じている可能性が高いでしょう。

いくら優秀な人材がいても、社内の環境が整っていなければ、知識やスキルは十分に活用されません。DXを主導するデジタル人材のみならず、全ての社員に対するリスキリング(※)を検討しましょう。

※新しい職種または今の業務で必要とされるスキルの大幅な変化に対応するために、必要なスキルを習得すること。

育成する具体的な方法

(出典)https://www.pexels.com/

人材育成では、学習と実践の繰り返しが重要です。面談やフィードバックを定期的に行い、目標に対する達成度合いを確認しましょう。育成の具体的な方法とポイントを解説します。

現場で実践を積ませる

開発環境や人材育成の進め方は会社ごとに異なりますが、1日も早く実践的なスキルを習得させたいのであれば、実務経験を通じた学びを強化しましょう。

エンジニアやデザイナーなどの開発に関わる人材に有効なのが、OJT(On the Job Training)です。業務遂行に必要な事柄を実務の中で教える訓練方法で、先輩エンジニアの下で開発プロジェクトの一部に関わってもらいます。

OJTがうまく機能すれば、座学の研修では得難い生きた知識を効率良く身に付けられます。単なる指示出しにならないように、育成担当者への教育も忘れないようにしましょう。

定期的な面談機会を設ける

育成のスタート後は、1on1のミーティングや面談を定期的に行います。現状・課題・方向性を確認し、適切なフィードバックを行うことで、育成対象者のやる気が引き出されます。自分の仕事ぶりを客観的に振り返るきっかけにもなり、成長スピードが加速するでしょう。

注意したいのが、面談を失敗の批判だけで終わらせないことです。改善点の指摘はもちろん重要ですが、否定的な言葉が多かったり、具体的な解決策を示さなかったりすると、モチベーションの低下や自信の喪失につながります。

できるだけポジティブな言葉を使いながら、どうすれば目標達成に近づけるかをしっかりとアドバイスしましょう。

外部研修への参加

デジタル人材を育成するには、十分な時間とヒューマンリソースが必要です。社内で十分なリソースが確保できないときは、外部研修に参加させるのも一つの手です。外部講師を招けば、多忙な業務の合間を縫って駆け足で研修を行わずに済むでしょう。

ただし、外部の専門企業に研修を依頼すると、高額な研修費用がかかります。加えて、外部講師が教える内容が社内の方針や働き方にフィットするとは限らないため、社内研修と外部研修の併用がベターです。社内で補えない部分のみを社外研修で補う手もあります。

育成は社内全体で取り組むことが重要

(出典)https://www.pexels.com/

デジタル人材は、デジタルの高度なスキルを駆使し、企業のDXやビジネスの拡大に貢献できる人々です。システムの開発や保守だけに留まらず、最新技術を使って新たな価値を生み出していくことが求められます。

デジタル人材を社内で育成するには、育成環境の整備と優秀な講師の確保、綿密な育成計画が欠かせません。

人事や現場の関係者だけで完結させず、組織ぐるみで育成体制を構築しましょう。社内での育成が難しいときは、プロフェッショナルの力を借りるのも一つの手です。

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