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優秀なエンジニアの採用に悩む企業は、採用基準や採用方法を見直す必要があります。採用市場の動向や課題を把握しないまま採用プロセスを進めても、良い人材には巡り合えません。優秀人材を見抜く方法や競合他社に負けないための採用施策を解説します。
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優秀なエンジニアほど採用が難しい理由
(出典)https://unsplash.com/
多くの分野・領域でIT化が加速する現代、多くのSESやSIerでは、即戦力となるエンジニアの採用を強化しています。
しかし、「自社が求める人材が採用できない」「内定辞退や早期退職が多い」という声もあり、優秀な人材の採用に苦戦する企業が多い実態がうかがえます。なぜ、優秀なエンジニアほど採用が難しいのでしょうか?
優秀なエンジニアは一般の採用市場にはいない
IT化の進展によって、エンジニアの需要は右肩上がりに伸びています。エンジニアにキャリアチェンジする人やプログラミングスクールで技術を習得する人も増加傾向にあり、エンジニアを求める企業の需要は十分に満たされると思われがちです。
実際は「エンジニアはいるが、優秀なエンジニアは少ない」のが現実で、理想の人材を採用できずにいる企業が少なくありません。
優秀なエンジニアは、企業に高待遇で囲い込まれており、転職する動機が生まれにくい傾向があります。転職するとしても、企業側からオファーや引き抜きがあるため、採用市場にはほとんど姿を現しません。
エンジニア側に採用の主導権がある
採用難が続く理由の一つに、採用の主導権がエンジニア側(求職者側)に移ったことが挙げられます。ひと昔前は企業が人材を選ぶのが当たり前でしたが、近年は労働人口の減少によって、多くの企業が人材の争奪戦に動いています。
中でも、エンジニアの採用市場は超売り手市場のため、企業側が「人に選ばれる企業」になる努力や工夫をしない限り、優秀なエンジニアの確保が難しい状況です。
資金が潤沢な大手企業は、エンジニアにとって魅力的な労働条件や待遇を提示できますが、中小企業やスタートアップ企業は大手ほどの高待遇を用意できません。多くの賃金を出せる企業と出せない企業との雇用格差は広がっていくばかりです。
採用側が「どういう人材が欲しいか」を定義していない
採用活動をスタートするに当たり、企業側は人材要件を定義する必要があります。「優秀なエンジニアを採用したい」の一点張りで、求める人材像をしっかりと定義していない企業は、優秀な人材を自ら逃しているのと同じです。
「優秀」だけでひとくくりにせず、採用基準を明らかにしましょう。
- どんなスキルを持っているか
- 最低限欲しいスキル
- あれば優遇するスキル
- どんなキャリアを重ねてきたか
- 週に何時間ぐらい稼働できるか
優秀なエンジニアを見抜くポイント
(出典)https://unsplash.com/
優秀なエンジニアの基準は企業によって異なりますが、エンジニアとして必ず備えておきたい資質やスキルがあります。特に、課題に対する向き合い方や思考パターンなどは、一朝一夕で身に付くものではありません。
業務に必要なスキルを有しているか
優秀なエンジニアは、業務に必要なスキルをしっかり備えていることが前提です。
自分の専門分野のスキルを備えていることはエンジニアとして当然ですが、優秀なエンジニアとなれば、専門分野以外の周辺知識や新技術に対する知見も幅広く備えている必要があるでしょう。
上流工程を担当するに当たっては、開発スキルだけでなく、ビジネスパーソンとしてのコミュニケーションスキルやビジネススキル、マネジメントスキルも重要です。
目の前の課題だけでなく、副次的な課題解決に取り組めるか
エンジニアの仕事の多くは、課題解決といっても大げさではありません。状況を分析をして課題や問題点を見つけ、解決のための施策や改善策を立案します。「課題解決力」は全てのエンジニアに必要な基本のスキルであり、決して特別なものではないといえます。
優秀なエンジニアかどうかをチェックするポイントとして、目の前の主要な課題だけでなく「副次的な課題」にも取り組めるかどうかが挙げられます。
