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目標設定の事例|入社後の目標を5要素で書く

目標設定の事例|入社後の目標を5要素で書く
Offers HR Magazine編集部監修者

株式会社overflow / 編集担当

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株式会社overflowの運営するOffers HR Magazine編集部です。

目標設定の事例を集めても、文言をそのまま自社へ持ち込むと、期末に判定できない目標が残ります。事例は短く要約されていることが多く、達成の成否を判定する条件が文から落ちているためです。

写せる形にするには、先に目標文の要素をそろえます。この記事では、国が公開している人事評価ガイドの記載5要素を土台に、入社後30日・90日・半年の目標文と、職種別の書き直し例をまとめました。目標の難しさの決め方と、運用が形だけになる条件までを扱います。

採用KPIを管理するための参考シートは、採用の目的と目標の設定・採用スケジュールの作成・採用KPIの管理方法を扱うExcelテンプレートです。

目標設定の事例を写す前に、記載の5要素をそろえる

目標文に入れる要素は5つです。何を、いつまでに、どの水準まで、どのように(方法・手段)のはじめの4つがそろうと期末に達成の成否を判定でき、5つ目の「どのような役割や貢献で」は目標が職位に見合っているかを見るための項目になります。

この5要素の出所は、内閣人事局と人事院が公開している評価者向けのガイドです。国家公務員の人事評価で実際に使われている記載事項なので、抽象的な指針ではありません。

要素

何を書くか

ガイドの記載例

何を

対象の業務・範囲

▲事業の見直し

いつまでに

期限

本年度中/9月まで

どの水準まで

到達する水準

○割削減/〜の対策を実施

どのように

方法・手段

▲事業のガイドラインの改訂

どのような役割や貢献で

職位に応じた役割

関係団体へのヒアリングを担当/過去のヒアリング経験を活かした貢献

出所:内閣人事局・人事院『人事評価ガイド 評価者・調整者の手続編』2022.06 ver.(2026年9月20日確認)。

5要素がそろうと、達成の成否を後から判定できる

判定できない目標を置くと、期末に評価者と本人の言い分が割れます。「顧客満足度を上げる」は、どの水準まで上げれば達成なのかが文に書かれていないためです。

同じ内容でも、はじめの4要素をそろえると判定の対象が確定します。「担当30社の満足度調査の平均を、下期末までに0.5ポイント上げる。四半期ごとの訪問を月次へ切り替え、低評価の3社を自分の担当として引き取る」の形です。

事例集から写すのは文言ではなく、この構造です。他社の目標文を眺めても、5要素のどれが欠けているかを見る目がないと、欠けたまま写すことになります。

目標設定のチェックリストは7項目ある

同じガイドは、設定した目標を確認するためのチェックリストを7項目で示しています。記載の具体性、果たす役割や貢献の記載、職位にふさわしい水準、組織目標との整合、チャレンジ目標を1つ以上、管理・監督職員はマネジメント目標を1つ以上、全ての目標に困難度と重要度、の7つです。

このうち自社でも使えるのは、上から4つと最後の1つです。チャレンジ目標とマネジメント目標の義務づけは、国家公務員の制度に固有の運用なので、そのまま持ち込む必要はありません。

フレームワークは目標文の代わりにならない

SMART(具体性・測定可能性・達成可能性・関連性・期限の5つの頭文字)・OKR(目的と主要な結果)・MBO(目標による管理)のどれを選んでも、目標文に5要素が入っていなければ期末に判定できません。フレームワークが決めるのは、目標をどの単位で持ち、誰と合意し、どの頻度で見るかです。

枠組み

決めていること

目標文への影響

SMART

1つの目標が満たすべき性質(具体性・測定可能性・達成可能性・関連性・期限)

期限と水準の書き方に直結する

OKR

目的(Objectives)と、その達成を測る主要な結果(Key Results)の親子関係

上位目標との整合を先に決める

MBO

本人が目標を立て、上司と合意して評価へつなぐ運用の手順

誰が原案を書くかが変わる

選び方で迷うなら、先に様式へ5要素を入れてから考えます。枠組みを入れ替えても、判定できない目標文は判定できないままです。

制度としての効果の大きさと限界は目標設定の効果と限界、育成の実感を分ける面談で扱っています。

入社後の目標は30日・90日・半年の3つに割る

入社直後に半年先の目標だけを置くと、途中で軌道修正ができません。期間を3つに割り、それぞれに到達した状態を書きます。

下の目標文は、5要素をそろえた書き方の例です。特定の企業の実績ではなく、記載の形を示すためのものとして読んでください。

期間

到達した状態

5要素でそろえた目標文の例

入社30日

誰に何を聞けばよいかが分かる

担当プロダクトの主要な機能5つについて、入社30日までに、仕様の説明を自分の言葉でできる状態にする。既存の設計資料の通読と、担当者への確認を通じて進め、読んで分からなかった箇所を資料の改善提案として残す

