スカウトメールの作成方法。エンジニアに刺さる文面のコツと例文

IT業界は売り手市場が続いており、優秀な人材を獲得するため、スカウトメールを活用する企業が増えています。しかし、思うような効果を上げられない採用担当者は少なくありません。そこで、エンジニアに効果的なスカウトメールの作成方法を解説します。

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スカウトメールを作成する前に

（出典）https://www.pexels.com/

スカウトメールは、企業側から転職希望者に直接応募を打診するメールで、ダイレクトリクルーティングの手法の一つとして知られています。転職潜在層にも効果的にアプローチが可能で、中小企業でも優秀な人材をスカウトできる可能性があるものの、なかなか反応が得られず、悩んでいる採用担当者は少なくありません。

スカウトメールの反応率を上げるには、まずペルソナを設計する必要があります。

採用ペルソナをしっかり設計する

スカウトメールを作成する前に、アプローチしたい相手のペルソナを考えましょう。ペルソナとはアプローチの対象となる人物像で、ビジネスシーンでは、主にマーケティングの分野で活用されている概念です。商品・サービスの典型的なユーザー像を指しますが、採用活動でも応用できる考え方です。

採用したい理想的な人物像を想定しておけば、そこにピンポイントで刺さる文面を作成できるようになり、反応率を高められます。逆にペルソナの設計が不十分だと、作成するメッセージが的外れになり、想定した反応を得られない可能性があります。

エンジニアを採用する場合は、年齢や経験、スキルなどの基本的な要素に加えて、仕事に対する価値観や現在の職場に関する不満など、具体的に設定してみましょう。

開封率を左右する件名の付け方

スカウトメールの開封率を上げるには、件名の付け方も工夫が必要です。件名を確認して開くかどうか決める人が多いので、まずはメールを開いてもらうための件名の付け方を知っておきましょう。

特別感、具体性を意識する

スカウトメールの内容は具体性を持たせるとともに、特別感を演出することが大事です。例えば、エンジニアならば『Pythonの経験を生かして、○○の開発に挑戦しませんか？』といったように、相手の経歴や開発経験などに応じて、独自の文面を入れると効果があります。

自分に向けられたメールだと認識してもらえれば、そうでないものに比べて開封率が大きく変わります。特に特定の相手に向けたプライベートオファーでは、他にはない特別な提案をしてみましょう。たとえオファーの内容はありきたりでも、表現を工夫すれば特別感を与えられます。

情報は盛り込み過ぎない

相手を引きつけるために、さまざまな情報を入れようとする人は少なくありませんが、件名は一つのメッセージに絞ることが大事です。無理に情報を詰め込んでしまうと、読者は何を伝えたいメールなのか、開封して読むことで、どのような情報が得られるのか分からなくなってしまいます。

設定したペルソナが求めているポジティブな情報を一つだけ入れて、目立たせるようにしましょう。例えば『○○の開発が可能』『フレックス制度による勤務可能』といった内容を盛り込めば、興味のある人は開封して内容を確認する可能性が高くなります。

エンジニアの心をつかむ本文作成のポイント

(出典）https://unsplash.com/

メールを開封してもらうには件名の付け方が重要ですが、当然ながら本文の内容や構成も工夫しなければいけません。スカウトメールの本文を作成する際、注意すべきポイントを解説します。

読みやすいか

相手に興味を持ってもらうために、より多くの情報を記載しようとする人は多くいます。しかし、メールは基本的に情報量が多過ぎると、最後まで読まれづらくなります。ネームバリューのある発信者で、ファンの読者がついている場合とは異なり、スカウトメールは初めての相手にメールを送らなければいけません。

そのため、1分程度で簡単に読める分量にすることが大事です。情報を全て開示するのではなく、相手が魅力的に感じる内容を絞り込み、もう少し詳しく知りたいと思ってもらう程度に留めるのがポイントです。難しい表現や漢字などを使わず、すぐに読める構成にすることも意識しましょう。

また、近年はスマートフォンで情報を検索したり、メールを読んだりする人が多いので、パソコンだけでなくスマートフォンでも読みやすいように工夫が求められます。

エンジニアが自身のキャリアをイメージできるか

スカウトメールでは、転職でキャリアアップを目指している人が、対象となるケースがほとんどです。従って、読み手が将来のキャリアを具体的にイメージできるように、内容を記載しましょう。具体的には、ターゲットのそれまでの経歴と、転職後のキャリアを結びつけられる内容にする必要があります。