副次的・潜在的な課題を認識した上で、予防策までを立案できる人材は、チームの中核的存在となるでしょう。
技術の構造化、再現性について考えられるか
新たな技術や機能を開発する際は、再現性や仕組み化について考える必要があります。誰がやってもうまくできる状態にしなければ、業務が属人化したり、クオリティーのばらつきが生じたりする可能性が高いでしょう。
一般的なエンジニアの場合、自分が関わるプロダクトコードから再利用可能なパーツを抽出し、社内ライブラリ化・OSS化をするスキルを備えています。一方で、技術構造化能力を十分に備えた優秀な人材には、以下のような行動パターンが見られます。
- 他チームの水平展開によるメリットを社内フローや要素技術として整理し、他チームでも利用できるレベルに落とし込める
- 広範なドメインへの影響を期待できる基幹的な技術要素を高水準で実現できる
参考:エンジニアの面接評価シートの作成方法。評価の基準やシートの作り方を解説 | Offers HR Magazine
優秀なエンジニアを採用する施策
(出典)https://unsplash.com/
企業の採用活動は一定のフローに沿って実施されます。採用担当者は、優秀なエンジニアを採用するためのフローと具体的な施策を把握しましょう。
施策に関しては、求人広告に代表される「待ちの採用方法」だけでなく、企業が主体的に人材確保に動く「攻めの採用方法」を取り入れることが重要です。
採用基準の明確化
企業の採用活動は、優秀な人材を確保することがゴールなのではなく、採用戦略によって企業の事業課題を達成することが真の目的です。
従って、自社の課題を明確化した上で「どのようなスキルを持った人材なら自社の課題を解決できるか」を考えなければなりません。
人物像を設定する際は、仕事の進め方や価値観、キャリアプランまでを明確にイメージしましょう。人物像がクリアになればなるほど、採用基準が設定しやすくなります。
自社に必要な人材をスピーディーに見極められるように、求める基準に優先順位を付けるのがポイントです。
- 必須条件:満たせなければ採用しない要素・業務上で必ず必要な要素
- 歓迎条件:あれば優位になる要素・入社後の習得が可能な要素
- 評価しない条件:不要または減点となる要素
母集団形成
大手企業の場合、求人広告を出すだけで多くの応募が集まりますが、中小企業やスタートアップ企業は、採用人数に応募者が満たないケースも珍しくありません。いきなり採用をかけるのではなく、「母集団形成」で求職者の認知を獲得しましょう。
母集団形成とは「自社に興味や関心を持つ人材」を集めることです。自社にマッチする質の高い採用候補者が増えれば、必要なタイミングで必要な人材にリーチできます。母集団形成の代表的な手法は以下の通りです。
- 自社サイトやSNSを使った情報発信
- ダイレクトリクルーティング
- リファラル採用
- 企業説明会
- 求人サイト
母集団形成を成功させるポイントについては、以下のコラムで詳しく解説しています。
エンジニア採用で母集団形成を成功させるには。タレントプールが重要 | Offers HR Magazine
採用ブランディング
採用に成功している企業の多くは、「採用ブランディング」によって自社のファンを増やす施策に取り組んでいます。
採用ブランディングとは、採用市場における自社ブランド力を高める活動です。「チームメンバーの団結力が高い」「有名エンジニアが在籍している」など、自社の強み・魅力を言語化して発信することで「この会社で働いてみたい」という人が増加します。
採用ブランディングがうまく機能すれば、母集団の数・質が向上し、企業が求める人材をよりスムーズに採用できるようになるでしょう。
自社のセールスポイントを考えるときは、どの企業にも共通するような要素は避ける必要があります。
ダイレクトリクルーティング
ダイレクトリクルーティングとは、企業から求職者にアプローチする手法です。
これまでは、求職者が企業の求人に応募する「待ちの採用方法」が一般的でした。しかし、売り手優勢の採用市場において、欲しい人材に企業から積極的にアプローチを仕掛けなければ、人材獲得競争を勝ち抜けないのが現実です。
ダイレクトリクルーティングなら、「今は転職するつもりはないが、いい企業があれば転職も考える」という転職潜在層にもリーチができるため、優秀なエンジニアを獲得したい企業には最適な方法といえるでしょう。
