エンジニア採用でも有効なトライアル雇用とは?メリットや注意点を解説

Offers HR Magazine編集部 2023年8月18日

Offers HR Magazine編集部

目次

トライアル雇用は一定の期間、人材を試用した後に本採用するかどうかを決める制度です。エンジニア採用でも有効なので、導入のメリットや注意点などを押さえておきましょう。トライアル雇用助成金の概要や、助成金を受けるまでの流れも解説します。

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トライアル雇用とは?どういう制度?

(出典)https://www.pexels.com/

トライアル雇用とは、試用的に一定期間人材を雇用し、その後に本採用(常時雇用)するか否か決める制度です。まずはトライアル雇用の概要と対象は、一般的な試用期間との違いを理解しておきましょう。

一定の期間を設けて人材を試用する制度

トライアル雇用は、企業が原則3カ月の期間、労働者を試用期間的に雇用する制度で、公共職業安定所(ハローワーク)から人材を紹介してもらうのが一般的です。

試用期間中に仕事への適性や職場環境などを、企業側と労働者側が互いに確認し合い、期間終了後に双方の同意の下で、無期雇用(常時雇用)に移行します。双方が状況を理解した上で一般雇用に移れるので、本格採用後のミスマッチを防止できるのが特徴です。

参考:トライアル雇用 |厚生労働省

トライアル雇用の主な対象者

トライアル雇用の対象者となるのは、主に職業経験が不足気味の人や、未経験者、長期間のブランクがある人などです。障害者のケースでは障害者トライアル雇用の仕組みもあります。

具体的にはニートやフリーターなどで45歳未満の人、母子家庭の母親の立場にある者、季節労働者、中国残留邦人等永住帰国者、住居喪失不安定就労者などです。これらのうち、公共職業安定所長がトライアル雇用の必要性を認める者が該当します。

詳しい条件などは、厚生労働省によるトライアル雇用の案内を確認してみましょう。なお、年齢にかかわらず未経験者を採用する場合や、ブランクのある人材の採用を考える場合には、エンジニア採用でもトライアル雇用が有効です。

参考:【事業主の方へ】トライアル雇用のご案内|厚生労働省

試用期間とはどう違う?

一般的な試用期間とは、企業が採用を予定している人材のスキルや能力を見極めるため、ある程度は任意に条件や期間を設定できる制度です。試用期間は1年以内ならば企業が期間を自由に設定でき、期間終了後の本採用を前提としているのが特徴です。

一方、トライアル雇用の期間は原則として3カ月間であり、ハローワークから人材を紹介してもらう点に違いがあります。さらに一般的な試用期間とは違い、雇用対象となる人材にも条件があり、後述する助成金が支給される点も異なります。また、トライアル雇用は、期間終了後の本採用の義務はありません。

トライアル雇用のメリット

(出典)https://www.pexels.com/

企業がトライアル雇用を導入するメリットとしては、採用後のミスマッチや採用コストの軽減に加えて、スピーディーな人材採用ができる点などが挙げられます。それぞれみていきましょう。

採用後のミスマッチを軽減できる

トライアル中に採用候補者のスキルや能力を判断できるので、本格採用後のミスマッチを減らせるのが、トライアル雇用の最大のメリットです。

特に、エンジニアをはじめとした技術職は、実際に業務を任せなければ能力の判断が難しい傾向にあるため、トライアル期間中に仕事を任せてパフォーマンスを確認する必要があります。もしトライアル雇用の対象者が、自社の採用基準に満たなければ、期間終了後に契約の解除も可能です。

全体の採用コストを抑えられる

トライアル雇用は企業にとって、無駄なコストを発生させないという意味でも、役立つ制度といえるでしょう。採用のミスマッチが発生すると、人事関連のコストはもちろん、人材採用にかかった手間も無駄になってしまいます。

エンジニア採用をはじめ、本格採用後に社員のパフォーマンスが想定通りにはいかないケースは、決して珍しくありません。任せる予定だった仕事をうまくこなせず、人的コストが無駄になってしまう可能性は常に考えられます。

そこでトライアル雇用を利用すれば、事前に人材のパフォーマンスを確認できるので、ミスマッチによる生産性の低下を防止できるだけではなく、全体の採用コストも抑えられるでしょう。

