エンジニアチームのマネジメントの取り組み方。チームマネジメントの方法やステップを解説

Offers HR Magazine編集部 2023年9月19日

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エンジニアチームのパフォーマンスを最大化する施策に、チームマネジメントがあります。適切なマネジメントが実行されれば、信頼関係に結ばれた良い開発チームが結成されるでしょう。マネジメントを進める手順や成功のポイントを解説します。

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なぜチームマネジメントが求められるのか

(出典)https://www.pexels.com/

チームマネジメントとは、チームの目標達成に向け、チームリーダーがメンバーを適切にマネジメントすることです。

単なる部下の統制ではなく、労働環境や仕組みを整えながら、一人一人の能力が発揮されやすいチームを作っていきます。エンジニアにチームマネジメントが必要な理由を考えてみましょう。

スピーディーな開発が可能になる

開発組織にチームマネジメントが必要な理由は、品質を落とさずにスピーディーな開発を実現するためです。

IT業界の技術革新は目覚ましく、新しいフレームワークやツールが絶え間なく登場しています。競合他社に先駆けて製品をリリースするために、エンジニアは新たなスキルを迅速にキャッチアップし、いち早く製品に反映させなければなりません。

開発のスピードは個々のスキルでカバーできるケースもありますが、チーム全体の仕組みやフローを変えた方が大きな効果が見込めます。

リーダーが全体のスケジュールやタスクを管理すれば、エンジニアは自分のやるべき業務に専念できます。パフォーマンスが上がり、スピーディーな開発が実現するでしょう。

メンバーの役割を明確にして能力を発揮する

開発チームには、業務の効率化とスピードが欠かせません。しかし、メンバーの役割が曖昧な状態では、それぞれが自分の能力を十分に発揮できず、作業効率は下がる一方です。

エンジニアは、得意分野や保有スキル、バックボーンが一人一人違います。チームマネジメントを通じて個々に適切な役割を割り当てることで、チームパフォーマンスの最大化が実現するでしょう。

さらに、役割の明確化によって責任感が養われるため、メンバーはやりがいを感じやすくなります。モチベーションが向上し、チームにプラスの連鎖がもたらされるでしょう。

より良いアイデアを生み出す

大量生産・大量消費が行われていた時代は、「良いものを作れば売れる」が当たり前でした。消費者の考えが「所有からサービス」に変化した現代、企業は多様化する消費ニーズを捉え、いかに付加価値を高めるかを考えなければなりません。

良い製品を作るには、良いアイデアが必要です。一人の力には限界がありますが、チームで意見を出し合えば、今までになかった斬新なアイデアや課題解決策が見つかる可能性があります。

チームマネジメントが機能すると、チームの心理的安全性が担保され、誰もが不安や緊張を感じずに発言ができるようになります。情報共有や意見交換が活発に行われるチームでは、新たなアイデアやイノベーションが生まれやすくなるでしょう。

メンバーの離職を防ぐ

チームマネジメントには、メンバーの離職を防ぐ目的もあります。エンジニアの場合、キャリアアップや技術チャレンジができるより良い職場を求める傾向があります。

採用市場は売り手優勢なので、エンジニアが求める労働環境や条件を提供できなければ、すぐに離職する可能性があるでしょう。

チームマネジメントが適切に行われれば、タスクやコンディションがきちんと管理され、業務の属人化や作業量の偏りが解消されます。エンジニアが働きやすい環境や仕組みが整うため、定着率の向上が見込めます。

チームマネジメントを成功させるために必要な要素

(出典)https://www.pexels.com/

チームマネジメントがうまく機能している組織には、「チームリーダー」「環境」「心理的安全性」という三つの成功要素があります。それぞれがマネジメントにどう作用するのかを解説します。

チームリーダーの存在

チームリーダーは、設定した目標や成果を達成するために、チーム全体をマネジメントする役割を担います。以下は、具体的な業務内容の一例です。

  • 目標の伝達
  • タスクの割り当て・進捗の管理
  • 指導・フィードバック
  • スキルアップのための機会提供
  • 課題解決に向けたかじ取り
  • モチベーションの管理
  • 関係各所への報告

ここでいうチームリーダーとは、組織における役職名を指すわけではありません。管理職はもちろん、一般の社員がチームリーダーを任されるケースもあります。

チームが力を発揮できる環境

チームリーダーは、仕組みやルールを整え、メンバーが開発に集中できる環境をつくります。

働きやすい環境の前提条件は、十分な時間やリソース、必要に応じた技術的サポートがあることです。コストの兼ね合いもありますが、コーディング以外の作業の自動化やツール導入も検討すべきでしょう。

エンジニアは変化の激しいIT市場に対応するため、常にスキルをブラッシュアップしなければなりません。新しい技術を試す機会や学びの場を設け、チームメンバーが切磋琢磨できる環境を構築することも重要です。