入社90日

担当範囲を1人で回せる

割り当てられた領域の改修を、入社90日までに、レビュー1往復で完了できる状態にする。週次で着手前に方針を共有する形で進め、判断に迷った箇所を判断基準の文書に書き足す

入社半年

通常の評価サイクルへ入る

担当領域の課題を、下期末までに、自分で洗い出して優先順位をつけた状態にする。四半期の計画づくりに参加する形で進め、前職での経験を移行時の論点整理として持ち込む

30日の目標は、判断の作法を覚えることに置く

最初の30日で業務の成果を目標にすると、環境の準備や情報の在りかを探す時間が丸ごと未達として跳ね返ります。この期間に置くのは、詰まったときに誰へ何を言うかの作法です。

経験を積んだ人ほど、前の組織の判断の順序を持ち込みます。意思決定の順序とレビューの作法を先に書き出しておくと、この段階は短くなります。

90日の目標は、担当範囲を1人で回せる状態で書く

90日の目標を判定する材料は、成果物です。「この規模の担当を、レビュー1往復で完了できた」は観測できる事実ですが、「理解した」は測れません。

遅れたときの原因も、成果物で判定していれば切り分けられます。原因の候補は、範囲が広すぎたのか、品質の基準が伝わっていなかったのか、見積もりの精度が低かったのかの3つです。

半年の目標は、通常の評価サイクルへ接続する

半年の目標は、入社者向けの特別な様式をやめ、既存の評価の様式へ移します。入社者だけ別の様式を使い続けるのは、評価の基準を二重に持つことと同じです。

移すタイミングは、半年ではなく最初の評価期の区切りに合わせます。期の途中で入社した人は、最初の1期を短い期間として扱い、次の期から通常に戻します。

エンジニア採用力チェックは、公開情報から自社の採用力を5指標24項目で採点するものです。

受け入れの設計そのものを扱っているのはオンボーディングとは|定義と設計の5段階・完了基準です。実施した企業の取り組みと、うまくいかなかったときの型は中途採用のオンボーディング事例|公開記録4社と統計で扱っています。

職種別の目標設定の事例は、書き直して初めて使える

「〜を向上させる」で終わる目標文は、そのままでは判定できません。判定の対象が文の中に置かれていないからです。

書き直しでやるのは、5要素を当てていく作業だけになります。下の表は、よく見かける書き方を左に、5要素をそろえた形を右に置いたものです。

職種

よく見かける書き方

5要素をそろえた書き方

エンジニア

開発の生産性を向上させる

担当サービスのビルド時間を、下期末までに、現状の半分にする。依存関係の整理とキャッシュの見直しで進め、手順を他チームへ展開できる文書として残す

採用担当

スカウトの返信率を上げる

エンジニア職のスカウト返信率を、第3四半期末までに、直前四半期の実績から3ポイント上げる。文面の型を3本に絞って運用し、返信のあった文面の特徴を採用チームへ共有する

カスタマーサポート

顧客対応の品質を高める

一次回答までの時間を、下期末までに、中央値で4時間以内にする。問い合わせの分類とテンプレートの整備で進め、分類の設計を後任が引き継げる形で文書化する

職種別の例文をもっと数多く見たい場合は、人事考課の目標設定とは?職種別に具体例と合わせて解説に職種ごとの例をまとめてあります。

エンジニアの目標は、成果物の状態で書く

エンジニアの目標を工数や作業量で置くと、手戻りの多い進め方が有利になります。判定に使うのは、コードやドキュメントの状態です。

複数人で進める仕事は、1人の目標として切り出しにくくなります。切り出せない部分に書くのは、担当した範囲と、その範囲での判断の質です。

採用担当の目標は、分母を先に決める

採用の指標は、分母の置き方で数字が変わります。返信率を目標にするなら、送付数を分母にするのか開封数を分母にするのかを目標文へ明記してください。

分母を書かずに率だけを置くと、期末に有利な分母を選べてしまいます。各指標の分母の置き方を段階ごとに整理したのが採用の歩留まり|計算式と段階別の基準値の置き方です。

