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エンジニア採用をはじめ、人材の獲得競争が激しくなっている環境を受けて、雇用者としての魅力を高める『エンプロイヤーブランディング』の考え方が注目されています。自社の魅力を積極的に発信し、ブランド力を高めるメリットや、具体的な方法を解説します。
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エンプロイヤーブランディングとは?
(出典)https://www.pexels.com/
エンプロイヤーブランディングとは、その名が示すように『エンプロイヤー(雇用者)』の立場によるブランディングの施策を指します。優秀な人材を獲得するため、自社の労働環境や働き方などに関して情報を発信し、魅力的な企業イメージを持ってもらう活動です。
自社の魅力を浸透させるための活動
社員や人材採用における応募者に対し、自社の働く場所としての魅力を発信・浸透させるための活動が、エンプロイヤーブランディングです。労働環境において社員に提供できる価値を示し、対外的にも魅力を理解してもらうための情報を発信することで、採用したい人材を引きつける効果が期待できます。
さらに社員のエンゲージメントを高めることにより、早期の離職を防ぎつつ、優秀な人材に長く働いてもらうのも目的です。特にエンジニアの採用をはじめとして、人材の獲得が難しい職種では、自社の魅力を発信することで、採用の確率を上げようとする企業が増えています。
エンプロイヤーブランディングが注目される理由
エンプロイヤーブランディングが注目される理由としては、以下のように人材の獲得競争が激化している点や、応募者の採用活動のやり方が変わってきた点などが挙げられます。それぞれみていきましょう。
人材の獲得競争の激化
エンジニアをはじめ優秀な人材の獲得競争が激しくなっており、自社の魅力を分かりやすく整理・発信する必要性が増したのが、エンプロイヤーブランディングが注目された最大の理由です。
国全体で少子高齢化が進む中で、慢性的な人手不足に陥っている企業は多く、さらにIT技術の進展により業務自体も高度化しているため、人材市場では優秀な人材の企業間の取り合いが発生しています。
そういった状況において、より快適な労働環境を求める人も増えているため、企業側は自社の働きやすさや職場の魅力を積極的にアピールする必要が出てきたわけです。
応募者の採用活動の変化
近年は自ら情報を積極的に収集し、SNSなどを活用して応募先の評価を決める人材が多くなりました。そこで、企業もSNSを中心に、自社の魅力の発信が不可欠となっている点も、エンプロイヤーブランディングの必要性が増した背景にあります。
SNSや就職・転職関連のネット掲示板などでは、企業のリアルな情報がやり取りされており、企業の公式サイトや求人票の情報などよりも、自ら集めた情報を信頼する求職者は少なくありません。採用広報として取り繕った情報だけを発信しても、なかなか求職者に響かないわけです。
そこで、エンプロイヤーブランディングの観点から、よりリアルな自社の魅力を分かりやすく発信することで、求職者の信用を得て、応募に結び付けようとする企業が増えています。
いまや採用活動ではSNSでの発信が欠かせなくなっており、マネジメント層や人事部門が特に意識しない中でも、エンプロイヤーブランディングに近い施策を実行している企業は珍しくありません。
エンプロイヤーブランディングのメリット
(出典)https://www.pexels.com/
企業がエンプロイヤーブランディングに注力するメリットとしては、以下のように採用率の向上とコストの削減、および優秀な人材の早期離職の低下などがあります。それぞれ簡単に解説します。
採用率の向上とコストの削減
エンプロイヤーブランディングにより、自社の魅力を発信することで、応募者の質が向上し、採用ニーズに合った人材を獲得できる可能性が高まります。
さらに、入社後も長く働いてもらえるようになるので、定期的に多くの人材を採用する必要もなくなり、採用コストの削減も期待できるでしょう。採用ニーズにマッチした情報を発信することで、採用後のミスマッチを軽減できる効果もあります。
優秀な人材の離職率の低下
自社の魅力を浸透させることで、エンジニアをはじめ、手放したくない優秀な人材の離職率も低下するでしょう。エンプロイヤーブランディングで企業イメージを向上させられれば、既存の社員も誇りを持って仕事に臨めるようになり、結果的に人材の定着率が高まります。
とりわけエンジニアのように人気の高い職種は、より快適な労働環境を求めて転職しやすい傾向もあるため、長く自社で活躍してもらうためにも、自社ブランディングが欠かせなくなってきています。
エンプロイヤーブランディングを高めるには?