心理的安全性が担保されていること

チームマネジメントでは、心理的安全性の担保に注力します。心理的安全性(Psychological safety)とは、組織の中でどのような発言をしても、罰せられたり、拒絶されたりしないという安心感に満ちた状態です。

チームで成果を上げるには、チームメンバーが深い信頼で結び付いている必要があります。批判を恐れずに意見を出し合える環境でなければ、良いアイデアやイノベーションは生まれません。

意見が異なるメンバーと建設的な議論ができれば、より良い解決策や改善策が見つかるでしょう。

チームマネジメントに必要なリーダースキル

(出典)https://www.pexels.com/

チームマネジメントを遂行する上で、チームリーダーにはどのようなスキルが求められるのでしょうか?身に付けておくべきスキルの一例とその理由を解説します。

先導力

チームリーダーはチームのかじ取りを担う役割であるため、メンバーをゴールに導く「先導力」を備えていることが前提です。

先導力は「リーダーシップ」と同義ですが、単に人に指示を出したり、部下を管理したりするスキルだけを指すのではありません。先頭に立って物事を行い、チームに模範を示す「率先垂範」を目指す必要があります。

また、開発チームには必ず納期があるため、スケジュールや進捗をコントロールする「プロジェクトマネジメント力」も必須です。

コミュニケーション能力

チームリーダーは、チームメンバーや上長、関係各所と意思疎通を図りながら業務を進めていきます。メンバーと経営層(管理層)をつなぐパイプ役でもあるため、高いコミュニケーション能力が不可欠です。

コミュニケーション能力というと、外向的で話し上手な人を思い浮かべる人が多いですが、チームマネジメントでは「ビジョンや計画を分かりやすく伝達する力」や「相手のニーズや本音を理解する力」が求められます。

上意下達型のような一方通行のコミュニケーションでは、チームに不平・不満が生じます。小まめな対話を通じて、メンバーの本音や意欲を引き出しましょう。

業務遂行能力

開発組織では、チームリーダーとプレイヤーの両方を兼任する人もいます。チームで成果を上げる上では、一定レベルの業務遂行能力が欠かせません。危機的状況に陥っても冷静に対処法を考え、最後まで業務をやりきる力が求められるでしょう。

メンバーにお手本を示すのが理想ですが、IT業界では、チームリーダーよりもメンバーの方が技術力や知識が勝っていることが少なくありません。

能力のレベルを示すのではなく、目標達成に向けた意欲や課題に取り組む姿勢を背中で見せる必要があります。時には、メンバーの業務を後押しする役目を担うこともあるでしょう。

問題解決能力

近年は、エンジニアの業務が高度化・複雑化しています。マネジメントする立場になると、プロジェクト前からさまざまな問題や課題に直面するため、問題解決能力をしっかりと磨いておく必要があります。

問題解決能力の主な構成要素は、「問題の発生原因を特定する力」「解決方法を見いだす力」「解決方法を実行する力」です。

一朝一夕で身に付く能力ではないため、普段から問題意識を持ちながら業務に当たることが肝要です。自分の考えに固執せず、さまざまな意見を取り入れる柔軟さも忘れてはいけません。

因果関係を整理しながら、物事を体系的に考える「論理的思考力」の強化も問題解決能力の向上に役立ちます。

指導力

チームマネジメントでは、指導力が求められます。指導手法には、大きくティーチングとコーチングがありますが、チームの主体性を促す秘訣は、コーチングをうまく取り入れることです。

コーチングスキルとは、チームメンバーの得意分野や苦手分野を見極め、個々のパフォーマンスが最大化されるようにサポートするスキルです。

自分が持っている知識や技術を教えるティーチングと異なり、適切な問いの投げかけによって、メンバーに気付きの機会を与えます。一人一人の主体性が増し、組織の活性化がもたらされるでしょう。

チームマネジメントの手法

(出典)https://www.pexels.com/

チームマネジメントを行う上では、目標の設定と具体的なアクションプランが必要です。プロジェクトのスタート後は、チームメンバーの進捗やコンディションを小まめにチェックしながら、プロジェクトの完遂を目指します。

チームマネジメントの流れとチームリーダーの役割を確認しましょう。

チームの最終目標(KGI)を決定する

最初のステップは、最終目標(KGI)の決定です。目標といっても、「去年よりも売上を上げる」といった漠然としたものではなく、売上金額や契約件数などの具体的な数値をもって示す必要があります。

同時に絵に描いた餅にならないように、実現可能性も考慮しなければなりません。実際は、経営層やマネジメント層が、企業の経営方針や事業計画と照らし合わせながら最終目標を決定し、各部署に共有します。

共有された後は、部署やチームで最終目標達成までの具体的な道筋を決定する流れです。

中間目標(KPI)を設定する

中間目標(KPI)は、最終目標までの達成状況を定点観測するための指標です。SMARTの法則に従い、チーム内で具体的な目標を3~10個ほど決定します。

  • Specific(具体的)
  • Measurable(測定可能)
  • Assignable(達成可能)
  • Relevant(関連性)
  • Time-related(期限が明確)