採用KPIの管理方法は、採用KPIを管理するための参考シートでも扱っています。

カスタマーサポートの目標は、時間の指標を1つに絞る

一次回答、解決までの時間、対応件数を同時に目標へ置くのは、優先順位の判断を現場へ丸投げするのと同じです。期の目標として書くのは1つにします。

残りの2つは、悪化していないかを見るための参考値として別に置きます。目標にした指標だけが動いて他が崩れる状態を、期中に見つけるためです。

目標の難しさは質・量・速度の3つの観点で決める

目標に難しさの区分をつけないと、簡単な目標を並べた人が高く評価されます。人事評価ガイドは、困難の観点を3つに分けています。

質は前例がない新たな業務、量は通常の業務量に比べて著しく莫大な業務量、速度は通常の処理に要する時間より著しく短期に仕上げる必要があるもの、です。

区分

判定

困難度◎

その職位にある者全てには期待することが困難と思われる目標

困難度△

その職位にある者であれば達成することが容易と思われる目標

困難度−

上記のいずれにも該当しない目標

重要度◎

業務上に占めるウェイトが特に高い目標

重要度△

業務上に占めるウェイトが特に低い目標

重要度−

上記のいずれにも該当しない目標

出所:内閣人事局・人事院『人事評価ガイド 評価者・調整者の手続編』2022.06 ver.(2026年9月20日確認)。

重要度は、本人にとって大事かどうかでは決めません。業務に占める重みの軽重で決めるものなので、全ての目標に最上位の区分がつくことはありません。

目標の効果は、仕事が複雑になるほど小さくなる

困難な目標を置けば成果が上がるという関係は、単純な仕事ほど強く出ます。目標設定理論の35年の総括では、具体的で困難な目標と「ベストを尽くせ」の比較の効果量が、最も単純な課題で d = .77、最も複雑な課題で d = .41 でした。

出所:Locke, E. A., & Latham, G. P.『Building a Practically Useful Theory of Goal Setting and Task Motivation: A 35-Year Odyssey』American Psychologist, 57(9), 705-717(2002年)。

複雑な仕事では、困難度よりも課題の進め方のほうが成果と強く結びつきます。エンジニアの目標で、水準だけでなく「どのように」を必ず書くのはこのためです。

エンジニア組織でこの効果量がどこまで小さくなるか、成果目標と学習目標をどう使い分けるかの掘り下げは目標設定の効果と限界、育成の実感を分ける面談で扱っています。

目標設定の様式に入れる項目は6つに収まる

様式に項目を増やすほど、記入されない欄が増えます。運用に必要なのは6つです。

項目

何を書くか

目標文

5要素をそろえた1文(何を/いつまでに/どの水準まで/どのように/どのような役割や貢献で)

困難度

職位に対して難しいか、容易か、いずれでもないか

重要度

業務に占める重みが特に高いか、特に低いか、いずれでもないか

達成の判定材料

期末に何を見て判定するか(成果物・数値・記録)

期首面談の日付と所要時間

実施したかどうかと、どれだけ時間を使ったか

期中の変更の記録

いつ、何を、なぜ変えたか

既存の様式に入っていることが多いのは目標文・達成の判定材料で、抜けやすいのは困難度・重要度・期首面談の所要時間・期中の変更の記録の4つです。この4つを様式へ入れておくと、運用の状態がそのまま記録になります。

自己評価欄やコメント欄は、記入の負荷に対して使われる場面が限られます。入れるなら、期末に誰がそれを読んで何に使うかを先に決めてください。

目標が形だけになるのは、面談の時間が足りないときである

目標の様式を整えても、面談が短ければ運用は形だけになります。国家公務員11,203人の意識調査では、期首・期末の面談に要した時間は約5割が10分未満でした。

同じ調査で、人事評価の結果が人材育成に活用されている実感があると回答した者は1割弱にとどまりました。期首面談・期末面談を有益とする者は8割強いるので、面談そのものが否定されているわけではありません。

出所:内閣官房内閣人事局『人事評価の改善に向けた有識者検討会 報告書』(令和3年3月・回答者数11,203人・推定回収率81.6%)。

調査で示された項目

結果

期首・期末の面談に要した時間が10分未満

約5割

期首面談・期末面談を有益とする者

8割強

評価結果が人材育成に活用されている実感がある者

1割弱

人事院の資料は、人材育成への活用の実感がある被評価者ほど、期首面談・期末面談に要した時間が長い傾向を示しています。期首面談で目標や求められる行動について十分に話し合えた場合に活用の実感が高まる傾向も、同じ資料の記述です。いずれも元データは上と同じ令和2年の職員意識調査で、人事評価制度の改善が段階的に始まる前の状態を写したものです。