アプローチの手段には、以下のようなものがあります。
- FacebookやTwitterなどのSNS活用
- 社員の紹介
- 元社員の再雇用
- 専用サービスを利用
優秀なエンジニア採用にこだわりすぎるのもNG
(出典)https://unsplash.com/
優秀なエンジニアを採用するには、採用基準やペルソナを明確化することが重要です。ただし、優秀なエンジニア採用にこだわりすぎると、「自社に本当に必要な人材」を逃してしまうかもしれません。企業が抱えやすい採用課題を取り上げます。
その人材は本当に市場にいるか
優秀なエンジニアへの思い入れが強いと、採用基準のハードルがどんどん上がっていきます。優秀な人材が集まらない企業は、採用市場にほとんど存在しないようなハイスペックな人材を求めている可能性があります。
人材像を明確にするプロセスは重要ですが、自社が求める全ての要件を満たす人はほんの一握りです。自社の知名度や採用力を考慮し、「どの程度まで採用基準のハードルを上げられるか」を考えるのが望ましいといえます。
業務遂行に必要なスキルは必須条件にすべきですが、入社後に獲得が可能なスキルは歓迎条件に入れられないかを検討しましょう。
ハロー効果に注意
ハロー効果とは、評価対象となる人物の目立つ特徴に引きずられ、他の評価が歪んでしまう「確証バイアス」の一種です。
例えば、採用候補者が有名企業のエンジニアだった場合、多くの面接官は「優秀なエンジニアに違いない」と判断します。実際、有名企業出身だからといって、重要ポジションに就いていたとは限りません。
IT業界では、「元〇〇」という肩書を持つ人が多数存在します。企業名や役職、出身大学などに惑わされず、真のスキルを見極めましょう。
採用ペルソナとマッチングしているか
優秀な経歴や高度な技術を持ち合わせていても、自社の事業課題を解決できる人材でなければ、採用が成功したとはいえません。
優秀という言葉にとらわれると、「人事では優秀なエンジニアを採用したつもりなのに、現場では使い物にならない」という問題が生じます。採用のミスマッチを未然に防ぐためにも、現場が掲げる採用ペルソナにマッチしているかどうかを見極めましょう。
スキルフィットだけでなく、組織文化とのマッチ度や他の社員との相性も考える必要があります。
優秀なエンジニアが早期退職する要因
(出典)https://unsplash.com/
企業の採用活動は、人材が企業に定着してこそ成功したといえます。優秀なエンジニアは採用後も他社からの引き合いが多く、採用できたからといって油断はできません。優秀なエンジニアが早期退職する要因を知り、予防策を講じましょう。
技術チャレンジがない
優秀なエンジニアを自社から流出させないためには、エンジニアがやりがいを持てる仕事環境をつくる必要があります。
毎日同じ業務の繰り返しで、技術チャレンジができる機会が少ないと、多くのエンジニアは「このままでいいのだろうか…」と自分のキャリアパスに不安を抱くようになるでしょう。
優秀なエンジニアほど向上心やチャレンジ精神が高く、将来が見えない職場に不満を感じやすい傾向があります。
新しい技術を採用するプロジェクトに参加する機会を与えたり、個々の要望や適性に合わせた育成プランを用意したりして、エンジニアの成長をサポートしましょう。
適切に評価する仕組みがない
エンジニアの働きぶりが適切に評価されない企業では、早期退職者が相次ぎます。特に、自社システムの運用や保守といった「売上に直結しない作業」がどのように評価されるかによって、エンジニアの労働意欲が変わってくるでしょう。
難易度の高い業務や骨の折れる業務が正当に評価されず、働きに見合った収入が得られなければ、高待遇・高収入を提示する他社に転職するのも時間の問題です。
株式会社あしたのチームが行った「ITエンジニアの人事評価制度に関する実態調査」によれば、エンジニアの独自の人事評価が必要と感じている人は、全体の80%以上に上っています。
自社の評価制度について、「人事や上司が個人の技術力をきちんと評価できていない」「他の職種の社員と比べて、能力や業務内容が評価に反映されにくい」と感じている人が多い傾向です。
参考:ITエンジニアの人事評価制度に関する実態調査② | あしたのチーム
労働環境が整っていない