例えば、開発チームのリーダーとして活躍してきた人材に対しては、転職後にプロジェクトリーダーとして大規模な開発案件を任せたいと考えている旨を記載すれば、興味を示す人は多いでしょう。

特にエンジニアの場合、他の職種よりも将来のキャリアを明確にしている人が多いので、条件が合致すれば応募してくれる可能性が高いです。

スカウトメール本文の基本的な構成

（出典）https://www.pexels.com/

それでは、スカウトメール本文の基本となる構成を解説します。いきなり募集要項から書き始める人もいますが、宛名や送り主の自己紹介を記載したら、人材の募集に至った背景から説明する必要があります。

採用の背景

なぜスカウトメールを送っているのか、その背景を説明します。エンジニアの場合は、一部の人員が複数の業務を兼任しており負担が掛かり過ぎているため、専任の開発人員を募集しているといった内容や、より成果物の作り込みが必要なので、社員を増やしたいといった理由などが考えられます。

あまり詳しく説明しても本文が長くなってしまうので、2～3行程度で簡単に説明することが大事です。現状を理解してもらうため、長く説明したいと考えてしまう人もいるかもしれません。しかし、読み手にとっては、仕事内容やスカウトメールが届いた理由の方が重要であるため、簡単に理由を説明するにとどめる必要があります。

仕事内容

人材の募集に至った背景を説明したら、具体的な仕事について紹介します。業務内容や働きやすさなどはその企業の魅力となるため、長々と伝えたくなるものではありますが、読み手であるエンジニアが求めている情報を記載しなければいけません。

特にエンジニアの場合は、仕事内容に絡めて開発環境や必要な経験、スキルなども必ず記載しましょう。読み手が、自分に合った仕事かどうか判断するための重要な情報となります。より業務をイメージしやすくするために、過去のプロジェクト例を紹介するのも有効です。

社内でエンジニアがどういった業務に従事しており、どのような役割を担っているのか例示することで、応募のミスマッチも防止できます。

働きやすさ

仕事内容に続いて、給与や福利厚生など、待遇面の情報を記載します。エンジニアのように人材の獲得競争が激しい職種では、どれだけ待遇のよい条件を提示できるかも、採用に結びつけるために欠かせない要素です。具体的な年収や賞与、キャリア別の平均年収など、できる限り詳細に説明しましょう。

また、労働環境も読み手が具体的にイメージできるように紹介する必要があります。たとえ報酬がよくても労働時間が長く、ストレスの溜まりやすい職場ではないかといった不安を覚える人もいるので、どういった環境で仕事ができるか、福利厚生に関する情報も交えながら記載するとよいでしょう。

候補者にスカウトメールを送った理由

スカウトメールの読み手は仕事内容や報酬、労働環境などに加えて、なぜ自分のところにスカウトが来たのかを知りたがっています。候補者にメールを送った理由を分かりやすく説明しましょう。

転職サイトの登録情報に記載されていたエンジニアとしての経験やスキル、開発に携わった案件などの情報を確認し、自社が必要としている人材だと判断した旨を伝える方法は、多くのスカウトメールで使われています。

ただし、ありきたりな内容では、多くのスカウトを受けているエンジニアにとって魅力的に感じられません。『副業で○○の開発経験がある』といったように、候補者の具体的な活動に積極的に触れることで、他社よりも注目していることをアピールできるでしょう。相手の印象もよくなり、応募につながりやすくなります。

次のステップへの進み方

仕事内容や報酬、メールを送った理由などを説明したら、読み手がスカウトメールの内容を確認した後にすべきアクションについて、具体的に明記しましょう。相手が応募しようか迷っている場合、返信方法が分からなければ、面倒に感じて他のスカウトに応じてしまうかもしれません。

返信方法や面談の候補日を指定することで、応募を決めた読み手に行動を促すことができます。例えば「○月○日から○日までの間で、ご都合のよい日程はございますでしょうか。このメールに返信いただく形でお知らせ下さい」といった記載をしておけば、相手も行動を起こしやすくなります。

必要に応じて外部資料も付ける

すでに説明したように、スカウトメールの本文が長くなり過ぎると、相手は途中で読むのをやめてしまう可能性があります。もし募集に関して、さらに詳しい情報を読み手に伝えたい場合は、外部資料へのリンクを付けておくとよいでしょう。