(出典)https://www.pexels.com/
それでは、エンプロイヤーブランディングの高め方を具体的に解説します。一般的には以下のプロセスをたどりますが、最適なブランディングの方法は企業によって異なるので、人事部門を中心に自社に合ったやり方を模索しましょう。
EVPを分析・評価する
まずは自社のEVP(Employee Value Proposition)を分析・評価する必要があります。EVPとは簡単にいえば、企業が社員に対して提供できる価値のことです。給与や福利厚生はもちろんですが、社員が望むキャリアを実現できる可能性が高い点や、ワークライフバランスを実現しやすい環境などが挙げられます。
自社の企業理念や実現したい価値観、既存の労働環境などを考慮し、どういった価値の提供に力を入れるべきか、人事部門やマネジメント層が中心となって考えることが重要です。
ブランディング戦略を策定する
EVPを基に自社のあるべき姿を想定し、現状のイメージとのギャップを把握した上で、ブランディング戦略を構築していきます。既存の社員からヒアリングもした上で、どういった労働環境にすべきか、自社のあるべき姿を定義し、現状において足りない部分を明らかにしましょう。
その上で、どういった方法でギャップを埋めていくか、誰に対してどのような情報を発信することで、自社のブランドを高めるのかといった施策を考えていきます。
自社の魅力を発信する
戦略に基づいて、自社の魅力を積極的に発信していきましょう。誰に対して、どういったメッセージを発信すればよいか検討し、情報を発信する媒体も選択します。
採用ページで働き方や職場環境を紹介するのはもちろん、SNSに職場の画像を投稿したり、社員のインタビュー記事へのリンクを貼ったりするのもよいでしょう。特にエンジニアの採用に結び付けるためには、社内のエンジニアから魅力を語ってもらうのが有効です。
また、ブランディングに関する施策を実行したら、定期的に効果の測定と検証を行い、施策の見直しと改善を繰り返す必要があります。時間をかけて、徐々に自社に最適なブランディングを実現することが重要です。
エンプロイヤーブランディングで注意すべき点
(出典)https://www.pexels.com/
エンプロイヤーブランディングを実行する際には、以下の点に注意しましょう。人事部門だけが実行するのではなく、全社的に取り組み、発信する情報の質にもこだわる必要があります。
全社的に施策に取り組むことが重要
エンプロイヤーブランディングは、基本的には人事部門が中心となって施策を実行していきますが、マネジメント層はもちろん、各部門・部署で担当者を決めておき、全社的に取り組むことが重要です。一貫した施策を打ち出し、実行するには部門横断的な協力が欠かせません。
ビジネス環境の変化によって、発信すべき情報が変わるケースも考えられるので、マーケティング部門や広報担当者、さらに現場で業務に携わる社員との連携を強化し、採用ニーズに合った情報を的確に発信していく必要があります。
身の丈に合わない宣伝は避ける
実態を伴わない事柄を宣伝したり、外面のみきれいに見せるような情報を発信したりしないように注意が必要です。上記のように、近年はSNSや就職・転職掲示板などで、企業の情報が頻繁にやり取りされています。事実に反していたり、誇張が過ぎたりする情報は、すぐに求職者に露見してしまうでしょう。
その結果、マイナスのイメージが付いてしまい、逆に応募者が集まらなくなる恐れもあります。まずは自社の魅力を高めるために社内の環境整備や働き方の改革・改善を進めた上で、社員に提供できる価値を率直に発信する姿勢が重要です。
エンプロイヤーブランディングのポイントを理解する
(出典)https://www.pexels.com/
エンプロイヤーブランディングとは何か、基本的なところを解説しました。エンジニアの採用市場をはじめとして、優秀な人材の獲得競争が激化する中、自社の労働環境や働き方などに関して、積極的に魅力を発信する活動が求められています。
まずは、自社のEVPを分析・評価した上で、できるだけ緻密なブランディング戦略を構築しましょう。その上で、自社のどういった魅力を発信するかを決定し、施策の実行と改善を繰り返すことが重要です。人事部門が旗振り役となりながら、部門横断的に取り組む体制を構築しましょう。発信する情報の質にも配慮が必要です。
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