働き方改革やコロナ禍のリモートワークを経て、日本人の働き方は大きく変わろうとしています。
数ある職種の中でも、エンジニアは働く場所や時間に縛られない「自由な働き方」と相性が良く、リモートワークやフレックスタイムを希望するエンジニアは他職種よりも多い傾向があります。
仕事と生活の両方を充実させるワークライフバランスが叫ばれる中、心地良く働ける労働環境が整っていない企業は、早期退職者が増えるでしょう。
- 働き方の選択ができない
- 育児休暇が取得しにくい
- 資格手当がない
- 副業が全面的に禁止されている
優秀なエンジニアの定着率を上げる施策
(出典)https://unsplash.com/
優秀なエンジニアを自社から流出させないためには、現場と人事の連携が不可欠です。エンジニアが抱えやすい不安や不満をくみ上げ、組織の制度に反映させる努力も必要でしょう。エンジニアの定着率を上げるための具体的な施策例を紹介します。
エンジニアを採用に巻き込む
エンジニアは専門職であるため、現場経験がない人が採用担当者になると、選考プロセスで多くの苦戦を強いられます。
最終面接のスキルチェックは現場の技術責任者が担当するケースがありますが、採用基準や人材要件の設定の段階から現場のエンジニアに参加してもらうのが理想です。
経営層や人事のみで人材像を決定してしまうと、現場サイドから不満の声が上がる可能性があります。採用された側も自分の力が最大限に発揮できず、早期退職を考え始めるでしょう。
現場のエンジニアを採用活動に参加させるといっても、日々の業務と採用の両立は容易ではありません。採用のための時間を捻出するには、チームメンバーの協力も必要でしょう。会社として、現場に負担をかけない対応策を講じる必要があります。
エンジニアの役職やスキルに合った評価・待遇を用意する
エンジニアやデザイナーなどの専門職は、営業や事務などのビジネス職とは評価基準が異なる部分があります。勤務年数や年齢といった全職種共通の基準で評価せず、ポジションやスキルに応じた評価制度・昇給制度を用意しましょう。
具体的な成果物を評価に加えるのはもちろん、プロジェクトへの貢献度や周囲に対するサポート、プロセスなども考慮する必要があります。
また、エンジニアのタイプは、特定分野に精通した「スペシャリスト」と広範囲にわたる知識や経験を有する「ゼネラリスト」に大別されます。キャリアの多様性を重視し、それぞれに合った評価項目を設けるのがポイントです。
メンター制度などフォロー体制を作る
優秀なエンジニアほど周囲との温度差や技術差を感じて孤立してしまうため、メンター制度をはじめとするフォロー体制を構築しましょう。コミュニケーションの機会をしっかりと確保すると、社員の定着率が向上します。
メンター制度とは、直属の上司とは異なる先輩社員(メンター)が新入社員(メンティー)を個別にサポートする取り組みです。定期的な対話の機会を設け、メンティーのキャリア形成をフォローしたり、課題や悩みに助言したりします。
業務上の悩みや不満については、技術責任者が定期的にキャッチアップし、制度や仕組みに反映させましょう。
優秀なエンジニア採用につながる「Offers」
エンジニア採用には、母集団形成やブランディングなどのプロセスが欠かせません。しかし、エンジニアとの接点がなかったり、ノウハウが十分に蓄積されていなかったりして、母集団形成すらうまくいかない企業も見受けられます。Offersを活用し、優秀なエンジニアの採用につなげましょう。
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優秀なエンジニアは受け入れ体制も重要
(出典)https://unsplash.com/
優秀なエンジニアを採用するには、エンジニア採用市場の動向をよく把握し、ターゲットに合った採用戦略を立てることが重要です。採用活動は、定着して初めて成功したといえるため、エンジニアの受け入れ体制も整える必要があります。
特に、中小企業やスタートアップ企業は、労働環境の整備や人事評価制度の見直し、フォロー体制の構築を重点的に行いましょう。大手企業と人材を獲り合っても勝算は低いため、副業を起点とした採用も視野に入れることをおすすめします。
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