中間目標を設定すれば、進行中のプロジェクトが順調に進んでいるかどうかが定量的に把握できる上、問題の早期発見にもつながります。目標値と実績が乖離する場合、KPIの見直しや修正を行いましょう。

最終目標と中間目標を樹形図(KPIツリー)で可視化すると、最終目標までのプロセスが分かりやすくなります。

実行と振り返りを行う

KPIの設定後は、具体的なアクションプランに落とし込む作業を行います。チームリーダーは、メンバーの特性やスキルを考慮しながら、個々がやるべきことを明確化します。自分事として主体的に動いてもらうために、動機付けもしっかり行いましょう。

プロジェクトスタート後は「PDCAサイクル」に従い、Plan(計画)以降のDo(実行)→Check(測定・評価)→Action(対策・改善)の流れを意識します。定期的な振り返りと、必要に応じ軌道修正も欠かせません。

PDCAサイクルを効率良く回す上で、チームリーダーにはタイムマネジメントスキルが求められます。個人の習熟度に合わせながら、限りある時間を適切に配分しましょう。

メンバーの成長をサポートする

チームリーダーには、メンバーの成長をサポートする役目があります。実務においては、各メンバーの業務状況やコンディションなどを把握し、必要に応じて個別指導を行います。適切なフィードバックが行われれば、メンバーは着実に成長するでしょう。

間違いを指摘して指導するだけでなく、「褒める」「感謝を伝える」などの方法も有効です。人は、褒められたり、感謝を伝えられたりすると自己効力感が高まり、モチベーションが大きく向上します。

ただし、間違った褒め方や声掛けは逆効果になるため、タイミングと方法を間違わないようにしましょう。褒めると甘やかすは似て非なるものです。

エンジニアのチームマネジメントで注意すべきこと

(出典)https://www.pexels.com/

チームマネジメントがうまく機能すれば、組織の目標が達成され、チームの士気も上がります。

一方で、適切なマネジメントが行われない場合、目標が達成できないばかりか、メンバーの信頼を失う可能性があります。エンジニアのチームマネジメントでは、どのような点に注意すればよいのでしょうか?

理論にこだわりすぎない

チームマネジメントが失敗する理由として、「チームマネジメント理論にこだわりすぎること」が挙げられます。

特に、初めてチームリーダーを経験する人は、書籍やネットで語られているノウハウをうのみにし、自分のチームにそのまま当てはめようとする傾向があります。

理論への過度な依存は、マネジメントの視野を狭めます。他のチームメンバーから見ても理解しがたく、不平・不満が生じる要因になりかねません。

チームは人で成り立っているため、理論よりも一人一人の個性や能力を尊重する姿勢が求められます。理論はあくまでも参考程度にとどめましょう。

メンバーを信頼する

メンバーへの理解が不足していると、「メンバーが信頼できない」「仕事を任せるのが不安」という状態に陥ります。「人に任せるよりも自分でやった方が早い」と思ってしまい、チームマネジメントが機能しないケースも珍しくありません。

人によっては、メンバーの言動を監視する「マイクロマネジメント」に傾く場合もあります。過度な干渉は、メンバーの主体性を奪い、成長を阻害します。

チームとして成功を収めるためには、メンバーへの理解と信頼が不可欠です。それぞれが持つ個性や能力をよく把握した上で、それらを最大限に生かすことを考えましょう。

応急処置ではなく根本対策を心掛ける

開発にトラブルは付きものです。プロジェクトの締切が迫っている場合、短期的な解決策でその場を乗り切るのは、ある意味仕方がないかもしれません。

しかし、根本的な原因を追究しないまま放置すると、同じトラブルが繰り返されます。そのたびに応急処置で対処していては、チームの生産性の悪化と士気の低下を招くでしょう。

例えば、「仕事量が多くて…」という言葉からは、問題の本質は見えてきません。不必要なタスクが多い可能性もあれば、役割の割り当てが不適切だった可能性もあるでしょう。

チームリーダーは、問題の根源にアプローチする「根本対策」を心掛ける必要があります。目に見えている課題の下には、潜在的課題が潜んでおり、時間が経てば経つほど状況は悪化します。

適切なマネジメントが良いチームを育てる

(出典)https://www.pexels.com/

チームマネジメントは、従来型の管理や統制と違い、チームメンバーの個性や能力を引き出すことに重きが置かれています。チームリーダーは、仕組みや環境の整備に力を入れ、メンバーが快適に働ける職場を目指す必要があるでしょう。

適切なマネジメントは良いチームを育てますが、不適切なマネジメントは、チームの成長を阻害します。まずはチームメンバーへの理解を深め、信頼関係を構築するところから始めましょう。

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