出所:人事院『第5回 人事行政諮問会議 事務局説明資料 エンゲージメント向上につながる評価・育成の在り方』(令和6年1月23日)。

同じ職員意識調査を使った面談時間と活用実感の関係の詳しい掘り下げは、目標設定の効果と限界、育成の実感を分ける面談を見てください。ここで扱うのは、入社後の目標運用にこの構図をどう当てはめるかに絞ります。

期首面談で確認するのは3点に絞る

面談の時間が取れないなら、話す内容を絞ります。目標文の5要素が埋まっているか、水準が職位に見合っているか、達成の判定材料が決まっているかの3点です。

この3点が終われば、あとは期中の対話で足りるでしょう。逆に、3点のどれかを曖昧にしたまま期を始めると、期末の面談で目標の解釈から議論することになります。

期中の対話の進め方は1on1とは?効果的な進め方や部下との信頼関係の築き方で扱っています。

中途入社者の目標は、採用時に基準が無いところから崩れる

入社後の目標が置けない原因は、入社後にあるとは限りません。採用の段階で評価の基準を持っていなければ、入社後に何を期待するかも書けません。

厚生労働省の転職者実態調査では、転職者がいる事業所のうち採用する際に「問題がある」とした事業所の割合は84.1%でした。問題があるとした事業所を100とした複数回答で、「応募者の能力評価に関する客観的な基準がないこと」が38.8%、「採用後の処遇やキャリア形成の仕方」が17.8%です。

出所:厚生労働省『令和2年転職者実態調査の概況』(事業所調査・有効回答9,149事業所・有効回答率53.1%)。

求人票が目標の話に触れている割合は、自社の集計で確かめられます。Offers に公開された正社員求人のうち、目標設定・OKR・MBO・KPI設定・目標管理のいずれかに言及していたのは3.8%でした(Offers(株式会社overflow)調べ・正社員求人 n=3,799・2026年9月集計)。

採用時の要件を、そのまま最初の目標へ引き継ぐ

求人票と選考で「この範囲を任せたい」と伝えた内容が、入社後の目標と食い違うことがあります。要件を書いた人と目標を置く人が別だと起きやすい食い違いです。

防ぎ方は単純で、選考で使った要件の文書を、期首面談の場に持ち込むことです。要件のうち入社後90日で担ってほしい部分に印を付ければ、最初の目標文の素案になります。

入社後の定着をどう測るかは中途採用の定着率とは?測り方と平均が使えない理由にまとめてあります。

Offersの企業向けサービスは、候補者のピックアップからスカウトの送信・追客までをOffersが代行するサービスです。

目標を運用できているかは3つの数で分かる

指標を増やすと、どれも見なくなります。目標の運用を見る指標は3つで十分です。

指標

測り方

見る間隔

期首面談の実施率と所要時間

実施した人数と、1件あたりの所要時間の中央値

期ごと

目標の達成判定率

期末に達成の成否を判定できた目標の割合

期ごと

期中の目標変更の件数

期の途中で追加・変更した目標の件数

期ごと

達成判定率が低いときは、目標文の5要素が欠けています。変更の件数がゼロのときは、期首に置いた目標が実態から離れたまま放置されていないかを疑ってください。

人事評価ガイドは、困難度と重要度を期中または期末に改めて設定または変更することも可能としています。期中の変更は例外ではなく、想定されている運用です。

入社者側の立ち上がりを測る指標は、オンボーディングとは|定義と設計の5段階・完了基準で扱っている3指標を使います。

採用計画とコストのテンプレートは、採用戦略の立案から予算配分までを扱うExcelテンプレートです。

目標設定の事例を自社へ移すときの順序

事例を探す前に、目標文の様式を決めます。5要素がそろっていない様式に事例を流し込んでも、判定できない目標が増えるだけです。

順序は3つです。第1に、記載の5要素を様式へ入れる。第2に、入社後の期間を30日・90日・半年に割り、それぞれの到達した状態を書く。第3に、期首面談の所要時間を測り、10分で終わっていないかを確かめる。

制度としての目標設定の効果と限界は目標設定の効果と限界、育成の実感を分ける面談にまとめてあります。

採用KPIを管理するための参考シートとエンジニア採用力チェックは、目標と実績を突き合わせる出発点として使えます。

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