経営者のブログやnote、職場の雰囲気が分かる画像などを外部資料として用意しておくと、スカウトメール以外でも活用できます。

自社のビジョンや価値観、求めている人材について説明した記事を作成し、採用ブログとして公開している企業も少なくありません。スカウトメールにもブログのリンクを貼っておくと、読み手は必要な情報をすぐに入手できるのでおすすめです。

スカウトメールの注意点

（出典）https://www.pexels.com/

スカウトメールを作成する際には、全体の構成や盛り込む内容を吟味する必要がありますが、さらに以下の点にも注意が必要です。細かいところではありますが、相手の印象を左右する重要な要素なので、ここでしっかりと押さえておきましょう。

NGワードは使用しない

スカウトメールの特別感が失われてしまう言葉は、使わないようにしましょう。例えば『未経験可』や『急募』などの言葉は、スカウトメールにはふさわしくありません。

未経験で問題なければ、読み手は自分以外の誰でもよいのではないかと考えるだけでなく、自分の経験やスキルを評価されていないと感じる可能性があります。また、急募という言葉は人手不足に陥っている状況が示唆されるため、不安に感じる読み手もいるでしょう。

広く人材を募集しているならば、『年齢・性別関係なく評価』『フレックス勤務可』といった記載にしておけば、読み手に不安を与えずに済みます。また、待遇面を強調したいならば『前職の給与保証』『早期キャリアアップ』といった表現もおすすめです。

誤字脱字はもってのほか

誤字脱字や固有名詞の間違い、スペルミスなどにも注意しましょう。誤字脱字が多いと、スカウトの本気度に疑問を持たれてしまう可能性があります。

さらにエンジニア採用の場合は、言語やフレームワークなどの名称を誤って表記してしまうと、技術レベルが低いと判断されてしまい、スカウトに応じてもらえなくなるだけでなく、企業の評判も下がってしまう恐れがあります。

わずかなミスでアプローチを台無しにしないように、本文を作成したら、二重三重に表記ミスがないかチェックしましょう。メールの作成者が自ら見直すだけでなく、他の担当者にも確認してもらうことが大事です。

スカウトメールの返信率が上がらない場合

(出典）https://unsplash.com/

たとえ時間をかけてスカウトメールを作成しても、なかなか返信率が上がらないケースもあるでしょう。その際は、以下のポイントを意識してアプローチの改善に努めましょう。

現場のスタッフに添削を依頼する

人事担当者は、必ずしも現場の状況に精通しているわけではありません。特にエンジニアのような技術職を採用する場合、人事担当者だけでは効果的なスカウトメールを書けないことがあります。専門的な内容のメールを作成しなければならない場合は、現場のエンジニアに添削を依頼しましょう。

場合によっては、採用チームにエンジニアを入れることで、書類選考から面接、スカウトメールに至るまで、専門的な見地からアドバイスを受けられるようになります。スカウトメールはエンジニア自身が作成してもよいでしょう。

効果検証を行う

マーケティング用のメルマガと同様に、スカウトメールも効果の検証が必要です。件名や本文の構成によって、返信率は大きく変わってくるので、効果の検証と改善のサイクルを回すことが大事です。

評価指標はさまざまですが、メール内リンクのクリック率や返信率、返信の内容などが考えられます。さらに、どういった表現や単語が読み手に響きやすいか、反応を得やすい言い回しは何かなど、メッセージの内容も検証しましょう。細かい改善と修正の繰り返しが、結果的に返信率の向上に寄与します。

Offersの活用

エンジニア採用のスカウトメールを作成するならば、Offersのサービスも利用してみましょう。Offersはエンジニアと企業をつなぐマッチングプラットフォームで、コンシェルジュが採用活動をサポートするサービスも利用できます。

候補者のリストアップや面談日の調整、さらにスカウトメールのたたき台作りなど、幅広くサポートを受けられるので、初めてエンジニアを採用する企業も安心して利用できます。スカウトメールの返信率が高いのも魅力です。

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まとめ

スカウトメールの作成方法と注意点を解説しました。スカウトメールを作成する際には、事前にペルソナをしっかりと設計し、件名や本文の構成を工夫しましょう。わずかな表現の差で、反応率が大きく変わる可能性もあります。誤字脱字や表記間違いにも注意しましょう。

また、反応率を上げるためには、現場のエンジニアに協力してもらうのに加えて、効果測定と改善の繰り返しが必要です。すぐに劇的な変化が出るケースはまれですが、コツコツと改善を重ねることで、確実に反応率を高められます。細かい部分にも注意を払いながら、PDCAを回していきましょう。