スピーディーな人材採用が可能

トライアル雇用の場合、ハローワークから条件に合った人材を紹介してもらえます。

上記のように、一般採用に比べてミスマッチが起こりづらい制度になっているだけではなく、スピーディーな人材採用ができるのもポイントです。人事担当者が数多くの候補者の中から、自社に合った人材を選ぶ必要がない分、採用工数を削減できます。

ただしハローワークは、自社の採用ニーズや、社内事情などを深く理解しているわけではありません。紹介される人材が自社に合っているとは限らないので注意しましょう。事前にハローワークの担当者に採用ニーズを伝えておき、条件に合致した人材を紹介してもらえるように工夫する必要があります。

助成金が利用できる

トライアル雇用では、国から支給される助成金を利用可能です。詳しくは後述しますが、一定の要件を満たせばトライアル雇用助成金が支給され、人件費の一部などに充当できます。人事コストを抑えながら、自社に必要な人材を採用・育成ができるのは、大きなメリットといえます。

トライアル雇用の条件に該当する人材を採用するならば、自社で試用期間を設けるよりも、トライアル雇用を利用する方がよいでしょう。

トライアル雇用の種類(コース)

(出典)https://www.pexels.com/

トライアル雇用には「一般トライアルコース」と「障害者トライアルコース」の2種類があります。それぞれ特徴や雇い入れの条件などが異なるので、ここで整理しておきましょう。

一般トライアルコース

一般トライアルコースは職業経験の足りない人や、長期間のブランクがある人を雇用する際に適用されます。企業は条件に該当する人材をトライアル雇用する場合、最長で3カ月の間、助成金の支給を受けられます。採用できる人材の条件は次の通りです。

  • 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
  • 紹介日の前日時点で、離職している期間が1年を超えている
  • 妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で、安定した職業に就いていない期間が1年を超えている
  • 55歳未満で、ハローワーク等において担当者制による個別支援を受けている
  • 就職の援助を行うに当たって、特別な配慮を要する

 (※出典・引用:「トライアル雇用」に応募してみませんか?|厚生労働省

上記の「離職している期間」にはパートやアルバイトを含め、一切の就労をしていないのが条件です。また「特別な配慮」を要する者とは、生活保護の受給者や母子家庭の母親、父子家庭の父親、日雇い労働者や季節労働者などが該当します。

安定した職に就いている人や、自ら事業を営んでいる人、学校に在籍中の人などはトライアル雇用の対象ではありません。

障害者トライアルコース

障害者トライアルコースは試用期間を通じて、障害者を雇い入れる場合に適用されます。対象者1人につき、月額で最大4万円の助成金が受けられます。さらに精神障害者を初めて雇用する場合においては、月額で最大8万円の助成金を受給可能です。

いずれも原則3カ月間の期間となっています。同コースで採用できる人材の条件は次の通りです。

  • 紹介日時点で、就労経験のない職業に就くことを希望している
  • 紹介日の前日から過去2年以内に、2回以上離職や転職を繰り返している
  • 紹介日の前日時点で、離職している期間が6か月を超えている
  • 重度身体障害者、重度知的障害者、精神障害者

 (※出典・引用:「障害者トライアル雇用」のご案内|厚生労働省

これらの条件のいずれかを満たした障害者が対象で、障害の原因や種類は不問となっています。

トライアル雇用助成金を受給するには?

(出典)https://www.pexels.com/

トライアル雇用助成金を受給するためには、以下の条件を満たしている必要があります。これからトライアル雇用の導入を考えている人は、要件をよく確認しておきましょう。ここでは一般トライアルコースの受給条件を紹介します。

助成金の受給条件

企業がトライアル雇用を通じて助成金を受給するには、自社が次の要件を満たす対象事業者でなければいけません。

  • ハローワークから対象者の紹介を受ける前に、当該労働者と雇用に関する約束をしていない
  • 過去3年の間に、当該労働者を雇用した事実がない
  • 過去6カ月以前に、当該労働者を解雇した事実がない

さらに一般トライアルコースの場合、次の条件を満たす必要があります。

  • トライアル雇用の対象者に該当する者を雇用すること
  • ハローワークや職業紹介事業者から、紹介された人材を雇い入れること
  • 原則として、3カ月間のトライアル期間を設けること
  • 原則として、1週間の所定労働時間が、通常の労働者と同程度であること

より詳しい受給条件については、厚生労働省の公式ページに記載されています。後述する受給手続きとともに、しっかり確認しておきましょう。

参考:トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)|厚生労働省

助成金を受給するまでの流れ

(出典)https://www.pexels.com/

次に、助成金を受給するのに必要な手続きを解説します。全体の流れとともに確認し、準備を進めておきましょう。

1.求職者の面接とトライアルの開始

トライアル雇用を開始するには、まずハローワークに求人を提出しなければいけません。最寄りのハローワークに直接出向いて求人を出すか、オンラインで提出します。ハローワークから応募者の紹介を受けたら、面接を実施してトライアル雇用に入るか検討しましょう。

なお、応募者は書類選考のみで受け入れを決めても構いませんが、応募者の面接は努力義務とされているので、できる限り実施する必要があります。選考の結果、受け入れを決めたら、トライアル雇用が開始されます。

2.トライアル雇用実施計画書の作成と提出

応募者の採用を決めたら、具体的な勤務時間や給与を決定します。トライアル雇用期間であっても、労働関連法規は当然ながら適用されるので、最低賃金を下回らない水準にしなければいけません。

また、トライアル雇用を開始したら、2週間以内にトライアル雇用実施計画書やトライアル雇用対象者確認票などを、ハローワークに提出する必要があります。各提出書類の書式や申請様式については、厚生労働省のページを確認してみましょう。書類は当該ページからダウンロードできます。

トライアル雇用助成金の申請様式ダウンロード |厚生労働省

3.助成金の支給申請

トライアル期間が終了したら、助成金の支給申請をしましょう。トライアル期間の終了後、当該労働者を本格的に雇用するか否かにかかわらず、2カ月以内に支給申請をしなければいけません。

人材の紹介を受けたハローワークに対して、「支給要件確認申立書」および「トライアル雇用結果報告書兼トライアル雇用助成金支給申請書」の2点を提出します。書類を提出すると労働局で審査され、問題がなければ申請後、2〜3カ月で助成金が支給されます。

トライアル雇用の注意点

(出典)https://www.pexels.com/

トライアル雇用を実施する際には、以下の点にも注意しましょう。人材の育成にかかる時間や手続きの手間を考慮して、事前に準備を進めておくことが大事です。

人材の育成に時間が必要

未経験者や経験の浅い人材が主にトライアル雇用の対象となるので、一般採用以上に人材教育に時間を要する可能性があります。通常の試用期間とは異なり、トライアル期間も原則3カ月と決められているので、企業によっては教育体制の整備が求められるでしょう。

採用する人材の要件を明らかにした上で、トライアル期間中にどういった面を評価するか、どのように教育していくかなど、人事部門を中心に決めておくことが重要です。

各種手続きに手間がかかる

助成金の申請をはじめ、各種手続きに手間がかかる点にも注意が必要です。実際、多くの企業がトライアル雇用に関する申請手続きの煩雑さを指摘しています。

今後は手続きが簡略化される可能性はあるものの、現状では申請書類の作成に加えて、助成金を受け取るにも書類の準備が必要です。ハローワークと連携しながら、事前にしっかりと計画を立てておきましょう。

助成金の併用が可能な場合も

トライアル雇用は一定の条件を満たせば、他の助成金と併用できるケースもあるので、ここで確認しておきましょう。

例えば、建設分野において、トライアル雇用後も若年者や女性を継続雇用する場合、人材確保等支援助成金が受けられる可能性があります。また、建設関連の訓練を労働者に実施した場合などは、人材開発支援助成金の対象になる場合もあります。

参考:建設事業主等に対する助成金のご案内|厚生労働省

エンジニア採用にトライアル雇用を活用する

(出典)https://www.pexels.com/

エンジニア採用でも有効な、トライアル雇用の概要とメリット・注意点などを解説しました。トライアル雇用は職業経験が不足気味の人材や、長期間ブランクがある人材などの雇用に有効です。未経験者のエンジニアを積極雇用する場合にも、ぜひ検討してみましょう。

ハローワークから人材の紹介を受ける形になりますが、採用後のミスマッチを軽減でき、助成金の受給が可能です。ただし一般的な採用に比べて、人材の育成に手間を要する場合もあり、手続きに相応の手間もかかります。自社にとってのメリットとデメリットを比較した上で、慎重に導入を検討しましょう。

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